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天狼院の部活およびラボとは、死に狂いである


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記事:金子千裕(ライティング・ラボ)

 

私は文章を書くのが好き。考えが言葉になり明確になってゆく瞬間がたまらないのです。でも文章だけじゃあ私の頭の中になる『イメージ』は伝わり切らない。
だからビジュアルに起こす……絵を描く、写真を撮る。
でも、絵と写真だけじゃあ説明が不十分になる。だから文章を書く。
全然違うこのこれらが、私の中では繋がっていて互いに必要としている。補完しあっているのです。だから、書いて描いて撮るのです。
もう、夢中で。
大好きだから本気でまず動く。そんな様を『死に狂い』と表現した武士が居ました。

――武士道においては分別出来れば、はや後るるなり。忠も孝もいらず。武士道においては死に狂いなり。

武士道を説いた江戸時代中期の書籍『葉隠』の一節です。
多分、なんとなく聞いた事がある人が多いと思います。

著者は肥前国佐賀藩鍋島家に仕えた武士、山本常朝と言われていますが、実際に書いたのは佐賀藩のご祐筆(※文章が上手で、お殿様の代筆や公文書の作成をする、いわばお城勤めのライターのような役職)だった田代陣基です。取材と編纂に掛かった時間は十年ほどと言われています。
巻数は全11巻。有名な『死に狂い』や有名な『武士道は死ぬと云う事と見付けたり』はそのほんの一部に過ぎません。そして、その後の文章が無いと片手落ちになってしまいます。

――我人、生くる事が好きなり。

一部だけを抜き取ると、どうしても矛盾しているように受け取れます。しかし、全体を通して読むとちゃんと筋が通っています。
気になった方は東京天狼院にも本書があるので手に取ってみると良いかもしれません。

話を戻して、そう葉隠の全体像です。
これは『近頃の若いもんは……』という愚痴と、死を意識し始めた山本さんの『こう生きたら良いよ』という生活の知恵をちょっと哲学的に語ったものになります。

そう、生き方の本なのです。

江戸時代の平均寿命は30代半ばだとされています。しかし、これは乳児・幼児が病気で亡くなる確率が高かった事が原因だとされています。

江戸時代は敦盛ではありませんが、大体『人生五十年』

葉隠の口述者・山本常朝さんと同時期の将軍・徳川綱吉が64歳、同じく家宣が51歳で亡くなっています。当時としては栄養状態がよく、最先端の医学を受けられた将軍ですら70歳まではまず生きられなかった。そんな時代です。

葉隠の取材が始まった時、山本さんは51歳。あと10年生きられるかどうか……そんな思いがあったはずです。死を前に、山本さんは若いご祐筆に半ば遺言のような形でとうとうと『どう生き、どう死ぬか』を語りました。

それが『葉隠』です。死ばかりをクローズアップされがちですが、そこには『死』があるからこそ『生』を必死に、そして『好きな事をして生きろ』というメッセージが込められています。

私の父が現在、74歳で就活ならぬ『終活』を始めました。葬儀の手配をしたり、遺言を書いたりするアレです。葉隠は山本さんにとっての終活だったのかもしれません。
そう言えば、父もどう生きどう死ぬかを私に語るようになりました。これは案外、的外れではないかもしれません。
 
父も山本さんも言います。
やりたい事をしなさい、と。
その代わりやるなら本気でやりなさい。成果を出しなさいと。
 
私には夢があります。しかし、それはまだかなっていません。

芝居の脚本を書き、友人たちと上演をしても同人ゲームの脚本を担当しても特に夢には繋がりませんでした。これは一重に修行不足、そしてアプローチの間違いがあったと思います。
それは小説や写真、絵の新人賞にことごとく落ちている事からも明らかです。
大学を卒業し、就職先も妥協に妥協を重ね『やれるけれど、本当にやりたい仕事ではない仕事』をして十年……
30歳を過ぎて、理想の私に近づく努力に本腰を入れないとこのままズブズブ行くぞ、という思いがムクムクと湧き上がってきました。

今の仕事は、会社という大きな組織の中で感謝される仕事ではあります。
金子さんのおかげで助かったよ、と言われることもしばしばです。
でも、その先に私が目指すものはあるのか? と問われると正直微妙です。

私には夢があります。それは、まどみちおの後に続くという夢です。

まどさんは詩。わたしは小説という文章のジャンルは違いますが、抽象画という共通点があります。文章では伝えきれない思いをビジュアルに起こすという共通点がまどさんと私にはあります。
そして宇宙に思いを巡らす。世界に思いを巡らす。それを作品に仕上げる……まどさんは驚くほど素晴らしい先達です。その域に届くのは、私一人では絶対に無理です。

私は天狼院を通じてその境地に立てればいいなあと思っています。

天狼院にはREADING LIFEを、読書を超えた体験とその体験を支える優秀な講師陣が揃っています。同じように全力(=死に狂い)で楽しみながら勉強しようという仲間たちが居ます。

本当に心強いです。

最後に部活やラボに通う上での、私の後悔を一つ。
年パスは安いです。五万円で講座受け放題は本当に安い。買って損なし。なぜ買わなかった自分! となります。
来年は買おう!

そう心に誓う吉宗……じゃなくて、私、金子千裕でした。

 

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この記事は、ライティングラボにご参加いただいたお客様に書いていただいております。
ライティング・ラボのメンバーになり直近のイベントに参加していただくか、年間パスポートをお持ちであれば、記事を寄稿していただき、店主三浦のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。

 

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