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メディアグランプリ

セクシーな注意をする上司は、スネた私の心を開く


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:みさと(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
注意されるのがイヤ。
だけど他人に注意するのはもっとイヤ。
 
後輩ができたとき、そんな壁にブチ当る。
 
遅刻やミスなど
明らかに相手が悪い時は
ほっぺたをバシーンと叩けばいい。
 
でも、
頑張っているのに成果が出ない。
悪気がないのに間違えている。
 
そんな後輩を見たとき、
思春期の娘を持つ父親のように
私は悩む。
 
その子のモチベーションを保ちつつ、
注意やアドバイスをするにはどうすればいいか。
 
そんな時に思い出すのは
私の未熟さを
セクシーに注意してくれた
上司のことだ。
 
半年ほど前、
企画が全然通らない時期があった。
 
私はWebサイトのコンテンツ企画の
仕事をしている。
 
前の上司なら通っていたはずの企画が
その上司になってから全然通らなくなった。
 
私は彼が、重箱のスミをつついている
完璧主義者に見えた。
そこまで完璧を求める意味がわからなかった。
 
今となっては反省している。
彼のレベルが高いというより
私のレベルが低かった。
 
月とスッポンみたいに。
 
でも私は、自分がスッポンだと
気づいていなかった。
 
ある日の19:30。
企画書の差し戻しをくらった。
本日も残業確定である。
 
「もういやだ!」とヤケクソになって
休憩室のソファでカップラーメンを食べていた。
上司が入ってきた。
 
「調子はどんな感じですか?」
と聞かれる。
 
「もう、無理です。
何が正解かわかりません。
妥協しちゃダメですか?」
と言った。
 
上司はスネている私に言った。
「ダメ。
だって今の状態は妥協じゃないもん。
 
〇〇さんは今、
『ご飯が食べたい』という要求に対して
せっせとパンをこねているね。
 
パンの種類を何個も用意してくれている感じ。
 
妥協するっていうのは
ご飯をどのお米にするか。を考えること。
はやく、ご飯を作れるようになってください」
 
私はこの一瞬で
ハートを打ち抜かれた。
 
上司の言葉の裏には
「そもそも企画のレベルが低すぎる。
要求と全く違うものを作っている」
という真意があった。
 
もし彼が、真意をそのまま私に言っていたら
私はもっとスネていた。
心の扉を閉じて
通らない企画書を大量生産していただろう。
 
この時、上司は
未熟さに気づけていない私を
どうすれば正しい道に導けるかを
一瞬にして考えた。
 
冷静に私を分析し、
心を閉ざそうとしている私に
伝えるにはどうすればいいか
頭をフル回転させた。
 
そして
「妥協をお米に例える」
というユーモアを入れつつ
核心をついたことを言った。
 
大人の余裕が感じられる、
とてつもなくセクシーな注意だった。
 
上司の注意のセクシーポイントは4つ。
 
1、感情的にならなかった。
もし私が上司の立場なら
「スッポンのくせに妥協なんて言ってんじゃねーよ!」
と後輩に怒っていたかもしれない。
しかし彼は感情を高ぶらせず冷静に対応していた。
怒ると叱るは違うのだ。
 
2、注意の内容が的確だった。
これは、いうまでもない。
私が要求と違う企画を出していたことだ。
 
3、ターゲットに刺さる伝え方だった。
未熟者の私にも伝わる「お米とパン」の例え。
一瞬で相手をターゲティングし、
私が納得をする方法で注意をしてくれた。
 
4、私の努力を認めてくれていた。
「せっせとパンをこねている」という言葉。
「せっせと」に、私は救われた。
 
一生懸命やっていない人に対して
「せっせと」という言葉は使わないからだ。
「一生懸命、企画を考えているのは分かっている。だが、頑張る方向を間違っている」
と、努力は認めてくれているように、思えた。
 
この4つを瞬時におこなった上司は
「すごい人なんだろうな」と感じた。
 
それに、私を気遣いながら
注意をしてくれたことが嬉しかった。
 
この言葉をかけられ、
例えのうまさに笑ってしまった。
上司も笑っていた。
 
スネていた私の心はオープンになり、
上司からのアドバイスを素直に聞くようになった。
そして、無事企画を通すことができた。
 
注意。
されるのは嫌だし、
するのはもっと嫌。
 
でもその言葉が魅力的であればあるほど
人を惹きつけることができる。
 
AI(人工知能)が仕事を奪うと言われている今、
人間の価値はなくなってしまうのか。
 
そんなことはない。
 
私たちはみんな、
正しいことを知り
正しい道を進みたいと思う。
 
でも、
「正しいことをストレートに教えてもらえれば
それを受け入れ、従うことができる」
そんな単純な生き物ではない。
 
私たちには、プライドと感情がある。
スネていた時の私のように。
 
だから、どんなに正しいことも伝え方しだいで
善にも悪にも捉えられてしまう。
 
AIにできず、人間にできることは
「相手のことを思いやり、正しい情報を、魅力的な言葉で伝えること」
だと思う。
 
クスッと笑えて、伝えたいことの芯を捉えている。
そんな伝え方ができる人は、いつの時代も強い。
 
私はというと、後輩ができて右往左往。
注意どころか正しく伝えることすらできていない。
日々勉強中である。
 
早くレベルアップをして、将来、後輩から
「セクシーな注意をする人だな」と思われるような人になりたいと思う。
 
 
 
 
***
 
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2020-05-14 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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