メディアグランプリ

とある書店のスタッフ達が私にとってのAKB48だった件


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:大和田絵美(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
「変な名前の本屋さんだな……」
一度見たら忘れられない、何だかちょっと不気味な名前だった。
 
その時、私は石垣島に旅行に来ていた。
日中、西表島まで足を延ばし、存分に美しい自然を満喫した。
夕方ホテルに一旦戻ってきて、夜までは自由時間。
夫は隣のベッドですでに寝息をたてていた。
私は音楽を聴きながら、何の目的もなくスマホをいじっていた。
この旅行のためにここ数日忙しくしていたので、久しぶりののんびりした時間だった。
ふと思い立って、Facebookを開く。
すると、この個性的な名前の書店の広告が、真っ先に目に入ってきたのだった。
 
「変な名前の本屋さんだな……」
聞き覚えのないお店だった。
私は大の書店好きで、旅先でもついつい足を運んでしまうほどだ。
全国に店舗を構えるその書店は、私の行動範囲の中にもいくつかあった。
でも、全然知らなかった。
「どんなお店なのかな」
怪しげな名前が気になり、時間もあったので、私は早速、調べてみた。
その書店は調べれば調べるほど変わった書店だった。
そもそも、店名に「書店」とついているけれど、本を売っている気配がない。
ホームページは、イベントやセミナーの案内と、誰かが書いたエッセイのようなもので埋め尽くされていた。
ますます謎が深まる。
でも、店舗はどこも訪れやすい立地だった。
特に京都の店舗は私のお気に入りのかき氷屋さんの近くで、本当によく行く場所にあった。
「今度、覗いてみよう」
そう思って、スマホの電源を切り、私も目をつぶった。
ひと眠りして起きると、この書店のことはすっかり忘れてしまっていた。
 
しかし、話はこれで終わらなかった。
Facebookを開くたびに、その怪しい書店から、あるゼミの案内が届くようになった。
そのゼミのタイトルが更に怪しくて……
「人生を変えるライティング教室」
人生を変える?
たかだか、数か月の物書き教室で?
最初は全然惹かれなかった。
でも、何度も目にするうちに、だんだんと気になるようになり……
そしてある夜、勢いに任せて、ついにこの教室に申し込んだ。
私がこの「怪しげな書店」と接点をもった、記念すべき第一歩である。
 
さて、あっという間にゼミの初日はやってきた。
マップでお店の場所を探しながら細い道に入って、ようやくたどり着いた。
思いのほか、ちゃんと「書店」だった。
ただ、書店にしては温かみのある雰囲気で、スタッフがとてもフレンドリーだった。
そして促されるままにドリンクを手に、1回目のライティングゼミを受講したのだった。
 
私がこの書店と関わり始めて4か月が過ぎようとしている。
相変わらず、「ここ、本屋さんなの?」と驚かされてばかりである。
ライティングに留まらず、ビジネス関係、カメラ関係、美容関係、キャッチコピーや時間の使い方など、とにかくあらゆるゼミを頻繁に開催している。
その案内が次々と届く。
そして、どのゼミの案内もとにかく文章がぐんぐん読める。ひたすら読みやすい。
一つとして単なる案内や説明に留まるものはない。
スタッフの個性が感じられて、会ってもいないのに「こんな人なのかな。こんな人生だったのかも」と勝手に妄想したりしてしまう。
更に、スタッフの素晴らしいところは、共感力が強いところだ。
決して「熟知している」ことを見せない。
「こういうことありますよね。分かりますよ」という目線で書いているので、会ったこともないスタッフをとても身近に感じ、知らず知らずのうちにその文章を全てほっこりした気持ちで読んでしまう。
それはその人の全てではないと分かっているけれど、弱い部分を垣間見せられて、興味を持たない人はいない。
そして、単なる妄想だけに留まらず、文章を書いているスタッフを気軽に見ることも出来る。
定期的に動画配信をしているからだ。
しているなんてものではない。
しまくっている。書店なのに。
いろいろなスタッフの文章を読んだり、動画を見たりしていると、当然好きなスタッフが出来てしまう。
まるでAKB48のようだと思った。
今でこそテレビで大人気のAKB48だが、結成当時は「会いに行けるアイドル」というのがコンセプトだった。
各メンバーの顔やコメントなどに惹かれて、ファンは「推しメン」を決め、その子に会うためにライブ会場に足を運んでハマっていくという「リアルに会えるアイドル」というスタイルは当時、斬新だった。
それと同じように、この書店の活動をずっと追っていると、そのうち私にとっての「推しスタッフ」が出来てしまうだろうと思う。
そして、その「推し」が勧めるゼミを次々と受けるようなことになってしまうのかもしれない。
更に、会おうと思えば会いに行け、話そうと思えば話せる距離感。
実にハマりそう。危ない書店だ。
 
なぜ私がこんなにもこの書店に夢中になってしまったかというと、この出会いをきっかけに人生が変わったからだ。
私が受講した、「人生を変えるライティング・ゼミ」
確かに、文章スキルを学び、人に読まれる文章を書くためのテクニックを知るのは楽しかった。
でも、このライティング・ゼミで人生が変わるというよりも、この書店との出会いこそが人生を変えてくれるのだと思った。
ライティング・ゼミ以外でも、様々なプログラムを通して、スタッフが伝えていることは一貫している。
「コンテンツを持たない人なんていない」というメッセージである。
私達は誰もが魅力的な人生を歩んでいて、光の当て方次第で、それはいかようにも輝くのだということをスタッフは繰り返し伝えている。
光っているところがあれば、影も出来るのは当然で、そんな時光に気付くかどうかで人生はとても面白いものに変換される。
そのことを様々なツールを使って、延々と訴えてくれる。
ここの書店のスタッフは、「誰かの」人生を変えるための「プロ集団」なのだ。
人生を変えたい人、何かに行き詰っている人、自分のことが好きになれない人には、ぜひこの書店を紹介したい。
気になったゼミを受けてみてもいい。
ただ書店に足を運ぶだけでも価値があると思う。
きっと何かしら人生への光の当て方のヒントのようなものを、誰もが受け取れるのではないかと確信している。
 
ネット化が進み、ただでさえ書店は経営が大変な時代だと言われている。
この新型コロナウイルスで、自粛を余儀なくされ、ますます大変であることは想像に難くない。
でも、そんな中でも彼らが発信し続けた文章や動画は面白く、やはり誰かの人生を変えるためのコンテンツだった。
ここから先の苦境をこの書店はどう乗り越えていくのか。
そして、乗り越えた先にそれをどうコンテンツ化していくのか。
この書店のファンになった一人として、ずっと見守っていきたいと思う。
 
 
 
 
***

この記事は、天狼院書店の大人気講座・人生を変えるライティング教室「ライティング・ゼミ」を受講した方が書いたものです。ライティング・ゼミにご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。

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2020-06-05 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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