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メディアグランプリ

『Let it Be』と『Strawberry Fiels Forever』かな


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:和田素春(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「え! 和田さん、ビートルズ好きなんですか?」
「うん、普通に好きやで」
「私も好きなんですよ! 和田さんの1番好きな曲はなんですか?」
「1番好きな曲かー。『Strawberry Fiels Forever』かな」
「あ……はぁ……」
 
これは、過去にあった1つの失敗例だ。
 
初対面の人と話しているうちに、好きな歌手が同じことが分かり、意気投合することはよくある。そして、ある程度、話がはずむと、一番好きな曲を聞かれることがよくあった。
 
正直、この質問は苦手だった。
 
しかし、それももう終わりだ。僕は、見つけたのだ。この質問に対する優しい答えを。マスターキーを見つけたのだ。
 
初対面の相手と好みのアーティストが同じだった場合、皆さんならどう思うだろう。
多くの人は、一気に距離が縮まったような気がして、嬉しい気持ちになるだろう。
もちろん、僕にも、嬉しい気持ちはある。しかし、一方で、憂鬱な気持ちにもなるのだ。なぜかというと、1番好きな曲を聞かれるからだ。
 
この質問にはいつも困っていた。
 
その歌手の代表的な曲を好きな曲に挙げれば、薄いにわかファンだと思われるかもしれない。しかし、逆にシングルのカップリングのようなマニアックな曲を好きな曲に挙げ、相手がその曲を知らなかった場合、話は盛り上がらない。それだけではなく、知っていることを自慢したような格好になってしまうかもしれない。
 
つまり、僕には、自分が嫌な思いをするか、相手が嫌な思いをするかという二択に見えていた。私は、どちらがいいのか、2つを天秤にかけ、いつも相手が嫌な思いをする方を選んでいた。要するに、マニアックな曲を好きな曲に挙げるということをしていた。
 
相手が、その曲を知っているときは、とても盛り上がる。なにか、仲間や同志のような絆が生まれる。しかし、相手がその曲を知らないことも多いし、知っていたとして、知ってるアピール感が消えたわけではない。
 
つまり、マニアック曲を好きな曲に挙げることは、ギャンブルなのだ。相手が曲を知っていれば、盛り上がる。逆に、知らなければ盛り下がる。ハイリスクハイリターンだ。
 
では、誰もが知っている代表曲を挙げればいいのか。これはこれで、にわかファンと勘違いされるかもしれないし、仲間や同志のような絆が生まれることもない。
 
そろそろ、僕のマスターキーを見せよう。
 
1番好きな曲を聞かれた時には、有名な曲とマニアックな曲を2曲答えればいいのだ。
 
1番なのに2つ答えるのは確かに反則な気がする。でも誰もこれを怒る人はいない。僕は1番だから1つというルールに縛られすぎて、これを思い付くのに長く時間がかかった。
 
この方法を使えば、盛り上がることはあっても、盛り下がることはない。
 
この方法を使った時、大体、代表曲だけ知っている人と代表曲とマニアック曲どちらも知っている人に分かれる。
 
どちらも知っている場合には、もちろん話は盛り上がり、仲間のような感覚も感じることが出来るだろう。マニアック曲を知らなかった場合でも、代表的な曲の方で話を盛り上げることが出来る。この方法を使うことで、相手が、どこか引っかかってくれる選択肢を作ることが出来る。
 
これは、自分が代表的な曲の方があまり好きでなくてもいい。とりあえず、相手と会話をするきっかけとなればいいのだ。あと、好きなアーティストの代表曲が嫌いということはあまりないだろう。本当に好きな曲は、マニアックな曲の枠を使えばいいのだ。
 
つまり、マニアックな曲で攻めつつ、誰もが知っている代表曲で守りを固める。
音楽の無敵艦隊だ。どんな相手でも救ってみせるといわんばかりの優しい解決策だ。
 
つまり冒頭のビートルズの場合
「え! 和田さん、ビートルズ好きなんですか?」
「うん、普通に好きやで」
「私も好きなんですよ! 和田さんの1番好きな曲はなんですか?」
「1番好きな曲かー。難しいな。『Let it Be』と『Strawberry Fiels Forever』かな」
「えー! 私も『Let it Be』好きです!」
「そうなの! 同じだ!」となるのだ。
 
こうすることで、盛り下がることはない。さらに、自分が、マニアック曲を知っていることも相手に伝えることが出来る。自分がにわかファンだと勘違いされる心配もいらないという副産物までついてくる。
 
これは、音楽でなくても、いろいろなところに応用することが出来る。
 
たとえば、小説でも可能だ。
「え! 和田さん、夏目漱石好きなんですか?」
「うん、普通に好きやで」
「私も好きなんですよ! 和田さんの一番好きな小説なんですか?」
「1番好きな小説かー。難しいな。『こころ』と『硝子戸の中』かな」
「えー! 私も『硝子戸の中』好きです!」
「そうなの!? あまり有名じゃないけど本当面白いよね、どの随筆が好き?」といった具合だ。
 
今回は、マニアックな選択肢での意気投合を例に挙げてみた。どちらも話が良い方に向かうことが分かっていただけただろうか?
 
これは相手が絶対に知っているものと、知らない可能性の高いものの2つを選択肢に挙げるだけなので、他にも映画などの会話でも応用することが出来る。
 
つまり、一番好きなものを聞かれて、誰もが知っている代表的なものと知らない可能性のあるマニアックなものを2つ答えるというのは、マスターキーなのだ。会話を詰まらせず、相手に嫌な思いをさせることもない。かといって、自分がにわかファンと思われることもなく、必ず会話を盛り上げる優しい答えだ。そして、音楽だけでなく、小説や、映画など、どんな鍵穴でも当てはまる。皆さんもポケットにはもうマスターキーは入っている。使わない手はない。
 
 
 
 
***

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2020-09-27 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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