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メディアグランプリ

生き苦しさからの脱却を目指して


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:森真由子(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
なんか息苦しい。
喘息とか体力を使いすぎたとかではない。
世の中の空気感がなんとなく苦しい。
その苦しさが伝染してきているのか、生きること自体もなんとなく苦しい。生き苦しい。
 
テレビをつけると、人気俳優や芸人の不倫報道が流れている。
かと思えば、次は学校での陰湿ないじめに関する特集が始まる。
特に積極的に見たかったわけではなかったけれど、ぼーっとしてしまって、なんとなくテレビをひたすら見続けてしまっていた。
 
次第に呼吸が浅ってくる。
ちょっと胸が締め付けられる。
そして脳の左側からじんわりと頭痛が広がっていく。
鈍い痛みを感じて、自分の額の上に手を置くとき、私はいつも思う。
なんで世の中はこんなに狭いんだ、と。
 
鬱々とした気分にやられてしまったとき、美術館や博物館へ足を運ぶ。
その展示と私。それだけで自分の世界に浸れるような気がするから。
その世界に入り込むだけでこの息苦しさから解放される。
 
今回の展示は現代アート。
モネの『睡蓮』のように美しく分かりやすいものでなく、現代アートはとにかく何なのかが分からない作品が多いように思う。
だから以前はちょっと苦手意識を持っていた。
分からなさすぎて苦しかった。目の前にある作品に対してどのような気持ちを抱けばいいのか全く分からない。
石がただ何個も転がっているような作品や誰でも描けそうな線と点だけで構成された作品。
草間彌生さんの点だらけの絵を見たときはいつも苦しかった。
何が何だか分からない……。
 
だからいつも現代アートの展示を見終わる頃には、ぐったりしている。
何も理解できなかった、と落胆することが多い。
そんな苦しみから最近手に取った秋元雄史さんの『アート思考』という本がこんな私に手を差し伸べてくれた。
 
「アーティストたちは、歴史的な視野の中に自分を置き、自らの人生を通して、新たな見方を歴史に加えるべく、日々努力する人々です。……彼らの作品を通してアーティストの思考を追体験することで、これまで述べてきたようなまったく新しい見方を学ぶことができるのです」
 
なるほど。
そもそも現代アートとは新しい見方を提示してくれているもの、見る人に問いを投げかけてくれているものだったのか。
それなら分からないと感じて当然。そもそもその見方自体が自分の中に存在していなかったから分からないと感じてしまうのだ。
一度それを受け入れてしまうと分からないことも楽しめるような気がしてくる。
自分は今分からないと感じている、新しい見方に触れているんだ。そう思える。
 
そこでようやく自分が感じていた息苦しさの正体がなんとなく分かってくる。
テレビで流れていた不倫の批判やいじめの特集。
なぜ人々は自分の価値観で対象のその人を攻撃してしまうのだろう。
もしかしたら本当に当の本人は許されないことをしたのかもしれない、いじめられてしまうようなことをしていたのかもしれない。
でもそれはいくらでもいろいろな見方ができるから、きっと答えは一つではない。
 
その人のことが理解できないから、だから攻撃する。
こういった風潮の世の中に私は知らず知らずのうちに息苦しさを感じていた。
と言いつつも、私にも分からないものに対して攻撃してしまうような自分が確かに存在していた。
こんな自分にも辟易する。幼い頃はもっと純粋に世の中を見れていただろうに。
 
アートの分からなさを許容するようになってから、なんとなくだが、世の中の分からなさをも許せるようになってきている自分がいた。
視野を広げ、いろいろな視点からまず考える。
アートを見て、これは私たちに何を問いかけているのだろうかと考えるように
ニュースを見て、どうしてこういう行動をしたのかと自分なりに想像してみるようになった。
そうするといろいろな想像が湧いてきて、一概にこうだと言い切って批判なんてできない。
 
意見をしっかりと言いましょうと言われることがあるが、
一面だけを見て即答するのではなく、
時には分からないことを自分なりに紐解いていき丁寧に話していくのもありなんじゃないか。
 
芸術は平和をもたらすと言われているのも、そういうことなのかもしれない。
別の視点を持ち、相手を許すことから平和が始まる。
 
今日も美術館でインスタ映えを狙って、携帯で写真を撮りまくる女子たちがいた。
そういう楽しみ方も当然あるのだけれど、カメラ越しや写真越しだけでなく、もっと目の前の作品と向き合ってみてほしい、と心のどこかで思っていたりする。
向き合ってみるともっと広い視野の自分に出会えるかもしれないのに。
 
インスタ映えな写真を撮る側より、
自分自身が360度全てを写すカメラになることを目指す方が面白いかもしれない。
目の前の作品や世の中の事象のいろいろな面を見逃すことなく自分の目に写していきたい。
 
分からないことを許す。
そしてそれを面白がる。
少しだけど、こうしていくと自分が抱えていた生き苦しさから抜け出せそうな気がしている。
 
 
 
 
***
 
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2020-06-27 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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