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メディアグランプリ

タイで打ちのめされていたわたしが、気づけばタイ語を好きになっていた話


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:岩(ライティング・ゼミGW集中コース)
 
 
「ああ、もうしんどい……本当になんにも考えられない」
その時、わたしは打ちのめされていた。言いたいことが伝わらない、もはや言いたいことさえ浮かばない。大げさに聞こえるかもしれないが、メンタルをボコボコにされていた。タイ南部の漁村で。その村には、日本人はわたしだけ。日本語で話す相手がいないと、どんどん日本語が下手になる。気持ちを整理したくて、ノートを開くけど肝心の気持ちをうまく表現できない! もう、困った。苦しいのは、間違いないけど「なぜ、苦しいのか」が考えられない! 英語も話せない、タイ語も話せない。もう、日本語でも考えられない! うう、さみしい。こんなはずじゃなかったのに!!!
 
きっと最高の3ヶ月になるだろう。楽しみ、楽しみ。3ヶ月もいれば英語も上達するだろうし、何より大好きなタイに帰ってくることができたらめちゃくちゃうれしい。そんな思いで参加していたタイでのボランティア。地元の小学校で英語を教えたり、週末に環境学校で子ども達と遊んだり。2年前にこの村に来て虜になった。念願の2回目の滞在。前の2週間よりも長いボランティアだった。
 
外国語大学に通っていたわたしは、多少は英語に自信があった。ベタな話だと思うけど、その自信が木っ端みじん。他のボランティアが話すスピードには全然ついていけない。うう、悔しい。留学に行った人や海外経験がある人なら1度は経験するだろう。自分の意見が言えないあの惨めさ。英語にコンプレックスを抱えている自分が、英語を教えるボランティアなんて……。なんだか皮肉だし、何より生徒達に申し訳ない。完全に自信を失ってしまった。どんどん口数も減っていった……。
 
わたしを苦しめていたのは言葉だけじゃなかった。文化の壁も高かった。文化というと大げさだけど、とにかく話題についていけない。自分だけが見ていないドラマの話を周りが始めて、ついていけずにさみしい思いをした。そんな経験は誰しもあるだろう。ずっと、ずっと、ずーっとそんな気持ちなのだ。その時は、ドイツ人2名とデンマーク人と一緒に暮らしていた。サッカー、音楽、俳優、とかなんとか3人で盛り上がっている。チンプンカンプン。そんなことが日常茶飯事だった。ずっと、疎外感を感じていた。
 
疎外感と言えば……、タイには「ファラン」という言葉がある。それは、外国人の中でも欧米の肌が白くて青い目の人のことをいうらしい。外国人だけど、ファランじゃない。同じアジアの顔だけどタイ人でもない。わたしって一体……? アイデンティティとか初めて考えた。ああ、つらい。仲間がほしい。仲間外れにされた気分だった。
 
そんな時、わたしは気がついた。タイ人のお母さん達といると安心できる。言葉はほとんどわからないけど。ぺちゃくちゃおしゃべりしているこの感じ。お菓子をつくったり、お皿を洗ったり。ヨーロッパの男の子達といるよりも心地いい。なんだかんだ言って、ここはアジア。日本と似ているのかな。ああ、タイ人といる方が楽しい。
 
サワディーカーとか、コップンカーとかタイ語って響きが可愛い。あの独特の響き、なんだか癒されませんか?幸いにもわたしは、村のおじいちゃん、おばあちゃんから可愛がられた。小柄なわたしは、片言の言葉を覚えはじめた孫のようだったのだろう。居心地がよくなってきたある時、家の近くに住む1人のおじさんがわたしに言った。
 
「いつの間にそんなにタイ語ができるようになったの?」
 
そう。知らないうちに飛躍的にタイ語が上達していた。上達というか、理解できる単語が増えていた。タイ語は、文法がそこまで複雑じゃない。というか、めちゃくちゃシンプル!
例えば、どこへ行くの? と聞く場合「パイ(行く)」と「ナイ(どこ)」をつなげるだけ。英語でいえば、「Go where?」もしかしたら、タイ南部の方言かもしれないけど。
 
電車に向かって「パイナイ?(どこに行くの?)」と話しかける。すると電車から「パイヤイ! (ヤイって駅まで行くよ!)」と答える。それくらい短い間に会話ができる。そんな笑い話まであった。
 
しかも、質問と答えの語順も変わらない。日本語でいう助詞なども覚えないでいい。
「行く?どこ」「行く学校」これでOKなのだ。
そりゃ、上達もする。タイ語でコミュニケーションがとれるのがめちゃくちゃ楽しくなってきていた。考えてみたら、どうだろう。ほんのちょっとの単語数でタイ語がこんなに話せるのだ。英語のボキャブラリーはもっとあるじゃない! そんな風に吹っ切れた。もう伝わればいい。てきとうでいいやと考えたら、前よりも話せるようになっていた。固いこと考えずに、ちゃんとしようとか思わずに。どんどん、しゃべってみたのだ。タイ語と英語を混ぜ合わせて、もうタイ語×英語のルー大柴みたいになっていた。
「パイ(行く)kitchen」「アウ(欲しい)salt」「beautiful マーック(めっちゃ)」
最後なんかは「so beautiful」でいいのに。タイ語が混ざった方が気持ちを上手く伝えられる気までしてきていた。
 
「前は、too shyだったけど最近はよく話すようになったね」
誰だったか、そんな言葉を仲間からかけられた時、前よりもずっと楽しめている自分に気がついた。ファランとか、サッカーとか、アジアだ、ヨーロッパだ、ああだこうだ。結局、気にしていたのは自分だけ。勝手に打ちのめされていただけ。ボコボコにされたおかげで、タイ語が好きになって、タイがもっともっと好きになった。タイ語よ、ほんとにありがとう。
コープクン マックマーーーーック!!!!
 
 
 
 
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2020-05-07 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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