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プロはみな、「魔法の言葉」を持っている


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:根本 理沙(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
先日、ちょっと高価なネックレスを購入した。普段アクセサリー自体をあまりつけないため、どうせなら一生モノを買おう、と少し奮発することにした。
 
雑誌やネットで調べていて、商品の目星はつけていた。ほとんど足を踏み入れることのなかった、都内の百貨店に足を踏み入れる。普段よく行く、駅ビルの商業施設とは雰囲気が違っていて、妙に背筋が伸びる。
一目散に目当ての商品があるブランドの店舗を訪れる。ショーケースを眺めていると、すかさず店員さんがやってきて声をかけてきた。
 
ショーケースにあるネックレスを見せてください、と迷いなく伝えると、かしこまりました、と笑顔で商品を持ってきてくれた。やはりかわいい。けれど、実際に試着してみると、想像していたよりモチーフの部分が大振りで、少し自分には派手なように見えた。
そこからなかなか踏ん切りがつかず、時間が過ぎていった。他の商品を見たりしながら延々と悩んでいると、だんだん考えるのが面倒になってきた。ここは一旦退散して、日を改めようかと思いはじめた時、親身になって商品の説明やアドバイスをしてくれていた店員さんが、「魔法の言葉」を放った。
 
「お客さま、今日のようなシャツとジーパンのカジュアルなスタイルに、そのネックレスはとてもお似合いですよ」
 
ビビビ、と電撃が走った。本当に? じゃあいいかも。
私は、シャツ+ジーパンのラフなスタイルが好きで、いつも同じような格好をしている。特にジーパンはお気に入りのブランドがあり、こだわりというほどではないが、大体そこのジーパンを履いていた。
自分のお気に入りの格好に、このネックレスは似合うそうだ。店員さんのたった一言で、それまであんなに悩んでいたのが嘘のように、心がガッチリ固まった。入店しておよそ20分。私はようやくネックレスを購入した。
 
会計時に店員さんへ、先ほどの一言で心が決まりました、と伝えると、このネックレスが一番お似合いなのに迷われていたので、背中を押させていただきました、と上品に笑っていた。
どうやら私は、店員さんにうまくコントロールされていたようだ。
そう気づかされても、決して悪い気はしなかった。なぜなら、彼がプロの販売員だったから。
 
プロの販売員とは、顧客に「最高の体験」を与える人だと考える。商品を購入しようがしまいが、顧客はお店で最高の体験をすることで、商品だけでなく、販売員やブランドのことを好きになる。
最高の体験によって商品を購入したのであれば、またそのブランドの商品を購入したくなるし、たとえ商品を購入しなかったとしても、またお店を訪れたくなる。つまり、顧客はブランドのファンになるのだ。ファンの存在はブランドを運営する企業にとっても非常にありがたい。ファンが増えれば増えるほど、ブランドの価値は高まり、世の中への影響力も強まる。ビジネスの幅が一気に広がり、大きく躍進することができるだろう。
 
販売員が顧客に「最高の体験」を与えるには、私の実体験のように思わずグッときてしまう「魔法の言葉」を与える必要がある。これはかなり難易度が高い。
なぜなら、入店から退店までの短い時間で、顧客と信頼関係を築き上げなくてはならないからだ。魔法の言葉は、いきなりパッと思い浮かぶことは決してない。
人によってグッとくる魔法の言葉は異なり、相手となる顧客の人となりを知らなくては生み出せない。その人が何を目的に来店したのか、何を購入しようとしているのか、普段はどんな生活をしているのか、どんな仕事をしているのか、趣味や休日はどんなふうに過ごしているのか……。
ただ商品を販売するだけでなく、顧客の想いや気持ちを、接客の短い時間の中で的確にヒアリングをし、最適な「魔法の言葉」を与える。これぞ販売員としての仕事の醍醐味なのかもしれない。
 
魔法の言葉で最高の体験を提供する、という考え方は、販売員に限らず、どのような職業にもあてはまりそうだ。
相手が何を求めているのかを正確に汲み取り、求めている通りのものを、時にはそれ以上のものを提供する。どのような仕事にも必ず「相手」がいて、相手との信頼関係によって成り立っている。だからこそ、相手のことを常に慮らなくてはならない。
 
今回の買い物は、私にとって「最高の体験」になった。
素敵な商品を購入できただけでなく、レベルの高い接客に触れたことで、プロの仕事を間近で学ぶことができた。
自分一人で長時間パソコンと向き合っているだけでは、どうしても視野が狭まり、周囲が見えなくなってしまう。こうして時々、自分と異なる職業に携わる人と触れ合うのはとても刺激になる。私もクライアントに対して常に「最高の体験」を提供できるよう、「魔法の言葉」磨きを高めていきたい。
 
 
 
 
***
 
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2020-09-20 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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