メディアグランプリ

未来の日本昔話


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:大久保 美華(ライティング・ゼミ通信限定コース)
 
 
「今日はこの絵本を読んで寝ましょうかね」
娘に伝えて、久しぶりにある本を取り出し、読み聞かせを始めた。
 
「昔々、ある村に、心のやさしい浦島太郎という若者がいました。浦島さんが海辺を通りかかると、子どもたちが大きなウミガメを捕まえていました。そばによって見てみると、子どもたちがみんなでカメをいじめています。「おやおや、かわいそうに、逃がしておやりよ」」
 
今日の絵本は、日本昔話の1つで特に有名な浦島太郎の物語。
 
小さい頃に誰もが一度は耳にしたことがある物語ではないだろうか?
 
ウミガメは助けてくれたお礼に、浦島太郎を竜宮城へ連れていきお礼をする。浦島太郎は竜宮城で思う存分楽しみ、陸へ戻る際に玉手箱を渡される。絶対に開けるなと言われた玉手箱を開けてしまった浦島太郎は、玉手箱から出た煙でおじいさんになってしまう。という結末。
 
なんとも現実的ではない物語であるため、大人になって改めて見直してみると、ツッコミどころが満載。そんなことあるわけがない。と思う箇所がありすぎる。物語を作る人の発想力に感心しつつ、心の中でくすっと笑った。
 
さて、娘は寝たし今日はここまでと本を閉じようと思ったが、久しぶりの浦島太郎物語だったため、そのまま読み進めてみた。
 
本を読み進めながら、ふと別のことが脳裏によぎった。
 
最近問題になっている、プラスチックごみ問題のこと。
 
ウミガメが、海に漂うプラスチック製のポリ袋を餌のクラゲと間違えて飲み込んでしまい、胃の中にそれがとどまってしまうため、満腹であると勘違いしてしまい、食事を摂らずに餓死してしまうことがあるという話を聞いた。
 
人間が捨てるプラスチックごみの影響で、ウミガメが絶滅危惧種になりかけているという。
 
以前その話を聞いたとき衝撃をうけた。
私にできることをやろうと、マイバックを持ち歩いたりマイペットボトルを用意したり、なるべくプラスチックごみを出さないようにし始めた。
 
浦島太郎の物語に出てくるウミガメが、もし絶滅してしまったら、数十年後、浦島太郎物語のウミガメは存在しない生物となる。
娘が将来、仮に子供を産み「浦島太郎の物語」を読み聞かせするとき、ウミガメという言葉は書き換えられるかもしれない。
 
なんともむなしくなった。
 
浦島太郎の本を閉じ、眠りにつこうとした私だったが、他の物語も妙に気になり、環境問題とリンクさせ始めた。
 
例えば、桃太郎。
 
昔々あるところに、おじいさんとおばあさんが住んでいました。 おじいさんは山へ芝刈りに、おばあさんは川へ洗濯に行きました。おばあさんが川で洗濯をしていると、ドンブラコ、ドンブラコと、大きな桃が流れてきました。
 
よく知られている桃太郎。
そもそも大きな桃が流れてくること自体おかしな話だが、一旦そのツッコミはおいて考えた。
 
桃太郎が執筆された時代より、地球温暖化の影響で気温は上昇しているのではないか。仮に、2020年夏に桃太郎が入った桃が川から流れてきたとしたら、大きな桃に入っている桃太郎は暑すぎて熱中症になるのではないか? と。おばあさんに会う前に、自分から飛び出してしまうかもしれない。そんなことを勝手に考えた。
 
昔々、竹を取って暮らしているおじいさんがいました。ある日の事、おじいさんが竹やぶに行くと、根元が光っている不思議な竹を見つけました。
「ほほう、これはめずらしい。どれ、切ってみようか。あれ?これは!?」おじいさんがその竹を切ってみると、なんと中には小さな女の子がいたのです。
 
この話は、かぐや姫。
 
今は森林伐採で竹が切り倒されていることが多く竹やぶが減っている。2020年の物語だとしたら、かぐや姫が入れる竹は少ない。
 
昔々あるところに、おじいさんとおばあさんがいました。心の優しいおじいさんは、一羽の雀を飼っていました。ある日雀が、おばあさんがつくったノリを、ツンツンと突いて食ベてしまったのです。
「このいたずらスズメ!」
怒ったおばあさんはスズメをつかまえると、なんとハサミで雀の舌を切ってしまいました。
 
なんとも恐ろしい物語で始まる舌切り雀。
公害の影響や人間の生活様式の変化で、雀はいま、絶滅危惧種となっている。
数十年後、本当に雀が絶滅してしまったら、物語の雀を見たことがない子供に、舌切り雀の物語を語れるだろうか……。
 
色々と考えすぎて、寝る予定の時間をすでに1時間も過ぎていた。
日本昔話と自然問題をリンクさせて考えてしまい、なんとも虚しい気持ちになった。
浦島太郎の物語から変な方向に舵を切ってしまったが、私が子供のころに聞いた日本昔話は、今後も受け継がれるのだろうか。と、しなくてもいい心配をしてしまった。
日本昔話に大きな思い入れがあるわけではないが、このまま受け継がれてほしいと願いながら、眠りについた。
 
 
 
 
***
 
この記事は、天狼院書店の大人気講座・人生を変えるライティング教室「ライティング・ゼミ」を受講した方が書いたものです。ライティング・ゼミにご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。
 

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

 

お問い合わせ


■メールでのお問い合わせ:お問い合せフォーム

■各店舗へのお問い合わせ
*天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。


■天狼院書店「東京天狼院」

〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F
TEL:03-6914-3618/FAX:03-6914-0168
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00
*定休日:木曜日(イベント時臨時営業)


■天狼院書店「福岡天狼院」

〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階
TEL:092-518-7435/FAX:092-518-4149
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00


■天狼院書店「京都天狼院」

〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5
TEL:075-708-3930/FAX:075-708-3931
営業時間:10:00〜22:00


■天狼院書店「Esola池袋店 STYLE for Biz」

〒171-0021 東京都豊島区西池袋1-12-1 Esola池袋2F
営業時間:10:30〜21:30
TEL:03-6914-0167/FAX:03-6914-0168


■天狼院書店「プレイアトレ土浦店」

〒300-0035 茨城県土浦市有明町1-30 プレイアトレ土浦2F
営業時間:9:00~22:00
TEL:029-897-3325


■天狼院書店「シアターカフェ天狼院」

〒170-0013 東京都豊島区東池袋1丁目8-1 WACCA池袋 4F
営業時間:
平日 11:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00
電話:03−6812−1984


2020-07-03 | Posted in メディアグランプリ, 記事

関連記事