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メディアグランプリ

人付き合いは膝にできた「かさぶた」である


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:南 章子(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
「ほんま、もういいからほっといて!」
 
私はずっと仲良くしていた「つもり」のFacebook友達からブロックされた。
 
その前日の朝、私は仕事に行く前にバタバタと携帯の通知チェックをしていた。
すると何通かの通知に交じってFacebookにマイちゃんが記事をアップしたという通知が来ていた。
マイちゃんは私のFacebookの仲良し友達。いつもマメなマイちゃんは朝に投稿をしているのだ。
投稿を見るとそれは、ちょっとした愚痴だった。
マイちゃんはお家で商売をされていて、私も周りのみんなもマイちゃんのお家の場所や予約状況まで知ってる。私はふと思った。
「Facebookで、あまり自分にとって良い印象でない言葉は避けたほうが良いよね……」
 
私はメッセージからこう送った。
「マイちゃん。あさイチの書き込みあんまよくないよ? 見る人が見たらマイちゃんのお家もわかるんだし、炎上して嫌がらせとかされたらどーすんの」
やや、不愛想ではあるが、家を出る時間が迫っていたのでそのまま送信ボタンを押した。
 
その日の私は、朝から晩まで仕事の合間にも携帯を見る暇が全くなかったのと、帰宅後も書類作成で、夜10時頃まで携帯チェックをせずにいた。
 
一段落してふと携帯を見た。いつもながら、いくつかの通知履歴がある。
いつも使っているFacebook関係のものと、メッセージ関係のもの。
「あ、そうだ。 マイちゃん」
 
朝に送ったメッセージアプリを開いてみた。
そこには「既読」の記録があったが返信はなかった。
 
「あれ? 忙しいのかな?」
何時も返信が早めのマイちゃんだったが、その日は11時になっても返信はなかった。
何かあったのかな?
心配になったが、その日は疲れていたのもあってそのまま寝るためにベットに向かった。
ベットもぐろうと、膝をつくと違和感を感じた。3日前に擦り傷を負った右の膝だった。
「あ、かさぶたができてる」
久しぶりに、膝にかさぶたができていた。私が小さなころは、無謀に走り回っていたお転婆さんでしょっちゅう怪我をして立派なかさぶたを作っていたのだが、大人になった今では珍しいことだった。
 
私は、かさぶたが自然に取れるまで待てない性分だった。
おそらくあと、2、3日触らずほおっておけば、ポロリと取れてきれいな新しい皮膚ができていただろうに、私はどうしてもがまんができず爪を立ててそのかさぶたをとってしまった。
 
ピリッとした痛さのあと、めくれた傷口から一気に血が出てきた。
「あ、またやってしまった」
かさぶたを無理に取ってしまうと、結局その傷の治りを遅くし、治った後も傷痕が残る。
しかし私は焦ってかさぶたを取るという行為がやめられない。
 
私は、手を伸ばしてティッシュを取り、血を止めた。
今日は特に傷口が痛いな、取らなきゃ治ってたのかな、そう思いながら寝た。
 
夜が明けてふと、横にある携帯をチェックした。その日は何かいつもと違う。
いつもマメに投稿する、マイちゃんの通知がなかったのだ。
「あれ?」
寝ぼけながらも、マイちゃんに何かあったのではないかと心配になって真っ先にfacebookを開いた。
あれあれ??
マイちゃんがいない。おかしいな?
そういえば、昨日の返事がない事を思い出してメッセージを開いた。そこに見慣れない言葉があった。
「このユーザーは現在メッセンジャーを利用できません」
 
びっくりした私は急いで共通の友達の裕子に連絡した。
「ねえ、マイちゃんと連絡取れないのだけれど……なんかあったのかな?」
少し間があいてから返信が来た。
「あ……私は何も詳しいことはわからないけど、メッセージを預かっているのよ」
え??
「ほんま、もういいからほっといて!」って。
初めてだった。これがブロックというやつだった。
 
私は、裕子にお礼を送信してから、携帯を持ったままうなだれた。
ショックだった。心に穴が開いたようだった。
しばらくして、裕子からメッセージが入った。
「私は、あなたとの付き合いは変えるつもりはないから。でも、マイちゃんはね……いろいろ前から突っ込んでくるあなたのこと、ちょっとうるさいと思っていたみたい。人付き合いって距離感が大切だよね」
息が苦しくて息が詰まりそうになって、思わず膝を抱えた。
目の前に、昨日かさぶたを剥がしたばかりの傷口があった。まだ乾いただけで、赤い色をしている。
 
マイちゃんと知り合ったのはもう、1年前だった。
裕子の友達だったのだが、私と境遇が似ていたためか、すぐに仲良くなった。
ちょっと突っ込んだお悩み相談ものったりしていた。私は仲の良い友達だと思っていた。
いつも明るくマイちゃんは返信をくれていたので、まさか、そんなことを思っているとは夢にも思っていなかった。
 
でも、人の心の中はすべてわからない。
Facebookに吐露することでストレス発散している人もいる。
 
強引に手を出して、ほじくってはいけない。
一度壊れた関係は、修復に時間が掛かるし、修復してもきれいに元通りになるとは限らない。
 
めくらなければよかった。
触らなければよかった。
時間がないことを言い訳にせず、もっと相手のことを考えて丁寧な対応をするべきだった……
 
SNSが普及している現在、
いろんな人と色んな事が気軽にやり取りできる。
だから、海外の友達と夜遅くまで語り合ったり、会ったこともない人でもどんどん繋がることができる。
幸せなことも、面白いことも、すぐ共有できるし、勉学だってできる。
でも、勘違いしたらダメだ。
 
人として関わることは、SNSでも実際会った時でも何ら変わらない。
礼を尽くし、ベストな距離を保つ。相手を尊重し思い遣る。
 
仲良しの「つもり」ではいけない。
いつも目の前に相手を感じながらも、距離保つ作法をもっと身につけないといけない。
 
わかってはいたけど、できていなかった私にマイちゃんは教えてくれた。
そして、もうひとつ気付いたことがある。
こんな私に「嫌なことは嫌だ」とはっきりと示し、
そして「無意味な付き合いを続けないで離れてくれた」マイちゃん。
マイちゃんはたくさんの気づきを残し去っていった。
 
もうこんな悲しい思いはSNSでもリアルでも嫌だ。
無理にかさぶたを剥がすのはこれからはやめようと思う。
マイちゃんありがとう。まだ名前を呼ぶと心がチクチク痛い。
 
 
 
 
***
 
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2020-05-07 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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