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眠れない夜にドリームキャッチャー


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:森真由子(ライティング・ゼミGW集中コース)
 
 
世の親御様には本当に頭が上がらない。
結婚もしていないし、子供もいないけど、私は常々そう思ってきた。
なぜなら私はかなり面倒を見るのが大変な子供だったから。
 
昼間はそれなりにいい子だったように思う。
他の子と喧嘩することもなく、宿題もちゃんとやっていた。
昼はいいのだ。問題は、夜だった。
 
私は幼少期、ずっと夜泣きをするような子供だった。
そんなのよくある話よー、と言われるかもしれないが、想像をされている夜泣きよりはちょっとひどいかもしれない。
夜泣きは一般的には1〜2歳、長くても6歳頃までするようだが、中には夜泣きはほぼしなかったという人もいるらしい。
私の場合、夜泣きは小学4年生の10歳まで続いた。こんなこと、恥ずかしくて同級生の友達には絶対に言えなかった。
しかも、悪い夢からパッと目が覚めて自分のベッドでわんわん泣くというレベルではなかった。
 
ものすごかった。
夜中にパッと目が覚めて、自分のベッドで泣き出す。泣き出すどころが泣き喚いていた。
そしてそれだけでは済まず、隣の両親の部屋へ走り出し、両親のベッドに乗った。ベッドに乗ったら、何かに取り憑かれたかのように何回も何回も激しく飛び跳ね、泣き叫んでいた。そして泣きながら疲れ果てるまで暴れまくった。
もう霊媒師が必要そうなレベル。
 
わんわん泣くというのは私からすると優しい表現のように感じるのだが、かと言って自分の泣き叫んだ声をどう文字に起こしたらいいのか分からない。
もしかしたらジェットコースターに乗っている時の濁点の付いた叫び、
「あ゛ーーーーーーーーーーー!」が最も近いかもしれない。
しかし、遊園地のような楽しさは全くなく、むしろシーンとしてはホラー映画の一部だった。
 
自分が泣いて暴れていたことはよく覚えている。ちゃんと意識もあったが、自分をコントロールすることができず、ただ叫ぶことしかできない状態だった。
親には本当に申し訳なかったと今でも思う。子育てをするだけでも大変だったはずなのに、その上、子供の連日の夜泣きで数年は寝不足だったに違いない。
 
夜泣きが続き、私は夜眠ることも怖くなっていた。寝つきも悪かった。
そして、その恐怖がピークに達していた日は、大概夜泣きがいつも以上にひどかった。
そんな私のために、父が出張のお土産として「ドリームキャッチャー」を買ってきてくれた。
ドリームキャッチャーとは、北アメリカ民族発祥の魔除け。蜘蛛の巣のように輪っかに糸が張られていて、これが悪夢を捕まえて自分から守ってくれるというものだった。
 
悩んでいた私はこれにすがった。
本気で魔除けが効くと信じていたわけではなかったが、これにすがるしかなかった。これこそ藁にもすがる思い。
ベッドの横に掛け、どうか夜泣きをしませんように、と願掛けをした。
不思議なことに、その後夜泣きをする回数が減っていった。小学5年生になる頃にはもう夜泣きはほぼなくなっていた。
何回か引越しをしたが、夜泣きがなくなってもこのドリームキャッチャーは必ず持って行った。大人になった今もずっと部屋に飾っている。
 
別にスピリチュアルな話をしたいわけではない。
日々の悩みも案外ちょっとしたことで改善するかもしれない、そう思っただけ。
この時のドリームキャッチャーは、ティーカップの下に置くお皿、ソーサーのようなものだった。使うのはカップだから、ソーサーがなくても困らない。でもあった方が安定するし、垂れた紅茶が直接テーブルにつかなくて済む。使用済みのスプーンだって置ける。
 
ドリームキャッチャーも同じだ。
きっとドリームキャッチャーでなくても何でもよかった。何か自分に安心感を与えてくれるものであれば、神社のお守りでもよかったはず。ただ、ないよりはあった方がよかった。
ドリームキャッチャーで夜泣きがなくなったとは断定できないが、これがあったおかげで、少なくとも精神的な安定を得ていたように思う。
 
どうすることもできない、何もしてあげられない、人生でそんな状況にきっと何度も遭遇する。
何もできなくても、あった方が安心するというものがあればそれを側に置いておけばいい。
私にとってその安心するものがドリームキャッチャーであったように、あなたもあなたに必要なものを側に置いておけばいい。
 
今日もどこかで眠れない夜を過ごしているお子様、そして大人の方々も、
どうか、自分の支えとなるものが見つかって安らかな眠りにつけますように。
 
※自分が経験した夜泣きについて調べていたら「夜驚症(やきょうしょう)」という言葉に辿り着いた。本当にそれだったかは分からないが、泣き叫んだり暴れたりするところは似ていた。3〜6歳の子供にはよく見られる睡眠障害とのこと。思春期までにはほとんど自然になくなると言われているそうなので、もしお子様の夜泣きで同じように悩んでいる方がいたらちょっと調べてみるといいかもしれない。
 
 
 
 
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2020-05-07 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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