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メディアグランプリ

“社会の窓”の中に隠れているもの


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:吉田まりえ(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
今朝も私は、社会の窓を開ける。
やることはいつも決まっている。
入れるものを入れ、あとは混ぜるだけ。
1日の始まりとしてはとても気持ちがよい。
私は、この生活を始めて3カ月になる。
 
~ “社会の窓” この言葉の意味がわかるのは、私と同じかそれ以上の昭和世代の方ではないでしょうか。今や死語でしょう。若い世代の方のためにご説明すると、“社会の窓”とは、“男性のズボンのファスナー”のこと。子どもの頃、「“社会の窓”が開いてるよ」と人から言われ恥ずかしい思いをした男性の方いらっしゃると思います。
令和の時代、私が開けるファスナーは、コンポストバックのファスナーです ~
 
ファスナー付きのグレーのバック。
雑貨屋さんで売られているようなおしゃれさ。
置き場所はマンションのベランダ。
バックの中には、黒と茶の軽いものが入っている。
 
野菜や果物の皮、米粒、卵の殻、お茶の葉。肉、魚。
水切りした前日の生ごみをバックの中に入れる。
黒と茶の軽いものと一緒にスコップで混ぜるだけ。
 
数日すると、バックの中が温かくなる。
目に見えない微生物(菌類)が生ごみの分解を始める。
生ごみが黒く土のように変化していくのが面白い。臭いはほとんどしない。
毎日、生ごみを入れても量が増えないから不思議だ。
そして、約2カ月間、生ごみを入れれば堆肥ができあがる。
これが私のお気に入りのコンポストバックだ。
 
餌をあげると、温度がどんどんあがり元気になる。甘いものと油ものは大好物。
餌をあげなくても、よい子にしている。何も変化しないだけ。サボっても死なない。
雨の日にベランダにいても寂しがらない。
手なずけるのが難しいような気がしていたが取り越し苦労だった。
なんと聞き分けのよいペット!
 
コンポストバックを使い始めると、ごみの量が減ることに驚く。
週2回のごみ出しが週1回になる。しかもごみ袋が軽い。
嬉しいのは、ごみ出し時の腐敗臭がなくなること。
生ごみを捨てる方ならおわかりいただけるだろう。
ごみ出しの回数が減り、軽くなり、臭いがない。
ごみ出し3重苦から解放してくれる助っ人!
 
できた堆肥は、ベランダ菜園に使っている。
私は、趣味と実益を兼ねて、
水やり以外の手間がかからないハーブを育て始めた。
STAY HOMEの楽しいお友達!
 
たった1つ悩みがある。
時々、小さなハエのような虫がくること。
微かなにおいを嗅ぎつけてくるのか。
虫がバックの中に入ると卵を産み付けるので要注意。
卵が孵化すると手なずけるのが難しいペットになる。
ファスナーはこの虫よけのためにある。
“社会の窓”はいつの時代もきちんと閉めておくものである。
 
このコンポストバックは今年、友人が開発した。
25年前、ガンの宣告を受けた父親の食養生のため、無農薬野菜を手に入れることに苦労した経験を持つ。手に入らないなら自らつくろうと、生ごみから堆肥をつくるコンポストの開発と普及、無農薬野菜づくり一筋に取り組む専門家だ。
 
なんでコンポストバックを作ったの?
私の素直な疑問だ。
今までも環境問題への関心と理解を高めて、コンポストに取り組む人を増やしてきたのに。
 
「土が野菜を育むように、手や五感を使って環境問題への関心を育めないかなって」
 
どういうこと?
 
「家庭から出る生ごみは年間約1,000万トン、これは日本人が一年間に食べる米の量と同じ。
生ごみの90%は水分。ごみ焼却場で燃やす時は、生ごみの水分を飛ばすことに多くの燃料を使うのね。家庭の生ごみを減らせば、二酸化炭素の削減に役立つんだよ」
 
確かに、生ごみは減る。二酸化炭素の削減まで影響があるのか。
 
「プラスチックが海に流れてごみになり生態系へ悪影響を及ぼすので、世界的に使い捨てプラスチックの削減が広がっている。コンポストバックがあれば、スーパーのレジ袋が不要になるかもしれないんだよ」
 
カフェなどのストローがプラスチックから紙になるニュースは記憶に新しい。私は、生ごみを臭いがしないようにスーパーのレジ袋に入れて、きつく結んで自宅の燃えるごみ入れに捨てていたことを思い出した。使い捨てプラスチック問題につながるのか。
 
利便性の高い生活の裏側にある環境問題に思いを馳せた。
自分が社会的に価値あることをやっていると思えてきた。
 
生ごみが減らせて、いいね!
気軽な気持ちで始められるコンポストバック。
使い始めてわかる実感が、環境問題への関心と理解を育む。
私は、すっかり友人の作戦にハマっていると気づいた。
 
環境問題から始めたら、コンポストバックを使い始めただろうか。
25年の活動の末に、友人は今までとやり方を変えたのだ。
25年変わらぬ思いのために。
 
私たち一人ひとりの行動が社会を変える原動力になる。
コンポストバックの中には、友人の熱い思いが隠されている。
 
~ “社会の窓”この言葉の由来をご存じですか? 「インフォメーションアワー・社会の窓」という様々な社会問題の裏側を探るNHKラジオ番組(1948年から1960年まで放送)がありました。本来は隠れている部分を探ると、大切なものが見えてくるという主旨から、“社会の窓”が“男性のズボンのファスナー”を意味するようになったそうです ~
 
今朝も私は、社会の窓を開ける。
ささやかな私の行動が、社会を変える一助になることを夢見て。
 
 
 
 
***
 
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2020-05-14 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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