メディアグランプリ

答えがあるようで、答えがないこと


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記事:いいだれいこ(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
「あぁ、なるほど。そういうことか!」
 
最近のことだ。
私は仕事でいろいろな先生のお話しを聞いたり、読んだりする機会がある。その中である先生がおっしゃった「インターネットの情報に答えはない。自分で腹落ちすることが大切だ」という言葉に衝撃を受けた。
自分の考えと180度違う考えだった。だって「インターネットの情報は自分の知りたい答えを探すために使うものでしょ」と思っていたからだ。実際に自分の求める情報が見つかり満足したことは何千回とある。
 
どういう意味なのか。過去の体験と重ね合わせて考えを巡らせていた。そしてようやく納得でき、出てきたのが冒頭の言葉だ。
 
それまでの私は、インターネットに答えを求めては探し続ける検索魔だった。
その期間、5年。なんと長いことか! この5年という歳月の中で何時間をネット検索に費やしただろうか……。この事実を不幸だと思うべきか、それとも、今気づけたことは幸せだと思うべきなのか。
 
検索魔になったのは、不妊治療がきっかけだった。
5年前。子どもが出来ずに病院に通い始めてしばらく経つのに、成果がでなくて焦っていた。そして通院期間だけが長くなり治療自体に不安も覚えてきた頃だった。
気になっては、今の体の状態や治療の段階をインターネットで調べる日々。
なんとなく調べていたつもりが、いつの間にか1時間たっていたとか、夜に気になって調べていたら止まらなくなったとか。他人の体験談を読み漁り、自分と照らし合わせては一喜一憂していた。
翌朝には目の疲れと共に抜けない疲労感と心労で、モヤモヤした気持ちになる。
「はー、またやりすぎた」と反省。分かっていながら、やめられなかった。
 
ずっと答えがほしかったからだ。
「私は妊娠できますか?」の答えを。
 
不妊治療自体、今は珍しくない。私が通っていた病院は、いつも大勢の患者で混雑していた。同じ理由で通院経験のある友人たちも検索魔になっていたというから、もしかすると患者さんの多くが同じような検索魔になっているのかもしれない。
けど、そうなるのも無理はない。治療ステップが上がるほどその内容は複雑になり、心身ともに負担が大きくなるものだから。見えないゴールに向かって、時には一人で走り続ける不安や焦りは果てしなく大きい。
 
まるで円周率の数字のようだ。
小数点以下の数字が無限に続く数、円周率π=3.1415926……
ずっと見ているとこの数字が道のように見えてくるから不思議だ。
まさに、果てなき道だ。
 
通院を始めて2年になる頃、ようやく妊娠できた私は、喜びとともにホッとした気持ちでいた。スマホを見ている時間はグンと減り、検索魔は身を潜め、いなくなったかのように思ったのだが。
新しい家族が増えると心配はつきないもので、再び検索魔が襲ってきたのだ。
家族のことを想うあまり、自分がツライ気持ちになるなんて、どういうことよ……。
 
こんな負のループを繰り返していたのだが、「インターネットの情報に答えはない」という言葉に気付かされ、救われた。
まさに、「神様ありがとう!」ならぬ、「先生ありがとう!」状態だ。
 
要は、自分でどう納得するかだ。
ネット検索すること自体は悪くないし、むしろ必要だと思う。
私の体験談を例に言えば、治療法について知りたいときは、インターネットの情報が多いに役に立つ。自分で納得しやすい情報だからだ。
その一方で、なかなか納得しづらいのが、自分のことや家族に関する「なぜ」を知りたいときだ。
インターネットの情報は、あくまでも他人の体験談だ。そこには答えがあるようで、実は答えがない。100パーセント同じである保証はないのだ。
 
だから、私はインターネットの情報を調べるとき、時間で区切るようにした。5分~長くても10分。もし情報に惑わされて彷徨いそうになった時は、自分にこう言い聞かせる。
「そこに答えはない。自分は自分だ」
 
心のより所になるのなら、ときに検索魔になってもいいと思う。
けど、深みにはまる前に少し立ち止まってみるのも有りかもしれない。「答えのない答えを探している」という意識を持つだけで、情報の見方は変わるものだ。
見方が変われば、必要以上に時間をとられずに済むかもしれない。必要以上に不安にならずに済むかもしれない。自分は自分、他人は他人なのだ。
 
情報で溢れている世の中は、便利なときもあれば、そうでないときもある。
情報に惑わされず、上手く活用していこうじゃないか。
自分なりに納得できるところを見つけよう。
 
今、こう思えるようになった自分は幸せだ。
果て無き道に見えた円周率の数字が、なんだか楽しそうな人生の道に見えてきた。
 
 
 
 
***

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2020-07-10 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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