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12人の少女が夢を叶えた時、僕は初めて自分の短所を好きになれた。

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:タカシクワハタ(ライティング・ゼミGW集中コース)
 
 
「わたし、初めて自分の短所を好きになることができたんです」
へえ、と思った。
自分の短所が好き。
そんなふうに思えるものなのか。
都内のあるイベント会場。
熱っぽく壇上で語る友人の語りを聴きながら僕は疑問を感じていた。
自分の短所はそれこそ山ほどある。
飽きっぽい。気が弱い。コミュニケーション能力がない。
ミスが多い。集中力がない。要領が悪い。
挙げようと思えばいくらでも挙げられる。
しかしその短所を好きと思ったことは一度もない。
むしろ忌々しい。なければいいのにと思っているし、
そんな短所だらけで構成された自分が嫌いだった。
 
そういえばもう一つ大きな短所があった。
「人を見る目がない」ことだ。
僕は人を見る目がない。
それを強く意識するようになったのは数年前の出来事だ。
当時僕はある研究所の研究員になったばかりで
配属先でトラブルがあり上層部から呼び出しを喰らってしまっていた。
目の前には陰湿そうな眼鏡の男と
北の湖を仏頂面にしたような強面の男が二人座っていた。
「あのさあ、君ここに何しに来たの?」
片方の眼鏡の男が早速威圧的に質問してきた。
それに対し、いやそれは誤解で配属先の上司がパワハラをしてきたんですよ、
と説明しようとした。
しかし、男の威圧的な態度に臆した僕は頭が真っ白になってうまく喋れない。
男は明らかにイライラした様子だ。やばい。どうしよう。
その時だ。
「うん。まあいいじゃない。僕が面倒見ますよ」
もう一人の仏頂面の男がフォローしてくれたのだ。
眼鏡の男は渋々ながら了承し、席を立って行った。
「いろいろ大変だったね。うちの課はみんないい人だから大丈夫よ」
少し北関東なまりのあるその仏頂面の男はSさんといった。
Sさんはその後も仕事を優しく丁寧に教えてくれた。
決して要領の良くない僕に対しても、声を荒げることなど一度もなかった。
一緒に会議に出席すると、とても頭の回転が早く
切れ物のSさんの姿を見ることができた。
僕がSさんを尊敬するようになるまでそう時間はかからなかった。
やがて、僕が研究所を辞めることになった。
その時もSさんは
「まあくわちゃんならきっとうまくいくよ」
と快く送り出してくれた。
Sさんはすごい人だ。
僕もSさんのような人間になろう。
その時は心からそう思っていた。
「Sさん最近見ないけど、元気にやってるのかな?」
ある日、Sさんと面識のある新しい勤務先の上司から何気なく聞かれた。
「いやあ、わかんないですね。メールしてみましょうか」
ところが、いつまで経ってもメールが返ってこない。
Sさんのことだし多忙なのだろう、とその時は大して気にしなかった。
ところがある日、いつもの様にネットを見ていたところ
信じられない記事を見つけた。
「〇〇県警は、脅迫の疑いで□□研究所職員S容疑者を逮捕した」
僕は目を疑った。
「調べによると、S容疑者は交際相手のAさんに対し、よりを戻さなければ裸の写真をばらまくと脅したとのこと」
なんで。あのSさんが。
僕は、目の前が真っ暗になった。
Sさんに裏切られたこと。
Sさんを尊敬してしまったこと。
その時以来、自分が人を見る目がないということをはっきりと自覚するようになった。
「人を見る目がない」
壇上の友人には悪いが、そんな短所を好きになんかなれるはずがない。
僕はなんだか惨めな気持ちになってその会場を後にした。
まだライブまでは時間がある。余裕で間に合いそうだ。
その日はBEYOOOOONDS(ビヨーンズ)というアイドルグループの
初単独ライブの日であった。
そういえばここでも僕は見る目がなかった。
僕は彼女たちを最初に見た時
「これは売れないだろうな」
と思っていたからだ。
実際、結成直後の頃は決して評判が良いとはいえなかった。
ところが、メジャーデビューが近づくにつれ
「BEYOOOOONDSヤバい」
「BEYOOOOONDSすごいね」
と周りのアイドル好きから言われるようになってきた。
そしてメジャーデビューすると、
いきなりオリコンウイークリー1位になるなど
爆発的にヒットしたのだ。
本当に見る目がない。
また嫌な気持ちになってしまった。
でもこの目で見るまではまだわからないぞ。
僕は自分の人を見る目のなさを自覚しつつ、
そうでなければいいなという思いも抱きながら
ライブ会場に向かった。
満員のZepp Diversity。
公演開始のアナウンスが流れ、会場が暗転すると、
彼女たちが歓声とともに舞台に現れた。
驚いた。
寸劇の面白さ。歌の音圧。ダンスの一体感。
全てが昔とは違っている。
ボーイッシュな前田さん。
お嬢様キャラの島倉さん。
華やかさを持った山崎さん。
総勢12人のメンバーの個性がごった煮になって一つのうねりとなっていく。
会場もそれに呼応してボルテージが上がっていく。
そしてライブ終盤、赤い衣装の彼女たちが現れると
舞台がさらに眩しく輝いて見えた。
それは彼女たちの初単独ライブができる喜びがオーラとなって
強い光を放っているかのようだった。
負けだ。
僕の見る目がなかったのだ。
でもなぜか清々しい。
彼女たちは僕の予想なんかを軽々と超えるようなポテンシャルの持ち主だった。
そのことが嬉しくて仕方なかった。
そしてそれは、僕が人を見る目がなかったからこそ
生まれた感動だったのかもしれない。
その時昼の友人の言葉が頭をよぎった。
「自分の短所を好きになれた」
そうか。そういうことだったのか。
短所のせいで悪いことが起こると思い込んでいたが、
実はその短所のおかげで良いことも起きていたのだ。
そしてそれは短所を自分の特徴と受け入れた時に見えてくる。
それが「短所を好きになること」だったのだ。
 
全ての短所を自分の特徴として受け入れる。
短所だらけの自分にとってはまだまだ遠い道だけど、
そのために毎日のちょっとした感動に目を向けていこう。
BEYOOOOONDSのように気づかせてくれる存在がいるかもしれない。
そして、ちょっと迷った時はまたBEYOOOOONDSに会いにいこう。
次の彼女たちはもっと自分の想像を超えた感動をくれるだろうから。
 
 
 
 
***
 
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2020-05-03 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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