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「たくさん休んで、彼はちょっとだけ、学校が好きになった」

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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:隅倉 文子(ライティング・ゼミ通信限定コース)
 
 
「やっぱり、家で課題をしていてもはかどらない。学校に行って勉強できたらいいな」
と息子が言った。
 
息子が今、在籍しているのは、通信制高校
もともとオンライン授業がメインなのが通信制高校だから、休校になってもオンライン授業は配信されるし、報告課題はネットにアップされていた。なので休校になっても、面談がなくなるだけで、他の高校生に比べてやりづらさを感じることはないだろうなと思っていた。
 
だけど、学校へ行きたいなんて言わないと思っていたから、彼の言葉に私はびっくりした。
 
彼は、昨年、毎日通学するクラスから通学の義務のないクラスに変更した。
 
なぜ、クラスを変更したのかというと、毎日通学するのが、つらくなったからだ。
 
小学校6年生頃から、学校を休みがちになった。
中学生になって、最初の一週間こそ通ったけど、次の週から息切れをして、1日おきに休み、瞬く間に休みの日がどんどん増えていった。
3年間、一体どのくらい通ったのだろう。
 
全く、行ってないわけではないけれど、制服も教科書もきれいなままだった。
 
そんな彼が、進んだ進路は、通信制の高校だった。
 
いろんな人の意見を聞いて、毎日通学するコースのある高校を選んだ。
彼もそのほうがいいと思って通学コースを選んだのだった。
 
だけど、彼曰く、最初に躓いたらしい。環境が変わったら、友達はすぐできると思っていた。でも、マスクをして、うつむいている彼になかなか声をかけてくれる人はいなかった。
いや、声をかけてくれる人もいたみたいだが、うまくコミュニケーションがとれなかったから、友達関係にならなかったらしい。
 
彼のいう「ボッチ状態」がつづき、学校へいくのがおっくうになり、休み始めた。
高校は、義務教育ではないので、出席日数が、足りなくなると留年ということもある。
だけど、通信制高校なので、全日制の高校よりも、出席日数のしばりは緩い。
それでも、これ以上休むと、通学コースでの在籍は、難しいということになった。
 
入学した当初は、通学コースで学校に通って、友人を作って、楽しい高校生活を送るはずだった。でも、その通りには、ならなかった。彼の心は折れた。
 
だから、途中から、通学の必要があるクラスから、必要のないクラスに変更することにしたのだった。
 
もう学校に最低限しか通わなくてもいい。
彼としても、安堵したのではないかと思った。
 
思っていた通り、学校へ行く必要になり、昼夜逆転の日々になった。昼に起きるのは、まだいいほうで、下手すると、夕方まで起きなかった。
 
夕方まで寝てしまうと、今度は夜中になっても寝られず、明け方になって寝るという生活を送っていった。
 
学校へは「全く行かなくてはいい」のではなく、息子のように生活リズムが狂わないようにと週に1度面談が設定されている。
 
彼は、何か月か、それにも行かなかった。
先生は、
「転校してきたり、コース変更してきた生徒は、心が疲れているから、思う存分休んでもらっていいと思います。自分から動くのを待ちましょう」と言われたりした。
 
「でも……」
親としては、不安しかない。
「こんな昼夜逆転して治るのか? 高校2年生だよ。ゆっくりしている時間あるのか。卒業はできたとしてもその先、どうするんだ」
思っていた。
 
本人が、動きたいと思わないとどうにもならないことは、これまでの経験でわかっている。
 
だけど、何か月がたって彼は動き始めた。
私が、不在の間に、学校へ行き始めていたのだった。
 
「面談があるから仕方なく行っている」ようなことを言っていた。
 
学年末に三者面談があって、先生に面談の日の他に学校へ行く日を増やしたら、学習時間が増えるからと提案された。
だげど、まだ不安の残るようで小さく頷いたのだった。
でも、その提案が実行できぬまま、学校は休校になった。
 
誰にも「学校へ行きなさい」と言われない生活は、彼にとっては快適なのかなと思っていた。
 
約3か月、学校へ行かなければならないという呪縛から解かれたのか、ちょっと学校入ってみるかという気分になったのかなと思って、学校行きたいと思ったのかもしれない。
 
だから、学校へ行って勉強したいと言ったのかもしれない。
 
「挫折はできるだけ、若いうちに経験するのがいい」と書いてある本があった。
若いころに順風満帆で進んできた人間は、歳をとってからの挫折は、ダメージが大きいらしい。
彼は、学校に行くべきなのに学校にいけないという日々を送ってきた。
でも、全国の学校が休みになり、学校にいけない日々になった。
 
そうなると、学校にいけないことが、当たり前になり、罪悪感が消えたみたいだった。
それが、彼にとっては、よかったのかもしれない。
 
もうすぐ、学校が再開されるらしい。
先生に連絡したら「自由登校なので、自習室は、以前から人があまりいない。三密になることはないと思いますから、いつでもどうぞ」と言われた。
 
たくさん休んで、彼はちょっとだけ、学校が好きになった。
 
 
 
 
***
 
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2020-06-13 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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