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イベントとしての料理


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:近藤佑子(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
「食事はいつもどうしてるの?」
と聞かれると、毎回困ってしまう。
 
ちょっと気まずそうに「いや、全然作ってなくて……」と答えると、たいてい「えっ、お金かかるんじゃないの?」と返ってくるので、もうこれ以上その話をしないでくれと思ってしまう。
 
自炊がどうにも面倒で、自炊にかかる時間がもったいないと感じ、食材を管理するのが苦手で、料理することを極力避けてきた。そういうこともあって貯金がなかなかできない。
 
そんな私は、去年、恋人をほしがっていた。
知人に「恋人が欲しいので紹介してください」と言ったり、SNSに「恋人を作るのが目標だ」と書いたりしていた。
 
恋人ができるには、料理ができないよりできる方がいいだろう。
 
自炊をしないことは、彼女にしたい女性として減点要素でしかないと引け目に感じながら、「それでもいい」という相手が見つかればいいと思っていた。
 
「恋人が欲しい」という願望がようやく実り、お付き合いすることとなった相手は、私がむしろ「料理をしない」ところが高得点だったようだ。
 
ある時、そんな恋人と週末に会おうということになった。
当時は緊急事態宣言下の東京。派手に遊びに行ける情勢ではないので、過ごし方として、最初はスーパーでお惣菜とお酒を買って飲み食いしようかと考えていた。
 
私も恋人も全く料理をしないタイプだ。
恋人は、料理をしない私を受け入れてくれるどころかむしろそういうところも含めて自分たちが似ているのを嬉しがっているように見えた。とはいえ「自炊スキルゼロ」と語りつつも、最新型の炊飯器を買ったことを嬉しそうに話す彼は、どことなく料理をやってみたそうに見えた。
 
料理ってそんなに難しいものではないし、一緒にやると楽しいよというのを、たぶん彼よりはちょっとだけ料理ができる私が伝えたいなと思ったのだ、
 
私が何も考えずに作れる料理はというと、しめじをよしなに炒めて溶き卵を足してさらに炒めるというもの。
 
さらにやったことはないものの、炊飯器で煮豚を作ってみたいとも思った。簡単にできそうで、なんだかすごそうだし、待ってる間にゲームして遊んだりできる。
 
さらに恋人と、「パンケーキ屋さんに行きたいね〜」なんて話していたので、これも炊飯器で作ったら喜んでくれるかなと考えると楽しくなってきた。料理なんて全然したくないと思っていたのが、なんとフルで計4品も作った。
 
1品目はカブの葉っぱの浅漬け。カブの葉っぱを適当に切って、ジップロックにごま油と塩昆布とともに入れて揉むだけ。葉野菜はこれでだいたいうまい。
 
2品目は、前述したしめじと卵の炒めもの。ごま油で炒めて、醤油で味付けした。
 
3品目は炊飯器で作る煮豚。基本的に豚肉と調味料を入れて炊飯器のスイッチをオンするだけ。すごそうなメニューがめちゃくちゃかんたんに作れるのを示したく(そして失敗したくなく)できるだけ簡単なレシピを探した。ちょっと硬かったけど、味が染みて美味しかった。
 
4品目は炊飯器で作る低糖質チーズケーキ。カッテージチーズのかわりに間違ってクリームチーズを買ってしまったり、炊飯器の中に入れている時間が長すぎたり。いろいろ失敗してしまって「甘みが足りないね」なんて笑っていた。
 
上記のメニューを、まず煮豚の用意をして炊飯ボタンを押し、そしてカブの葉っぱの浅漬けとしめじの卵炒めを作り、煮豚を煮ている間にそれらをいただく。煮豚ができるまでゲームして遊んで、煮豚ができたら第二弾の飲食。煮豚を食べ終わったら片付けと並行してチーズケーキを作り、炊飯器に入れている間に寝て、翌日、朝ごはんとしてケーキを食べた。
 
このような流れを考え、恋人に予定を伝えることで、億劫さもなく進められたように思う。
 
「どうしてそこまで予定を考えるの?」と彼に聞かれ、自分に問いかけてみると、どうやらインドアな遊びでも、体験を最大化させるイベントとして考えてしまうクセがあるようだ。
 
私自身、過去に手作り料理を振る舞われる際、何もしないで待ってるのもそわそわするし、手伝うにしても何をしたらいいか分からないという経験があった。
 
また、料理が不慣れな人が料理をやるときの地味なストレスとして、スマホでレシピを見ながら料理をするのが面倒というのもあった。
 
今回、恋人と料理をする際には、その両方の解決をしたかったので、いろいろな作業をとにかく一緒にやった。私がレシピを見て彼に指示を出したり、暇にしていたら洗い物をやってもらったり、とにかく2人とも暇な時間をつくらないようにした。
 
私達2人にとって、料理は日常の仕事ではなくイベントだ。
それは、計画を立てて旅行に行ったり、2人で陶芸体験をしたりするようなことと同じこと。
 
2人とも食への関心が同じくらいで、料理をやるくらいなら他のことに時間を使いたいけど、美味しいものは好きだし、たまに料理をしてみたい。そんな奇跡のようにシンクロする人に出会えるものなんだと感動している。
 
なお、何も考えずに買い物かごに食材を突っ込んでいたため、材料費が結構かかってしまった……。まぁ、我々にとって自分で料理することは日常ではないので、こういった非日常に楽しみを見出すための体験にコストを払っているのだと思うことにする。
 
 
 
 
***
 
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2020-05-28 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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