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コンプレックスの克服は突然に


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

「記事:伊藤慎悟(ライティング・ゼミ5月開講通信限定コース)」
 
 
私は、個人で経営コンサルタントの仕事をしています。12年前に開業しましたが、毎年、約150回のセミナー講師の仕事と、300件の経営相談をしています。
今でこそ、普通に「先生」と呼ばれる立場ですが、最初の頃は、そう呼ばれることに居心地が悪くて仕方ありませんでした。
もっと身近で対等な立場で接してほしいと思っていましたが、今振り返れば、自分にまだ「先生」と呼ばれる覚悟や自信がなかったようにも思います。
 
誰にもコンプレックスってあるのでしょうね。
一見、何の不自由もなく、幸せそうに暮らしている人にも、その人の本当の気持ちはその人にしか分かりません。
 
でも人生には、そんなコンプレックスを克服してくれる瞬間も用意されていることもあります。
私にもそんな経験がありました。
 
私の顔は、昔からあごが少ししゃくれた感じです。
幼い頃の不正咬合が原因だったと思います。
中学から高校にかけて、歯科矯正したので、噛み合わせも歯並びもよくなりましたが、しゃくれたあごはそのままです。
これ以上ひどくならなかっただけ、歯科矯正してくれた親には感謝しないといけませんが、それでも傷つく経験は何度もありました。
 
友達たちにしゃくれたあごの顔マネをされたり、「アントニオ猪木」と言われたり、中学生になっても英語の授業で「Long ago(ロングアゴー)」という単語が出ると、同級生たちが私を見て笑うことがありました。
自分の家族でさえも、山田邦子さんなど、あごが特徴の芸能人の話していると、自分のことを言われているような気持ちになりました。
 
そんな私の長年のコンプレックスを、30歳を過ぎた頃に和らげてくれるある出来事がありました。
昔、「ビューティーコロシアム」というテレビ番組があり、顔やスタイルにコンプレックスを持つ人が、美容整形などを受ける番組がありました。
そこに出ていた美容整形の専門家の先生が、整形する女性の顔を面長に見せるために「下あごを少し前に出しましょう」とコメントしていたのです。そうしたほうが面長に見えるとのことでした。
 
私は20歳の時から、その頃までに、すでに10キロくらい体重が増えていましたが、それでも細身で面長に見えられるほうでした。
10キロ太っても面長に見える理由が、自分のしゃくれたあごのおかげだったとしたら、「このあごもそんなに悪いことではないかも」と思った瞬間でした。
 
皆さんもひょっとすると、ずっとコンプレックスに思っていることで、得をしていることがあるかもしれません。
 
もう一つ、ある人のたった一言でコンプレックスを克服できた出来事がありました。
 
「学歴」というのは、多くの人がコンプレックスを抱える代表の一つでしょうね。
私みたいに「高卒」だと、そもそも希望する会社や仕事があっても応募さえできないこともありますが、頭のいい人はいい人で、大学のランクだったり、学部だったり、付属校から入学していたかとか、いろんなことでコンプレックスを持つのかもしれません。
 
私は現在51歳なので、もう33年も高卒の学歴を背負っていますが、高校を出て最初に入社した会社は、大きな会社だったので、高卒と大卒では配属先も任される仕事も異なっていました。
働き出すとその仕事ぶりや実績で評価されるので、認めてもらえることも多かったですが、待遇や昇進など、会社の制度や仕組みの中では従わざるを得ないこともありました。
 
そんな私が、その後、地元の商工会議所に転職し、中小企業診断士の資格を取り、39歳で経営コンサルタントとして独立開業することになりました。
 
独立して3年半くらい経過した頃、今では師匠のような存在になっている先生に仕事の相談をしたことがありました。
いろいろアドバイスをもらった後の帰り際、何かのついでに「私なんてたいした経歴も学歴もないんですけどね」って言った時です。それまで穏やかだった先生の顔が少し怒ったような顔つきになり、こんなことを言われました。
 
先生:「あんたなあ、自分なんてって言葉は一番使ったらいかん言葉やぞ」
「あんた、俺の学歴知っとるか?」
私: 「知りません」
先生:「でも、あんたは今日、俺を頼ってここに来たんとちゃうか」
「あんたのところに来る相談者の人も、今のあんたと同じ気持ちやないか」
「そんなあんたが、自分なんかと思っとったら、その人たちに失礼やと思わんか」
 
目から涙が溢れ出ました。
心からそう思いました。
 
それ以来、私は口では、「高卒なんです」と言うことはありますが、自分の学歴にコンプレックスを持つことは本当になくなりました。
そのことがあってからは、「この人生は、こういう経験をして、こんな役目することになっていたんだ」くらいに感じています。
 
私は工業高校のデザイン科出身ですが、今は高校時代の3年間に授業の半分を、モノを創造する時間に使っていたことも、経営コンサルタントとしての自分の特徴に繋がっているようにさえ感じています。
 
学歴にコンプレックスを抱えている人はたくさんいることでしょうね。
でも、ある日、私が気づいたように、あなたがすでに誰かの役に立っている仕事や役割をしているのなら、それはとても尊いことなのではないでしょうか。
どんなあなたでも、あなたがすでに認められている証拠だと思います。
そんなあなたを頼る周りの人たちの期待に応え続けるほうに目を向けたほうが、世の中や社会にとって価値があるように思います。
 
過ぎてしまった過去は変えられないけど、自分にとっての解釈は変えていけるのですから。
 
私も51歳とは言え、人生の道半なので、偉そうなことは言えませんが、経営者を中心にたくさんの方と接してきて、「この人、運が良さそう」と思う人は、自分の未来に期待を持っている人のように感じています。
 
これからは私自身が誰かのコンプレックスを溶かしてあげる存在になっていきたいと思います。
 
 
 
 
***
 
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2020-09-26 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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