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アラサーのジェットコースター理論


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記事:佐藤純平(ライティング・ゼミ通信限定コース)
 
 
「もう30歳ですね」
 
20代後半になってから、耳にたこが数個できたんじゃないか? と思うぐらい何度も何度も何度も聞いてきた。その度にぼくは「そうやねー」と魂が抜けたような声で返事をする。心の中では、「だからなんやねん!!」と盛大につっこんでいるのだが、腹が立っても、穏やかにやり過ごすのが20代後半男性の正しい作法だろう。
 
30歳になるのは、ぼく自身なんとなく嫌。でもなんとなくであって大した理由はない。別に30歳になったからってなんにも変わらないじゃんって思う自分もいる。
 
「30歳になるってそんな辛いこと?  だって大概の人が通る道でしょ?」
それでも30歳を境に何かが変わってしまう、何かを失ってしまうようなそんな感覚がぬぐいきれない。
 
まるでジェットコースターに乗っているときみたいだ。あと少しで、急降下することがわかると途端に不安になる。「え? 本当に大丈夫? これ高くない?? やばいって、ちょっ、レバーゆるくない??」そして、急降下。物凄いスピードで。レバーを握る。歯を噛み締める。目をつむる。たまらなく怖い。もうやだ。おろしてくれ。なんで乗ってしまったんだ。
 
アラサーの人の心境はそれに近いのかもしれない。もうすぐ急降下。恐怖、疑念、後悔などが入り混じる。
 
「もう30歳かぁ、このままで大丈夫かな、20代にこんなことしておけばよかった……」
きゃー。思わず声がでちゃう。そんな感じ。
 
現在、29歳。やはり漠然とした不安みたいな感情が常につきまとっている。周りの人たちは、仕事ではある程度の成果をあげて、役職についたりしているし、プライベートでは結婚して、子供ができたりしている。なんとも順調そうな感じがする。
 
一方ぼくはというと、仕事はフリーランスのライター、結婚もせず、ふらふらしている。自由ではあるんだけれど、何者にもなれていない感。社会に取り残されている感覚。このまま30歳を迎えてしまったら急降下? どうだろう?? でも不安だ。
 
「30歳からだって楽しいよ」
うん、その通りだ。そういう30代の人たちがたくさんいることも知ってはいる。じゃあなんなんだ、この不安は? 30歳になにがあるというんだろう??
 
それはきっと30歳を基準にして、人とのギャップがはっきりと出てしまうからだろう。
 
同世代の友達とご飯を食べに行ったとき、会話の内容のほとんどが、「仕事」「結婚」「人生」の話になる。
 
「今、俺はこんな大きな仕事を任されている」
「結婚して、子どもが2人いる」
「こんなことをしたいけど、もう30歳だしな」
 
話していて楽しいんだけど、どこか自分とみんなに大きな差があるのでは? とお互いに確認し合っているような違和感が残る。そして確認し合った結果、自分と友達との間にギャップがあると落ち込む。ジェットコースターの高低差があればあるほど不安なのと一緒で、ギャップが大きければ大きいほど不安も大きくなる。
 
20歳になるときはこんな不安を抱えていただろうか。振り返ってみると、多少の不安はあれど、もっとマシだった気がする。それはきっと自分の理想の姿がきちんと決まっていたからかもしれない。そこへ向かって必死に目指してただけで、人との比較はそんなにしなかった。
 
「場所にも時間にも縛られない生き方をする」
20歳の頃のぼくはそう周りに公言していた。これがぼくの理想の姿だと根拠のない自信があった。誰に何を言われても自分の理想の姿を疑わなかった。
 
場所や時間に縛られない生き方をする人の話を聞いたり、その人のやっていることをまねしてみたり、そうやって自分の理想の姿に向かって少しずつ向かっていくことにワクワクしていた。ジェットコースターなんかじゃなくて、観覧車のようにその場その場から見える景色を楽しんでいた。
 
今の自分は、20歳の時に掲げていた「自分は場所にも時間にも縛られない生き方をする」という理想を叶えることができている。フリーランスのライターとして場所にも時間にも縛られない生き方ができている。
 
それなのに30歳になることに不安を抱いていたのは、「自分の理想の姿」を見失っていたからだろう。そして人との比較ばかりをして、ギャップを感じていた。その高低差に怖がっていた。このまま30歳になったら急降下だ! と勝手に思い込んでいた。
 
「自分は自分の理想の姿に向かってのぼっていけばいい」
そう思えるようになってから、30歳になることへの不安が少しやわらいだ。次の自分の理想の姿が決まったわけではないけれど、人と比較せず、その場その場から見える景色を楽しんでいこうと思う。
 
 
 
 
***
 
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2020-06-13 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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