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メディアグランプリ

卵巣腫瘍はとつぜんに。


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:金澤 鮎香(ライティング・ゼミGW集中コース)
 
 
「卵巣に腫瘍がありますねぇ」
小さい産婦人科でおじいちゃん先生がエコー写真を見ながらそう言った。
「はぁ」
なんだか自分ごととは思えなくて気の抜けた返事を返す。
「ちょっとこれだけだど、良性か悪性が分からないんだよね、MRIとか精密検査受けた方がいいから、大きい病院の紹介状書いたげる」
「はぁ、ありがとうございます」
 
ふわふわと診察室を出てすとんと椅子に座る。「腫瘍ってがんってこと?」でも良性かもしれないんだよな、悪性だったらどうする? うーんひとまず仕事に影響出る可能性もあるし上司に連絡だけしとこうか。28歳にして初めてのがん疑惑。がん検診とか人間ドックとかよく目にするけれど、人ごとだと思っていた。特に大きな病気もしたこと無いし、まだまだ若いし元気だし。こんなに急に、病気が「自分ごと」として降りかかってくるのだなと妙に冷静に感心していた。
 
発覚したきっかけは、あまり大きな声で言うようなことではないが、性交中に本当に急に尋常じゃない痛みが子宮を襲ったのだ。男性の方には共感し辛い話題で申し訳ないが。
 
子宮を無邪気な子供が思いっきり握りつぶしている様な、生理痛をより凶悪にした感じ。その場でお腹を抱えて縮こまりぶるぶる震えることしかできなかった。
可哀そうなのは彼氏である。
「あぁ、ごめんね、ごめんね。俺どうしたらいい? だいじょうぶ? だいじょうぶじゃないよな。どうしよう、どうしよう」
これまで見たこともないくらい狼狽していた。
大丈夫だよ、べつに貴方のせいじゃないよ。と言ってあげたいけどまずろくに喋れない。脂汗がだらだらと出てきて、ぜいぜい言うのがやっとである。その後吐き気も襲ってきてぜいぜい言いながらげろげろ吐いた。死ぬほどの腹痛って本当にあるんだなと思った。
 
痛みが襲ったのは深夜だった。一晩あけて痛みは少しはましになったものの、やはり痛みはあるため念のため産婦人科へ。エコー検査をすることになった。下から超音波の機具をぶっさされ色々見られる。決して気持ちの良いものではないが、ひたすら耐える。
 
そして見つかったのが卵巣にある6.5センチの腫瘍だった。
 
とりあえず小さな産婦人科じゃ埒があかないらしい。
翌週紹介された大きな病院へ行った。
その日は結局最初受けた同じエコー検査を改めて受け、お医者さんの問診へ。
 
「これねー、かなり大きいので、良性だとしても手術した方がいいと思います」
「4.5センチを超えると基本手術をオススメしていて」
 
先生によると、卵巣はハンモックのようにぶらぶらと子宮の横に上からぶら下がっているらしい。それがふとしたきっかけに「ぐるん」とひっくり返ってしまうことがあるそうだ。
 
正常な卵巣ならそれでいいけれど、6.5センチも余計なものがひっついているとそのまま戻らず、さらに「ぐるんぐるん」と捻じれてしまうことも。そうなると血管が壊死し、気絶するほどの激痛で緊急手術みたいなこともあるそうだ。
あの痛みより更に痛いの? 嫌だ、嫌過ぎる。
 
「もちろん悪性だったら手術は絶対ですね」
 
さらりと先生が言う。来週MRIを取って判断しましょう。また一週間もふわふわした状態のまま待たされるのか。と思ったけれど、大きい病院だししょうがないと自分に言い聞かせる。「悪性だったらどうしよう」とか考えてもどうしようもないので、なるべく悪いことは考えないように一週間をすごした。
 
翌週やっと精密検査を受ける。MRIを受けて3時間ほど待ってようやく結果がでた。
どきどきしながら、診察室へ。お願いだから良性ですように……!
 
先生がさらりと口を開く。
 
「良性でした」
 
よかった、良性だった。ふうっと肩の力が抜ける。かなり緊張していたらしい。
 
「卵巣内膜症性のう胞、通称チョコレートのう胞ですね」
 
難しい病名だが簡単に言うと、普段子宮の内側にある血液がなぜか卵巣に溜まってしまう病気らしい。20代~30代によくある病気だそうだ。そんな病気知りもしなかった。
症状としては生理痛や排便痛、性交痛があるらしいが、全く無症状の人もいるし、様々だそうだ。そして、基本エコー検査をしないと見つからない。
前述したように大きい腫瘍は手術した方がいいとのことなので、7月に手術が決まった。
 
急に腹痛が襲ってきたあの晩まで、自覚症状は全くなかった。生理痛も人並みだったし、とくに子宮に違和感を感じたこともなかった。根耳に水のような形で「お腹に爆弾を抱える手術予定の病人」になってしまったのだ。
 
悪性の卵巣がんではなかったし、手術をすれば、再発の恐れはあるものの、ひとまず治る。卵巣も悪い部分だけ除去するし、片方はまるまる残るので妊娠は出来る。私はラッキーな方だと思う。
 
でも「もしこれが悪性だったら?」
 
「自分だけは大丈夫」「がん検診はまだいいか」自分のことってどうしても、甘くなりがち。私もそうだった。何となく大きい病気にはまだまだかからない気がしていたけど、案外簡単に「ちょっと風邪をひいちゃった」くらいのテンションでなってしまった。
 
私はこれを機に、医療費控除や生命保険、がん検診や人間ドックなどきちんと調べてみることにした。不安になりすぎる必要はないけれど、「大きな病気は、誰でもなる可能性があるもの」そんな自分ごととして捉えることができた出来事だった。
 
もちろん今はコロナウイルスの影響で気軽にがん検診に行こう! とはなりにくいけれど、良かったらどんながん検診があるのか、年齢に応じてどんな健康リスクがあるのか調べてみるのはいかがだろうか。
 
 
 
 
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2020-05-09 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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