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落とし穴に落ちた友人が200万円の借金を背負わされた話


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:村井 美月(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「実は私……。まだ初任給すらもらえていないのに、もう200万円の借金作っちゃったんだよね……」
 
高校時代からの友人であるAちゃんに、久々に会って言われた衝撃の一言。
お互い大学の卒業も確定し、それぞれ内定をもらった会社に入社しようとしていた矢先のことだった。
 
Aちゃんはノリが良く愛嬌もあり、その場の空気を読めるタイプ。高校生当時、クラスの全員から好かれているような子だった。
それに加えてまわりから評価されていたのは、彼女の堅実さと、誠実さ。友達と割り勘をする時は真っ先に清算し(もちろん自分以外の人が全員の分を支払ってくれた時でも)、律儀に一円単位でお金を返すような女の子だった。
ちなみに、彼女の嫌いな男性のタイプは「ギャンブルをする人」だったと記憶している。
 
そんな彼女が多額の借金を抱えることになるなんて。
とても信じられなかった。
 
Aちゃんからこの暴露話を打ち明けられたのは、今からもう10年近く前。
長い時間が経ちようやく忘れかけていたにも関わらず、この話を思い出してしまったのは、つい最近とある芸人が、とある妻(絶世の美女)を裏切って不倫をしていたことを、芸人の不倫相手に暴露されたニュースを見たことがきっかけだった。
芸人の不倫相手の女性が世間から猛烈なバッシングに遭っているのを見て、あの時のAちゃんの姿がフラッシュバックしたのだ。
 
フラッシュバック――そう、つまりAちゃんは、不倫が原因で多額の借金を抱えてしまったのである。
 
話を当時に戻そう。
 
私「えっ?! 200万円って、どういうこと?!」
 
Aちゃん「実はさ、私、アルバイト先の店長に口説かれたんだよ。
店長は私より20歳ぐらい年上だし、奥さんもいるって知ってたし、もちろん最初は無視してたの。
でも、バイトのシフトも店長にかぶせて入れられるようになって、毎回口説かれるうちに、私、店長になびいちゃって」
 
私「えっ! Aちゃん、昔から男性の浮気とか不倫、大嫌いなタイプじゃなかった? それに、同い年の野球選手、もしくは野球好きな会社員と結婚するのが夢だったよね? どうしてふた回り近くも年上の飲食店店長と?」
 
Aちゃん「私も自分でもわからなくて……。人として最低なことをしたと、今では本当に反省してる。でも当時は、大人の男性から今まで言われたことのないような嬉しい言葉を並べたてられて、奥さんとも別れるつもりだとか言われて、まあちょっとぐらいいいかってなっちゃったんだよね」
 
私「そっか……。でも、なんでそれがきっかけで借金?」
 
Aちゃん「それがさ、この前バイトから帰ってきて家のポストを開けたら、「不倫相手の奥さんの弁護士」から支払い通告の書類が届いてて……。
そこに、私と店長の不倫のせいで奥さんが精神的苦痛を受けたから、私が損害賠償金として奥さんに200万円を支払えって書いてあったの。もし2年以内に支払わなかったら私を訴える、って」
 
私「えっ! 損害賠償って、まだ裁判もしてないのに。和解金ってこと? でもそれ、元はと言えば店長がAちゃんを強く口説いてきたことがきっかけで不倫に発展したじゃない? 裁判になったらAちゃんが勝てるかもしれなくない?」
 
Aちゃん「そう、私も自分で弁護士さんを探して聞いてみた。そしたら、訴えたらむしろ私がお金をもらえる可能性もあるって言われたの。
でも……。裁判になったら、親にも不倫がバレるし、就職先も内定取消しになるでしょ……。
裁判にするわけにはいかない、黙って支払うしかないよ……」
 
私「……。店長とはそのあと話したの?」
 
Aちゃん「少し話したよ。店長と奥さんは別れないみたい。それ以降は連絡しても繋がらない。バイト先でもシフトずらされてて会えないし。なんか、不倫していた時とびっくりするぐらい彼の態度が違って……。
今となっては、もしかして私が詐欺に遭ったのかもしれないって思う。口説かれたタイミングもおかしかったし。店長と奥さんははじめからグルだったのかも」
 
私「じゃあ、支払うの?」
 
Aちゃん「裁判起こされるわけにはいかないし、もし騙されてたとしても、なびいて不倫しちゃった私も悪いから。
支払い期限までの2年間は、とにかくしゃかりきになって働くしかないかな。(笑)」
 
とにかく衝撃の連続だった。
 
あの誠実なAちゃんが不倫を。
しかも、全く想像していなかった人と。
まだお金もほとんど稼いだことのない年齢で、多額の借金。
更に、その不倫はもしかしたら、用意されていた落とし穴だったのかもしれない。
相手男性の分の責任も、Aちゃんが全て背負わされたのだ。
 
ひとくちに「不倫」といっても、その関係は当事者にしかわからない。
 
私自身、誰かを傷つけるような恋愛の裏切りには断固反対で、万が一他の人に心が動いてしまうことがあれば(人間も、子孫をたくさん残すことで繁栄してきた「動物」なので、心が動いてしまうことは誰しもあり得ることだとは思っている)、必ず今一緒にいる人と一度別れてからにするべき思っているが、当事者になると、Aちゃんが経験したように、そううまくはいかないのかもしれない。
 
ただ、今回不倫が公になった芸人と、その不倫相手への壮絶なバッシング、そして、それにより思い出されたAちゃんの借金話を思うと、やっぱり不倫の代償はあまりに大きすぎるから何が何でも避けるべきだと、改めて肝に銘じたのであった。
 
 
 
 
***
 
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2020-06-19 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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