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メディアグランプリ

口を開けて待っていても誰もごちそうを口までは運んではくれない


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:酒田 さとみ(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
仕事、って何だろうか?
何で仕事をするのだろうか?
生活のお金を稼ぐため、
自己実現や自己成長のため、
社会のため、人のため、
または、人生を楽しむためかもしれない。
答えは人それぞれだし、正解も間違えもないと思う。
いくつも答えがあっても良いと思う。
しかし、恥ずかしながら私は四十になろうとしている頃までその答えを見つけられずにいた。
学生が終わると何となく就職して、何となく働き、待っていましたとばかりに寿退社をした私はその問いに答えようとすらしていなかったのかもしれない。
そのせいか、子育てが一段落した時、無性にその答えが気になって仕方なかった。
それでも、なかなか専業主婦という刺激のないぬるま湯から抜け出す勇気が無くて、どんどんふやけていく自分に苛立ちや焦りを感じ、何か息苦しかった。
家事や育児も立派な仕事、と思い込ませても何か満たされていなかった。
満腹なのに何か食べたい、そんな感じが続いていた。何事もなくこぼれ落ちていく日々とこのままではいけないという想いをどんなに積み重ねても、はじめの一歩を踏み出せずにいた。
 
あるとき、友人に誘われて女性向け社会復帰セミナーに参加してみることにした。
セミナー当日、壇上には凛として美しく、自信に溢れた女性が優しい笑顔を浮かべて立っていた。素敵だと思った。羨ましいと思った。彼女の放つオーラが自分にもあればと思った。
同時に、志を持ってイキイキと働く女性を夢見ていたことを思い出し、壇上に立つ自分を想像してみた。ドキドキした。ワクワクした。ウキウキした。そして、何か懐かしい「ごちそう」の匂いがした。
目標を持って働きたいという気持ちをいつ忘れてしまったのか、なぜ諦めてしまったのか……思い出せない。それでも、そんな風に仕事をしたいと思っていたことがあるのは確かだ。ずっとそう思っていたけれど気付かない振りをしていたのかもしれない。
年齢が増すごとに臆病になり、面倒になり、諦め上手になっていったから。
 
壇上の彼女が眩しくて、細目で眺めているうちにセミナーは終了した。
そして、彼女は、こう締めくくった。
 
「私もこの仕事に就く前は専業主婦でした。なので、家事や育児が大変なことも大切なことも知っています。でも、それだけを全てにしないで下さい。それをこなせる皆さんは高い能力を既に持っています。既にある能力を活かしてください。好きなことややってみたいことに挑戦してください。年齢に縛られないでください。やる気になった時が始め時です。また社会で活躍し輝いてください。応援しています」と。
 
胸がザワついた。
彼女の言葉に背中を押されて、やっとぬるま湯から出る決心ができた。
そして、次の仕事はライスワークではなく、いつかライフワークになるようなライクワークにしようと決めた。
置き去りにされていた夢や好きで得意なことを繋ぎ合わせ、就職を目指した。
しかし、そう簡単には決まらない。
何度面接を受けただろか……、
でも、くじけそうになった時にはいつもあの素敵な講師を思い出すと、不思議とがんばれた。
年齢的に危機感を感じていたこともあるが、今回はいつもと何か違っていた。
不完全燃焼に終わっていた「仕事」とちゃんと向き合いたい、一度きりの人生で仕事を楽しんだ、がんばったという実感が欲しかったのかもしれない。
どのくらいの期間がたっただろうか……、
見えない出口を手探りで探し続けて、私はやっと就職できた。
それは、本当に嬉しくかったし、新しく始まることに期待と不安でいっぱいだった。
新しい生活は、やらなければならないことは変わらないが、やりたいことは増え、ダダ漏れの時間は激減した。だからか、以前より毎日がずっと楽しく充実している。イライラすることも減った。満腹なのにまだ食べたい、ということはもうない。大好きで熱中できる仕事を見つけたからだ。上手くいかずもどかしい思いをすることもあれば、失敗して凹むこともある。だけど、何もせずにいた時よりはずっといい。
私にとって「仕事」は、楽しみや喜び、ドキドキやワクワクを与えてくれる「ごちそう」みたいな物かもしれない。きっと、「ごちそう」をいただく事で得られる幸福感がたまらないから「仕事」をするのだ、したいのだ。
 
楽しくやりがいのある仕事は、ボーっと待っていてもやって来ない。自ら探しに行かなくてはならない。そして、もし見つけられたら、貪欲に挑戦していかなくてはならない。
それは、「ごちそう」が食べたければ自分で探し、自分で箸を使って、口の中に入れる。それと同じこと。
口を開けて待っていても誰もごちそうを口までは運んではくれない。
 
口いっぱいに広がる「ごちそう」はどんな味だろか?
マイ箸を持って、「ごちそう」を掴みにいこうではないか。
 
 
 
 
***
 
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2020-06-19 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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