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スペイン語は、神様と話すためのもの?


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記事:坂田文(ライティング・ゼミ5月開講通信限定コース)
 
 
かのスペイン国王カルロス1世は、かつてこう言ったそうだ。
 
貴婦人と話す時は、フランス語
馬と話す時は、英語
歌を歌う時は、イタリア語
神様と話す時は、スペイン語
 
神様と話したいからという理由ではないが、私はスペイン語を学んでいる。
かれこれ、8年ほどになるだろうか。
そのきっかけとなったのは、レストランでのサービスマンを志したからだ。
当時入社したのが、たまたまスペイン料理を提供するレストランであり、そこで社長に言われたのだ。
「ここでサービスマンになりたいなら、スペイン語を話せるようになりなさい」
 
理由は簡単。
スペインからワイナリー関係者などのゲストを迎える際に、彼らの母国語で話ができるように、というものだ。
 
そんな理由で学び始めたスペイン語だが、神様にお願いするよりも確実に、新たな世界を私に見せてくれている。
 
実際にスペインに行き、そこで出会った人々は、子供のように人間らしい人間だった。
自分が持つ感情を大切にし、それを素直に表現する。
「良い」とか「悪い」とかではなく、「だって私がそう思うんだもん」というような素直さだ。
 
それに、みな温かい。
目の前にいる人を大切にするという、当たり前のようで実際にはなかなかできないことを教えてくれた。
 
スペイン語を学び始めた当時、私は年に一度のペースでスペインに行っていた。
そして、2回目に行くことになった時、同僚が声をかけてくれた。
「バルセロナに行くんだったら、僕がフランスに留学してた時のスペイン人の友達がいるから、会ってみたら?」
 
私は即答した。
「是非、お願いします!」
 
そして、そのお友達、ナンシーに会うことになった。
当時の私は、挨拶くらいしかスペイン語を話せなかった。
英語も同じくらいで、正直なところ、「会うのはいいけど、どうやってコミュニケーションをとればいいんだろう」と、内心不安でいっぱいだった。
 
だがナンシーは、私の心配をいとも簡単にといてくれた。
1つ年上の彼女は、まるでお母さんのように、簡単な言葉で色々と話しかけてくれ、そして、私のつたないスペイン語を熱心に聞いてくれた。
 
「モヒートが美味しいから」と連れていってくれたお店で軽く飲んだ後、彼女はお家に招待してくれた。
「オムレツ好き?」と言って、スペインの家庭の味の代表格であるオムレツを手際よく作ってくれた。
 
ただ、友達の友達というだけで、その日に初めて会った人を家にあげ、しかも手料理をふるまってくれるなんて!
それに、私の語学力が足りないことも十分承知で、つねに気を遣ってくれていることもひしひしと感じる。
 
あぁ、スペイン人てなんて温かいんだー!
と、私は感動し、自分を振り返った。
それまでの人生で、こんな風に人をもてなしたことがあっただろうか。
もちろん、なかった。
自分と年は変わらないのに、こうして人をもてなすことのできるナンシーに出会い、私の心は熱くなった。
 
別の年には、地中海に浮かぶマジョルカ島にワイナリーの見学に行った。
その時に案内してくれたのは、ワイナリーの一人息子のハイメだった。
 
ハイメは車で迎えに来てくれ、ワイナリーまで連れて行ってくれた。
その車内では、簡単な言葉で色々と話しをしてくれ、質問してくれる。
しかし、私は緊張していた。
スペイン語の会話がそこそこできるようになったとはいえ、レストランで勤務していた当時、ワイナリーを見学するということは、ただの遊びではなく、それなりに日本に何かを持ち帰らなければならないというプレッシャーを感じていたのだ。
 
ワイナリーに到着すると、ワインの試飲をさせてもらった。
まだ緊張している私を見かねて、ハイメは声をかけてくれた。
「Estás en tu casa, Aya」
直訳すると、「君は君の家にいるんだよ」ということだが、これは日本語で言うところの「くつろいでね」とか「ゆっくりしてね」といようなニュアンスで使われるフレーズだ。
緊張した私を見て、「そんなに緊張しなくていいんだよ」と声をかけてくれたのだ。
 
ハイメはまだ20代半ばだったが、その大らかさは、まるで子どもに優しく接する父親のようだった。
ここでも、目の前にいる相手を大切に思う心にふれ、私はいたく感動した。
 
私にとってのスペイン語は、神様と話す言葉では、今のところない。
けれど、スペイン語を身につけ、スペインの人々に出会ったことで、「教えてください!」と神様にお願いするよりも確実に教えられたことがある。
それは、人を思う温かさだ。
 
親身になって人を思う。
目の前の人に楽しく、幸せでいてほしいと願う。
そして、その表現の方法は関係なく、その気持ちが大切なのだということを、私は学んだ。
それは、日本人として日本で生活するだけでは気づかなかった事だった。
 
スペイン語が、新たな世界を私に教えてくれたのだ。
人の温かさにあふれた世界を。
 
しかし、その世界はどうやらかなり広そうだ。
 
まだまだ、新たな出会いが待ち受けていそうである。
 
 
 
 
***

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2020-07-24 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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