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映画「Fukushima50」を観て

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記事:きさらぎ(ライティング・ゼミ5月開講通信限定コース)
 
 
あなたは原子力発電の稼働についてどう思いますか?
原子力発電の稼働に賛成ですか? 反対ですか?
 
映画「Fukushima50」を観てきた。
最初から最後まで、涙でスクリーンが見にくくなるほど
号泣していた。
福島の原子力発電所で、福島を、日本を守るため、現場の
人々がどれだけ強い思いで、死する覚悟を持ってやって
いたのだろうか。
 
映画を観て、あらためて、今から9年前に起きた原発事故の
恐ろしさを痛感した。
当時、福島原発の映像が24時間リアルタイムで流れ、
私達は「メルトダウン」という言葉をどれだけ聞いたか。
あの悲惨なチェルノブイリよりもっと酷いことになる。
東日本が、もしかして国土の半分がなくなってしまうかも。
福島から遠く離れて住んでいる私でさえも不安な気持ちで
いっぱいだった。
福島や関東地方に住まれている方、故郷があるかたは、
どれだけ恐怖に震え、眠れない夜を過ごしたのだろうか。
 
私がこれほどまでに涙したのには理由がある。
 
原発事故から数年後、電力会社の火力発電所で、
見学案内の仕事をしていた。
見学ルートの途中、中央制御室という、車でいう
運転席のような所を案内する際に必ず言うことがある。
「こちらの者達は、24時間365日交代で勤務し、
地震や台風の時は、すぐにこちらに駆けつけます。
大震災、と呼ばれる規模の地震では、この発電所の社員は
全員集合となります」
そこで、見学者から、おお~という声があがる。
多くの会社では、大震災が起こった時に即座に出勤
だなんてありえないことだと思う。
スイッチを押せば電気がつく、当たり前の日常を
守るため、ここの社員達は日夜頑張っている。
そんなことを伝えようとしていた。
 
あるとき工業高校の案内をしたとき、技術系の社員にも
見学案内を手伝ってもらった。
電力会社に就職を希望する学生の技術系の質問に答えて
もらうために。
見学を終えた後の質疑応答で、
その時、その社員が言った言葉を今でも忘れられない。
「電気がついているのが当たり前、と思ってもらえるよう
仕事をしている」
私はお客様に、停電することもほとんどなく、
電気が使えるのは当たり前のように思うけど、
そうじゃないよ! なんてどや顔で言っていたのに、
その社員は「当たり前」と思ってほしいというのだ。
 
ほどなく、その彼だけではなく、ここで働く人達は
皆そう思って仕事をしていることに気がついた。
電力の配給を止めてはいけない、事故を絶対に起こさない。
普段の仕事から、そんな、強い決意を感じていた。
 
映画を観て、私の知る発電所の人達と、映画の福島原発の
人達がだぶって見えた。
同じ状況なら、彼らも、命がけで任務にあたるのだろう。
 
大変な事故で、未だに自宅に帰れない人達がいる。
それでもあの事故での直接的な死者はいない。
もちろん運が良かった部分もあった。
それでも、命がけで守ってくれた人達がいたことを
私達は忘れてはいけないと思う。
 
原子力発電を稼働することについて、様々な意見が
あると思う。
 
私は、ハッキリとした答えを出せずにいる。
 
一番に思うのは、事故が起こった時のリスクが高すぎる。
本音の本音は、原子力発電などないほうがいい、と
日本に住むすべてが思っているのではないか。
では、なしでいいじゃない、とも簡単に言えない。
 
電力会社で仕事するまでは、日本中の原子力発電を
全部止めても電力不足にならなかったから、
日本には必要ない、と考えていた。
しかし、日本の電力事情などを勉強するうちに、
そんな簡単なことではないと思うようになった。
 
日本のエネルギー自給率はたった9%だ。
低いといわれている食物自給率でも40%近くあるのに。
そのほとんどは政治も不安定な中東に依存している。
 
そして、「ジャパンプレミアム」といって、他の国より
高い値段でエネルギーを輸入している。
原子力発電を完全にやめてしまったら、間違いなく、
更に価格がつり上げられるだろう。
 
代替えとなりうる「再生可能エネルギー」の
太陽光発電なども、まだ、メインのエネルギーには
なれない。
その理由は、私達が電気使用量とは別に支払っている
補助金がなければ事業として成り立たないからだ。
もう1つ、発電量のコントロールができないことも
問題だ。
太陽光でいえば、天気の良い時はたくさんの電気が
作られるが、天気が悪いと作られない。
発電所でその過不足を調整するのだが、火力発電は
スイッチを入れてから稼働するまでに何時間もかかる。
天候を考慮しながら、発電量を決めているが、
なかなか難しい作業であるし、
つけたり消したりのコストもかかる。
 
ドイツでは、過剰に作られてしまった風力発電の電気を
フランスに流している。お金を払って!
また、電気が足りない時は、フランスから買っている。
脱原子力を唱えるドイツでも、フランスの原子力発電に
頼っているのが現状だ。
 
でも、だからといって、
ひとたび暴れたら手がつけられない怪物を
いったいどうしたらいのだろうか。
 
私の頭はループから抜け出せないでいる。
 
みなさんも、「Fukushima50」を観て、
原子力発電について考えてみて下さい。
 
願わくば、一日も早く、安全かつクリーンで、
そして安価な新しいエネルギーが発明されますように。
エネルギーがなく、原子力の恐ろしさを知っている
日本が先頭にたってすすめてほしいと思うのです。
 
 
 
 
***

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2020-07-24 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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