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盛夏に体感温度を1度下げる方法、知りたくありませんか?


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:瀬戸際極聴(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
皆さんにお願いしたいことがあります!
期間は、7月の3週目から、8月の3週目の約1ヶ月間。
時間は、19時から21時。
夜道を歩く時、足元に細心の注意を払っていただきたいのです。
 
「あぁ、わかっているよ」
毎年、その時期は気にしているよ。とおっしゃる方!
ぜひ、お友達もお誘いあわせの上、
引き続き、意識を向けていただけたら、とても嬉しいです。
 
「なんの話し?」
そう思われる方も多いかと思います。
だからこそ、本日、こうして書いています。
街路樹の多い繁華街や住宅地、公園や公園のそばを歩かれる時は要注意。
無意識に歩く貴方の足元に、小さな命がいます。
セミです。
今まさに、土から出たばかりのセミの幼虫が、羽化する場所を求めて、ウロウロと探しまわっていることがあります。
夏、木や葉の裏に、セミの抜け殻がついているのを見たことがあると思います。
あれが、地面を移動しているのです。
「えっ? そんなことあるの?」 と思われた方は、
これまでに知らずに、何度か、いや何度も、セミの幼虫を踏んでいる可能性は高いです。
 
私が悲劇のセミたちの存在を知ったのは、15年前ぐらいでしょうか。
愛犬との夜の散歩中に、たまたま、そのことを知りました。
ある道で、土から出てきたばかりの幼虫が、踏まれていたのです。それも驚くほどたくさん。
周りに目を凝らすと、地上に出てきた沢山のセミの幼虫が、電灯の光に吸い寄せられるように、一方向に歩いていました。歩き出した先は、車も人も自転車も通る道。
足元は暗いし、枯れ葉なども落ちているので、小さなセミの幼虫に気づく人は、ほとんどいません。
 
それを知ってしまったあの日から、助けないわけにはいかなくなりました。
あれから、夏は、私にとって気の重い季節となりました。助けられないセミがいる。
毎夜、何度も足を運び、道をウロウロしている幼虫を手に取り、安全な木に移します。
無事に羽化し、美しいセミの姿を見せてくれる感動もあるけれど、タイミング悪く救えなかったセミに対する泣きたくなるような気持ち。
この作業を、ずっと誰にも伝えずに、一人で黙々と取り組んでいました。
こんなこと話したら、変人だと思われそうで。一緒に行く愛犬もイヤがるほどだし。
でも、時には変人もいるもの。そんなことをしていたら、ある時、声をかけられました。
「うちも夫婦で、ここに通っています」
(ちなみに、この夫婦、春はおたまじゃくしの救出に忙しいそうです)
 
そんな出会いに背中を押され、ここ数年は、夏になると、フェイスブックで訴えています。みんな、足元を見て歩いて欲しいと。
数人でもいい。気にかけてくれる人が増えたら。そして、その人がまた誰かに話してくれて、その人が気にしてくれたら。そうなることを願い、伝えています。
 
セミの生態は解明されていないことも多く、専門家から見ても謎が多いらしいのです。
セミのお母さんは、木の枯れ枝に卵を産みつけます。その卵は、約1年間、そこで成長し、卵から手足が出て、小さな小さなセミの幼虫になります。アブラゼミの場合だと、おそらく2ミリぐらい。その状態になると、木から落ちて、今度は土の中の生活に移ります。ツルハシのような前脚を使い、土に潜ります。
我が家の前の公園の土は、カチカチです。木から落ちた2ミリの幼虫がどうやって、あの土を掘るのでしょうか……。昨年、人工芝が敷き詰められた公園もあります。小さな赤ちゃん幼虫が地面に降りて来ても、もはや土はないのです。あぁ、どうするのでしょう。
 
アブラゼミの土中での幼虫時代は、6年ぐらいと言われています。
羽化の条件が整えば、幼虫は地上に出て、成虫となります。
そう、この地上に出たばかりの時、踏まれることが多いわけです。
 
私は、イメージしてしまうのです。
長い土中生活を終えて、最後の〈子孫を残すため〉の務めに入る彼らは、
今か今かと、その出発の日を待ちます。
今宵、行くぞ! と思ったのに、雨が降り出し、明日に延期することもあるでしょう。
同じ旅立ちを控えた仲間と相談することもあるのではないでしょうか。
今日がいい、いや、もう少し、暑くなってからにしようか。
卵時代に見て以来、初めての地上。そして、これから向かう、想像もしない空。
期待と不安。
「生きて会えたら、空でまた会おう!」
「必ず、生きて会おう!」
と、勇気をふり絞り、仲間に別れを告げ、地上に出て行くのです。
 
あぁ、こんなセミたちを無事に空に飛ばせてあげたい。
足元を注意深く見るだけで、救われる命があるなら、彼らを助けてあげて欲しいのです。
 
さて、足元に見つけた場合に、これから取る行動をお伝えします。ここが重要です。
セミは、刺しも噛みもしない、これといった武器がないのが特徴の平和な昆虫。
ましてや、道を歩く幼虫は、本当に無力。動きも遅い。
ゴキブリみたいで、気持ち悪く思うかもしれないけれど、そう思っても我慢して欲しいです。
脚が、木に登るためにギザギザしていて、触ると少し痛く感じるかもしれないです。
でも絶対に、貴方を攻撃したりはしない。
背中をそっと持って、まずは優しく手のひらに載せてみて欲しい。
ギザギザの脚で、ジリジリと顔の方に移動しようとしてきたとしても、焦らないで!
怖いからと、地面に、はたき落としたりしないように。そっと背中を持って、また手に戻しましょう。
考えてみて欲しいです。貴方が幼虫を怖い!と思う気持ちと、幼虫が貴方を怖い!と思う気持ちの大きさの差を。幼虫は、圧倒的に非力で、怯えています。
カラダはもちろん、脚も取れたりしないように、大切に扱ってあげてください。
脚が1本取れたら、もう成虫にはなれない。羽化することはできないのです。
 
手に載せたら、一瞬、観察させてもらうといいです。
ツルツルした体は、小さな宝石のような輝きで、つぶらな瞳がなんとも可愛い。
きっと貴方が、地上に出て、初めて見た生き物。キョトンとした顔をします。
「頑張って、羽化しろよ。そして空を飛べよ!」と、声をかけ、
近くの登りやすそうな木に、そっと移してあげて下さい。
 
いかがでしょう?!
たったこれだけです。
セミの幼虫は、その後、健気に木を登り、適当な羽化しやすい場所を見つけることでしょう。
貴方が、命を救ったセミ! 明日の朝には、自由に空を飛び回ります。
今まで暑苦しいとすら思っていたセミの鳴き声が、爽快に聞こえ、体感温度が1度下がること請け合いです。
 
どうでしょう? 一緒にやっていただけませんか?
これが、私がお願いしたいことです。
 
 
 
 
***
 
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2020-07-03 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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