メディアグランプリ

「お母さん」こそ自由に生きよう


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記事:谷津智里(ライティング・ゼミ通信限定コース)
 
 
「子どもがいて仕事もしてる人って本当にすごいと思います」
去年出会った年下女子にそんな風に言われた。
母親になって14年も経つ私は、その言葉にドキマギする。
 
自分に子どもがいること。
仕事をしていること。
その2つはすでに、自分にとって何の疑問も持たないほど自然なことになっているからだ。
 
でもそういえば。
20代前半、独身で会社員をしていた頃のことをちょっと頑張って思い出してみれば、
彼女たちの不安も分からないではない。
だから、ドギマギなんてしていない素振りで私はこう答えた。
 
「子どもができるって、外国に引っ越すくらい、ガラリと生活が変わること。だからやってみればいいよ。今の生活に子どもの面倒を見る時間がそのままプラスされるとは思わなくていいよ」
 
そう、息子と一緒に暮らすようになる前と後では、私の人生は、明らかに違うものになった。
そして私は今、一人だった時の自分より、自由だ。
 
「自由」ってなんだろう?
 
時間が拘束されていないこと?
お金を全部自分のために使えること?
好きな時に遊びに行けること?
休みの日に寝たいだけ寝れること?
 
確かに、「お母さん」はそれらができないような気がする。
手帳には子どもたちのスケジュールが最優先で書きこまれるし、
すぐ小さくなる洋服や習い事やイベントごとに、お金はどんどん消えていく。
子どもが中3と小4になっても、「じゃあ明日から3日間旅行に行ってくるから」というわけにはいかないし、
休みの日でも、遅すぎない時間に朝ごはんを食べさせなければ、と最初に起きる。
でも、じゃあその制約が全部無くなれば、私は自由なのだろうか?
 
昔少しだけ、デザインの勉強をしたことがある。
その時、強烈に胸に刻みこまれたのは「デザインには制約が必要」ということ。
たとえば真っ白なキャンバスに「さあ自由にデザインしてください」と言われて何かを描くのは、かえって難しいでしょう?
「これとこれとこれ、こういう条件で描いてください」と言われた方が、「だったらこうしよう」というアイディアが浮かんでくるものだったりする。
 
もちろん、無条件で自由に描いて素晴らしいものを作れる人もいる。
でもそれを他の人に認めてもらうことはとっても難しい。
手がかりが無いからだ。
何かをする時に与えられる「条件」は、自分と、自分がやったことを受け取る人、その周囲で関わる人とをつなぐ媒介なのだ。その制約をクリアして誰かが喜ぶものを作ろうとするから、今までに無いアイディアが浮かぶし、誰かに「いいね」と言ってもらえる。ひいては
それが自分を評価してもらえることだったり、自分の存在意義につながる。人は人との関係の中で役割を果たすことで、自分の存在を確かめることができるのだ。
 
お母さんになるということは、その制約を次から次へとひっきりなしに与えられる生活になるということ。
次から次へと初めて出会う状況の中で、
どうしたら泣き止むんだろうとか、
どうしたら眠るんだろうとか、
どうしたら食べるんだろうとか、
目の前の小さな人が笑ってくれる方法を必死に探し続ける。
それを繰り返しているうちに、それまでの自分では考えられなかったことをやったり、できるようになるのだ。
 
私は一人暮らしだったとき、ほとんど料理なんてしたことが無い。
でも今は、毎日のように料理をするのが当たり前になってしまった。
そうしようと思ったわけではなく、気がついたらそうなっていた。
仕事も同じ。
フリーランスになろうなんて、若い時には考えもしなかった。
大切な家族ができて、家族の事情で地方移住して、子どもを育てながら自分にできることを必死に模索していたら、結果、フリーランスになっていた。
子どもとか家族とか、自分の意思だけではどうにもならないものが、自分だけでは出会えないいろんな世界に出会わせてくれる。制約が無かったら出会えなかった新しい自分に、どんどん出会っていけるのだ。
 
だから自由というのは、制約が無いことじゃない。
制約が与えられた時に、自分で考えて、自分で選べるということだ。
 
そのことの繰り返しが、自分の足跡を刻み、人生の手応えと確かな自信をつけていく。
与えられる制約が、そもそも自分がいないと生きられない目の前の小さな人からのものだったら、取り組まないではいられない。
仕事のいちばんの報酬は「あなたにお願いしたい」という信頼を得られることだと思うけれど、子どもからの手放しの信頼は、私が今ここにいるだけで生きている価値があるよと、保証してくれるものになる。だから、困難に立ち向かうことができるのだ。
 
その時に気をつけないといけないことが一つあって、
それは「自分のことも笑わせる」こと。
相手だけ笑わせるんじゃなくて、自分も笑う。
 
そうじゃないと「なんで自分ばっかり」って思ってしまうから。
そしたら子どもも「自分のせいで」って思ってしまって、子どもも自分のことが愛せなくなるから。
だからお母さんは、自分を大切にしなくてはいけない。
自由でなくてはいけない。
 
お母さんこそ、自由に生きよう。
この時間とこの時間をこうやりくりして……なんていうテクニックの話ではないのだ。
怖がらないで飛び込んでみればいいよ。
 
 
 
 
***
 
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2020-07-18 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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