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メディアグランプリ

やりすぎなくていい。少しずつ、続けていく。


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:ゆりのはるか(ライティング・ゼミ通信限定コース)
 
 
その日、わたしはいつものようにぱたぱたと化粧水をつけていた。
いわゆるデパコスと呼ばれる部類の5000円もする化粧水を、惜しみなく、ぱたぱたと。
 
スキンケアには人一倍こだわろうと思った。
肌はその人の土台をつくるものだからだ。
どんなにメイクが上手くても、可愛いコスメを持っていても、肌が整っていなければきれいになれない。
だから、わたしは良い化粧水と乳液を使って、念入りに保湿をしていた。
もちろん、パックをしてクリームと美容液を塗るのも欠かさずに
 
そのときはまだここまでの徹底的なケアを始めて2週間ほどだったが、『継続は力なり』という言葉があるように、スキンケアも続けることが大事。毎日しっかり保湿をすることで、きめ細やかな肌が手に入る。わたしはそう信じて疑わなかった。
 
「何これ」
 
だから、自分の肌に赤いニキビがぽつりとできていたことに衝撃を受けた。
朝晩ちゃんと顔を洗って、しっかりスキンケアをしているのに、なんでニキビが。
しかもそのニキビは1つでは収まらず、日が経つごとに2つ、3つと増えていった。
丁寧なスキンケアを続けているのに肌荒れがひどくなっていく。
 
何で、何で。
 
焦ったわたしは、もっと保湿した。
家にある化粧水やクリームをたくさん引っ張り出して、とにかく塗っていた。それでもやはり、肌はひどくなるばかりだった。
 
いてもたってもいられなくなり、休みの日に思い切ってコスメカウンターに行った。
いつも化粧水と乳液を購入している伊勢丹のコスメショップ。
何かを買うことを一番の目的とせず、相談に行くのは初めてだった。
 
「塗りすぎですね」
 
普段タッチアップをしてもらっている椅子に座って、わたしが状況を話し始めるとすぐに、美容部員さんはそう言った。
あまりにもあっさりした回答で心底驚いた。
 
「過剰保湿と言って、保湿しすぎても肌が荒れるんです。ベタベタになるまでクリームを塗ってしまうとニキビや赤ら顔の原因になるんですよ」
 
衝撃だった。
よかれと思ってやっていたことが、肌にダメージを与えていたなんて。
 
「毎日たっぷり保湿しようって意識するより、少しずつでも肌に良いことを長く続けていくことが大事なんです。頑張りすぎちゃったんですね」
 
美容部員さんはそう言って笑った。
一生懸命保湿をすることで、自分の肌を良い塩梅にうるおわせていると思っていたのに、とんだ間違いだった。わたしはいつもコットンで化粧水をつけていたのだが、場合によってはそれも摩擦で肌を傷つけるらしい。
 
「頑張りすぎ、かぁ……」
 
伊勢丹を出てからも、美容部員さんの言葉がやけに頭に残って離れなかった。
どんなに丁寧なスキンケアも、やりすぎたら逆に肌を傷つけることを知った。
まるで自分の仕事ぶりみたいだなと思って、なんだか笑えた。
 
わたしは、何事にも全力投球しすぎるのだ。
企画書1つ作るのでも、納得のいくものができていなければ終電まで頑張る。
平日の夜に予定があっても、体調が悪くても、全部目をつぶって目の前の仕事に向き合う。
そうすることで、周りの期待を超えるレベルのものを作り、自分のスキルも伸ばしたいと思っていた。実際、わたしが作った企画を「すごい」とか「いいね」と言われることもあり、とても嬉しかった。
だが、その反動で身も心も疲れ果てて、数日間まともに仕事ができない日もあった。たまに質の高いものを出すことができても、それを継続できないのでは意味がなかった。
このようなやり方は決して誇れることじゃない。
 
本当に大切なのは、自分自身を犠牲にしないこと。傷つけないこと。
そして、いつも同じクオリティのパフォーマンスをし続けること。
そういうところにあるのだ。
 
スキンケアも、徹底的な保湿を始めてからはまだ2週間。
やると決めたからにはちゃんとやりたいと思って頑張っていたが、過度にやりすぎたことで、結局自分を傷つけてしまった。
そもそも化粧水と乳液を塗って、パックをしてクリームをして……という工程の多いケアを長く続けることも簡単ではなかっただろう。せいぜい1ヶ月程度で終わってしまっていたはずだ。
それでは結局、きれいな肌を保ち続けることはできない。
 
『継続は力なり』
 
この言葉はきっと、正しい。
何事においても成功するのは、諦めずにちゃんと続けられた人だけだ。
ただ、続けるのってあまりにも難しい。
やりすぎると力尽きてしまうし、自分自身の別の部分を傷つけてしまうこともある。
それでも、企画書にしろ肌の調子にしろ、一定のクオリティを保ち続けたいと思う。
土台がぐらついてしまったら、そこからどんな装飾をしたってツメの甘さはごまかせない。
 
もちろん、常に全力投球をして走り続けられる人も一定層いるのかもしれないが、わたしはそうではなかった。もしかしたら自分に甘いのかもしれないけど、それでもわたしは一定のレベルを維持しつつ「ちゃんと続けられるわたし」になりたいと思った。
 
「少しずつでも肌に良いことを長く続けていくことが大事なんです」
 
美容部員さんのこの言葉は、そんなわたしを救った。
無理に頑張りすぎなくてもいい。
適度な温度感で向き合って、一定のクオリティを担保していく。
少しずつでも、続けていく。
こういうことの積み重ねが大事だと言われている気がした。
 
続けた先で、もっと高みを目指したくなったらそれから考えればいい。
まずは自分のキャパシティを自分で理解しつつ、きちんと続けること。保つこと。
これを意識して、もう一度基本に立ち返ろう。
 
家に帰ってお風呂を済ませ、コットンに化粧水を染み渡らせる。
それを丁寧に、ゆっくり、優しく肌になじませていく。ぱたぱたはしなかった。
乳液は塗るけどパックとクリームは、今日はお休み。
 
少しずつでもいいから、丁寧に、続けていく。
これが、わたしらしいケアの仕方。
 
やりすぎようとせずに、続けることを優先する。
まずはそれを大事にできるわたしでいるために、日々努力しようと思った。
 
 
 
 
***
 
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2020-05-29 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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