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メディアグランプリ

資格は嗜好品みたいなものかもしれない


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:酒田 さとみ(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「いつかちゃんと元を取るから!」
そう言い続けて数年。
しかし、その「いつか」はまだ訪れていない。
ずっとそう勘違いしていた。
 
プチ起業して、娘に田舎のおばちゃんではなくキラキラ輝く女性としての母を見せたい。
そんな思いから数年前、私はオイルソムリエと言う資格を取った。
オイルソムリエとは、食(内側)と化粧品(外側)の両面からオイルのある暮らしをコンサルテーションすることができるスペシャリストである。
つまり、目的や悩みに合わせて一人一人にその時ベストなオイルを提案できるオイルのプロである。
オイル風呂があれば入りたい、と思うくらいオイルが好きだったので講座が始まるとあっという間にオイルの世界に引き込まれていった。
体内でのオイル(脂質)の役割を知るとオイルに対する概念が一変し、目の前に並ぶ数々のオイルたちにワクワクした。オイルが健やかに、そして美しく生きるために必要不可欠なものと確信すると、何だかわけの分からない専門用語さえも愛おしくてたまらなかった。
そして、オイルに対する誤解を解き、オイルの魅力を発信していく! そう誓った。
 
資格取得後、自分の持っている知識をより多くの人と共有しようとイベントに参加したりワークショップを開いたりした。
スタートダッシュは良かった。
健康や美容に興味のある人たちは、私の話に熱心に耳を傾けてくださった。
食に興味がある人たちは、見たことのないオイルを試食しその美味しさに感動してくださった。
自分が学んだことや見つけた美味しいものを多くの方々と分かち合える時間は最高に楽しかった。
また、結果が数値ではっきりと示される金銭という形での報酬は、誰かの役に立てたと実感出来たし、その後の頑張りにも繋がった。
しかし、楽しいことはずっとは続かない。オイル美容やオイルで健活などと世間でも言われ始めると次第に集客が難しくなっていった。知りたいことはテレビや雑誌、グーグルが何でも教えてくれ、欲しいオイルはポチッとワンクリックすれば数日内に手元に届くから。
オイルの魅力を広く発信したかったはずなのに、オイルブームは自分だけの秘密基地がバレてしまったみたいで何か嫌だった。
窓際に追いやられたような気がしてさみしかった。
そして、モチベーションが急降下し、オイルソムリエとしての活動を止めてしまった。
 
資格だけが宙に浮いた状態が続く。
それでも、なぜか新しい講座やセミナーが開催されると磁石で引き寄せられるように会場へ向かっていた。
欠席する理由はいくらでもあったはずなのに。
あの時の情熱を取り戻せるかもしれないと淡い期待を抱いていたのかもしれない。
しかし、セミナーでの学びの時間も同志たちとの交流の時間もどっぷりオイルに浸かれて楽しかったが、今後また活動する気力までは与えてくれなかった。
むしろ逆に、同志たちの活躍を知ると自分だけが取り残されたような気がして切なかった。
そして、回収予定のない設備投資費と誰とも共有できない知識、悶々とした焦り、どうせ私なんかというひがみ根性だけが増えていった。
 
状況を変えられず時間だけが流れていたある日、偶然出先で出会った友人に健康上の悩みを相談された。
私は、仕入れたての知識を盛り込みオイルについて懇々と話し最後に友人にとってのベストオイルを紹介した。
そして、友人と別れた後、横にいた娘にこう言われた。
「ママ、キラキラ星みたいに笑っていたね。いつもその笑顔でいてくれたら嬉しい」と。
娘の言葉が心に刺さった。
娘にこんな姿を見せたくて、オイルソムリエになったはずだった。
なのに、私は、オイルの魅力を伝え楽しむことよりも報酬を得ることに夢中になっていたのかもしれない。
また、費やしたお金は、お金で回収しなければならないと思い込んでいたのかもしれない。
しかし、どうだろうか、
お金とは別の形で得られたものがあるのではないだろうか。
もう一度学ぶことを楽しめたし、
頼もしい同志たちに出会えた。
また、これまでに味わったことのない喜びや達成感を感じられたし、
出来れば避けて通りたいような感情や挫折も味わった。
そして、何より娘に最高の笑顔を見せられた。
オイルソムリエのためにかけてきたお金や時間は無駄ではなかった、と思えた。
お金以上の、もっと価値ある何かでちゃんと回収できていると娘が気付かせてくれたから。
 
「資格」ってなんだろうか?
弁護士や医師のように仕事をする上で必ず必要な資格もあるだろう。一方、オイルソムリエのように趣味に近い資格もある。
後者の場合、資格は人生をより豊かに彩るための嗜好品のようなものだと思う。
だから、もし私のように活かしきれていない資格をお持ちの方がいらっしゃったら、資格取得に費やした時間やお金は無駄だったと思わないで欲しい。
資格取得を目指したからこそ得られたものが必ずあるはずだ。そして、それは人生を味わい深いものにしてくれているに違いない。
 
 
 
 
***
 
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2020-05-22 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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