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「それは自分が前から言っていた」話の幻想


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記事:フジタシン(ライティング・ゼミ5月開講通信限定コース)
 
 
「今お前が言ったことは、まさに自分が昔からずっと言ってきたことで……」
 
よく一緒に飲みに行く友人は、私と議論をする時、よくこの言葉を冒頭につける。
 
ずるいと思う。
私が初めて話す“とっておき”の話も、彼が「前からずっと言ってきたこと」にされてしまうのだ。
 
実にずるい。
別の友人は笑いながら、こう言う。
 
「あ~、わかる。アイツ、頭良すぎて言ってないことも言ったことになっちゃってるんじゃないの?」
 
確かに友人は読書家で、いろいろな知識を持っている。
法律、ビジネス、芸能、ファッション、色々なジャンルに精通している。
色々な小難しい言葉や概念も知っている。
 
もしかして、私がバカで理解できていないのだろうか?
 
そこで1か月、友人との議論を注意深く分析することにした。
 
「それは自分が前から言っていた」で始まる返事をされたのは、1か月に4回あった。
そのうち1回は似たようなテーマの話をしていたので許す。
しかし残り3回については、絶対“昔から”言われていない。
 
もしかして、単なる口癖なのだろうか?
そうだとしたら、75%の確率でウソをついている罪に問われるべきだ。
余計に許せない気持ちが高まってきてしまった。
 
そんな時、ふと中学時代の恩師があげたFacebookの投稿に目が留まった。
 
師曰く、
「考えることと、言語化することはイコールではない。」
人間は言葉で物事を考えていると思いがちだが、そうではないのだ。
 
人間の脳は、同時にいくつものことを高速で考えることができる。
その時に脳内で働いているのは、言葉ではなくイメージだ。
そのイメージを言葉に落とすことは、実はすごく難しい作業。
大人でさえ難しい言語化というのは、中学生にはものすごいハードルが高いことなのだ、と。
 
なるほど。
 
自分なりの「論」を立てるためには、土台として知識と思考能力が必要だ。
自分の持っている知識を使って、因果関係を整理したり、事実から仮説を構築したり、
はたまたゼロベースで新しいアイデアを思いついたりするには訓練が必要である。
 
友人はこれが得意だ。
たくさんの情報をインプットして、考えを巡らせ、脳内に様々なイメージを作っている。
時には、複雑で壮大なイメージを脳内に作り上げているに違いない。
 
対して言語化とは、そのイメージを他者に分かりやすく説明することだ。
本当に伝えたいことをシャープに表現するために、本筋ではない枝葉末節を切り落として話す必要もある。
だから、脳内に複雑なイメージを持っていれば持っているほど、それを簡単に言語化できない。
例えばこのエッセイだって、どんなに複雑で壮大な構想を脳内でイメージしていても、2,000文字程度で読者に伝えられるのは、その数パーセントだろう。
 
脳内で組み立てたイメージは完璧に伝えきれないのだ。
こればかりは、仕方がない。
むしろ全部を伝えようとすると、ごちゃごちゃしてしまって何も伝わらないことも多い。
 
正直、友人は言語化が得意ではない。
それなのに、脳内に作ったその壮大なイメージを、全て伝えられていると思い込んでいる。
これが、「まさに自分が前から言っていた」話が生み出される原因なのだ。
 
脳内で考えていることと、言語化すること。
ここには大きな隔たりがあるのだ。
そう考えると、私自身も「まさに自分が前から言っていた」話を生み出していることに気が付いた。
 
例えば、上司とのコミュニケーション。
ある時、私が担当している複雑な業務を理解してもらえずに、
「(いつもやってるんだから)このくらい簡単でしょ?」と作業を安く見積もられたことがあった。
「これが難しいことは、前から言っているはずなのに……。」と思いイライラしてしまったが、上司からしたら初耳のことと思うかもしれない。
自分の業務内容を詳しく知らない上司に対して、業務を理解してもらうための伝え方の工夫が必要だったと反省した。
 
あるいは、他部署の同僚とのやりとり。
何度も何度も、営業部のメンバーが利益を度外視した商談を繰り返しているのに対して、
財務担当の私は、「利益率が1番重要な指標だって、何回言ったら分かるのか……。」とイライラしたことがあった。
しかし、利益を上げるために経費削減の話はしたが、商談の話はしていなかったことに気が付いた。
 
そう、意外に他人ごとではないのだ。
もし皆さんの中にも、「前から言っていたのに!」と思う節があれば、
一度立ち止まって、これまでどうやって伝えてきたか、思い出してほしい。
 
「自分が昔から言っていた」話なんて、おおよそ幻想なのだ。
伝わっていなかったら、言っていないに等しい。
 
話を友人のことに戻そう。
ある日、私は思い切ってこう言った。
「今の話、”昔から言ってきた”っていうけど、そんなことないよ。」
 
えっ、と一瞬驚いた顔をして彼は言った。
「そうだっけ? 先週お前とこの議論したと思ったけどな……。」
 
もしかして、私と誰かを混同している……!?
友人の脳内では、私のイメージがぼやけているのかもしれない。
 
 
 
 
***
 
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2020-09-26 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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