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クレーム電話と彼氏のおじさん


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:きさらぎ(ライティング・ゼミ通信限定コース)
 
 
「ばかやろう! いったいいつ動くんだ」
 
電話に出た、第一声が「ばかやろう」ではじまる。
ショッピングセンターの管理部門では見慣れた? 聞き慣れた? 光景。
 
それにしても、お客様からのクレームの多いこと。
全国にある同じ系列のショッピングセンターのなかで、私の勤める地域はクレームが多いと言われている。
 
冒頭の発言は、日曜日の夕方、駐車場からの出庫に時間がかかって、もう30分も
車の中にいるという男性からのクレームである。
 
近隣道路は夕方のラッシュでノロノロと渋滞している。
そこに加えて、当方からの出庫が集中し、立体駐車場の屋上からの出庫は1時間ほどかかると、交通警備隊から連絡がきている。
 
「お急ぎの所申し訳ございません」といいながら、現在の状況を伝える。
心の中では(お昼すぎくらいから、夕方は出庫で混み合う、と何回もアナウンスしているのに)と思っている。
 
「こないだ来たときも同じ状況だった! どうして改善しないんだ!」
(いやいや、こないだ来たならわかるよね? なんで又同じ時間に帰るの?)
心の声を押し隠し、日曜日の夕方は混むことや、少し離れた駐車場の方がスムーズに出られることを案内するが怒り心頭のお客様には伝わらない。
 
他にも、「子供のお気に入りのキャラクターのカートが見当たらないからいますぐ持ってこい!」というものや、
落とし物の問い合わせで、こちらに届けがない旨を伝えると「館内全部を探してもらえないのですか?」などとびっくりするものがたくさんある。
 
なかには、おっしゃる通り、ごもっとも、というお声もあるが大半は少々身勝手かなと思われるものが多いと感じている。
 
言葉では丁寧に謝りながらも、心がこもっていない為、更に怒って電話をブチ切りされたり、
「感じが悪い。上司にかわれ」と二次クレームに繋がることもあった。
 
いくら理不尽なクレームであったとしても、上司に代わってもらうのは気が引けるし、へこむ。やり取りを聞いていたであろう上司は私を責めたりはしないけれど。
 
そこで、クレーム対応の本などを読んでみた。
どんな内容であろうとまずは傾聴する、とか、相手の言った内容を繰り返して、こちらが理解したことを伝えるとか。
なるほど、とは思うが、それも「心」が伴っていなければ、結局の所、相手には通じない。
そもそも、理不尽だ、とこちらが感じている相手に心を寄せるのはなかなか難しい。
 
考えた末に、電話のクレームの相手を彼氏だと思うことにした。
彼氏なら多少嫌なこと言われても大丈夫なはず。
失敗。
だって、そんな理不尽なこと言う彼氏、即別れる!
 
彼氏がダメなら、彼氏のお父さんならどうだろう。
これも失敗。
この親に育てられた彼氏と付き合うなんて無理。
そう思うと、とても感情移入できない。
 
では、めったに会わない彼氏の親戚のおじさんならどうだろう。
ビンゴ!
 
彼氏のおじさんが、クレームの電話をかけてきて対応している設定にした。
なんか理不尽なこと言ってきてむかつくけど、嫌われたくはない。
良い子だと思われたい。好印象を残したい。
めったに会わないし、たまのことだから頑張れる。
 
そう思って対応すると、いままでとは違った言葉がスルスルでてきた。
「ご不便をおかけしていて申し訳ありません」
「なにかお手伝いできることはございませんでしょうか?」
「お役に立てなくて申し訳ございません」
 
大好きな彼氏の嫌なおじさん。
嫌なおじさんだけど、できることはしよう。
嫌なおじさんだけど親切にしよう。
 
もちろんできないことはできない。
たくさんのお客様がみえるなか特別扱いもできない。
だけど、少しでも何かできることがあるならやって差し上げよう。
 
おじさんに好かれる = 彼氏から高評価 になるから。
 
「彼氏の嫌なおじさん」設定にしてから、クレーム電話の処理時間が短くなった。
上司への二次クレームもなくなった。
なかには、相当怒っていたのに、最後に「あなたに言ってもしょうがないことを言っちゃってごめんね」と謝られたこともある。
 
電話を受けて、お客様の要望に応えられることが増えたわけではない。
いままでだってやれることはしてきた。
なるべくお客様の意に添うようにしてきていたつもりなので、気持ちがかわったからといって、要望に応えているわけではない。
 
それなのにこの変化はなんだろう。
 
私は「彼氏の嫌なおじさん」だと思ってお客様に対応しただけ。
なんかむかつくこと言ってくる人だわー、と思う気持ちは変わらない。
ただ、このむかつく理不尽おじさんであっても、好かれたい、と思っている。
 
お客様は神様。クレームを宝と思え。
もちろん、文句を言いながらも足を運んで下さるお客様がいるからこそお給料が頂けるし、
クレームを解消することによって、よりよいお店作りができ集客に繋がる。
それはよくわかっている。
わかっているけれども、こちらも人間だ。
できないこともあるし、度を超したわがままには対応できない。
 
そんなジレンマを解消してくれるのが、「彼氏の嫌なおじさん」作戦だ。
 
嫌いなお客様、苦手な取引先との関係で苦労している人には一度試してほしい。
きっとむかつく気持ちを抱えながらも、気持ちの良い対応ができるはず。
 
最後に、冒頭のようなクレームを言わないための情報をお伝えします。
 
ショッピングセンターの出庫ラッシュを避けるには、駐車場出口の近くに車を止めることです。
空いているとついつい建物の近くに止めたくなりますが、そこはぐっとこらえて下さい。
間違っても、立体駐車場などに止めてはいけません。
上の階へ行けば行くほど、出るのに時間がかかります。
 
そこしか空いていないときはどうする?
時間があれば、晩ご飯も食べてラッシュが終わった頃に帰るか、時間のない時は入庫せずにあきらめて出直して下さい。
 
 
 
 
***
 
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2020-06-27 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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