メディアグランプリ

劇団脱落者、脱落しなければと後悔する。


金子さん

記事:金子千裕(ライティング・ラボ)

 

しまった。失敗した!
2015年11月16日豊島公会堂で上演された劇団天狼院の舞台『殺しのマーケティング』を見終わってしばらくした後、私はそう思った。
上演後、舞台に上がり客席を見渡す。舞台はいい。やっぱりいい。

一度、舞台に取り憑かれると二度とそこから逃れる事は出来なくなる。また舞台に上がりたいと思うようになる。

それは昔から言われてきたことだ。かつての学生マジシャン、わたくし金子千裕もそう思った。来年はここに立っていたいなあ……
そして、2、3枚写真を撮影し映画部の顧問である檜垣先生の姿を見てある事に気づいて呟いた「しまった。失敗した!」

四月当初、私は劇団天狼院の練習に2度ばかり参加していた。
しかし、職場の『11月に連休は入れないで欲しい』というその一言で参戦は不可能だと見なし、また有休も心許なかったこともあり舞台をあきらめた。
今年は参戦不可能。しょうが無いと割り切る事にした。
病気で二ヶ月ほど休職もしたし、立場的に職場の意向に従うのは仕方ない。
割り切った以上、演者として舞台に立つ練習をするのは辛いので練習にも参加しないようにした。しかし、それが間違いだった。

密着ドキュメンタリーが撮れたんじゃん!

それが私の後悔だ。アマチュア写真家としての私の後悔だ。
思えば新プロジェクト発足のその日から、私はカメラを持って現場に居た。これは写真家であるフォト部顧問の榊先生からのアドバイス『常にカメラを持ち歩け』に従い、常にシャッターチャンスを探していたからだ。

天狼院には、店員を映さなければ何を撮影しても良いというルールがある。

店主の三浦さんの許可を得て居れば、全ての練習に参加していれば、私は出来る立場に居たのだ。全ての練習を撮影し、連休ではなく一日だけの休みを貰い、舞台前の劇団員の緊張をカメラに収めて……
あああああああ! もう、私は馬鹿か! 後悔先に立たずとはよく言ったもんだよ!
いや、もしかしたら劇団は特別だから三浦さんから『練習の撮影はNGね』と言われる可能性もあった。しかし、試してみる価値は絶対にあった。
撮らせて下さい、と頭を下げる価値はあった。

あんなにキレイな、少女漫画のような世界の最後の最後、劇が終わってからの観客と演者の交流だけを撮影しても写真を見る人への訴求力が足りない。
有り体に言ってしまえば、あんまり面白い写真にはならない。
後書きだけを記録しているようなものだ。

そう、記録は大切だ。
記憶は曖昧だ。しかし、記録に残しておけば過去はどうだったかと思い出す手がかりになる。商品になるようなドキュメンタリーはプロの、例えば檜垣先生のようなプロフェッショナル・オヴ・プロフェッショナルの仕事だ。
だが、檜垣先生は常に劇団に張り付いている訳にはいかない。

私には檜垣先生のような技術力は無い。ただ、張り付いて写真を撮る事だけはできた。
メモ書きだ。檜垣先生がハードカバーの書籍なら、私はメモ書きのようなものになれた。なれる可能性があった。
撮ったところで世の中には出せないかもしれない。多分、出せないだろう。
しかし、写真データを店主である三浦さんや、劇団の講師であったナオ先生に渡す事が出来たならば、過去を振り返るツールとして使って貰えるならばそれは意味がある事だ。
私はその立場を確保出来たかもしれないのに、それを試さずに気づかずに戦場を放棄した。経験を積むチャンスをフイにした。

悔しい。正直、悔しい。
演劇の練習が出来て、さらに写真が撮れるとなったら私はスーパーハッピーだ。お金を払ってまでやりたいか? と言われたら『YES!』その価値がある舞台だったし練習だったと思う。

考えてみると、チャンスというのはどこに転がっているか分からないものだ。
それに気づけるかも人それぞれだ。
私は舞台を見終わって、それに気づいた。
遅かった。遅すぎた。

いや、本当に遅すぎただろうか。

今年は駄目でも来年がある。来年こそは、来年こそは記録者になろう。それまでにドキュメンタリー写真とはどのようなものか学ぶ。
使えない資料を作っても、仕方が無い。
見るべきは、学ぶべきは広告用のスチールではなく、報道用のスチールだ。
学ぶ時間は一年ある。

2013年のTED(プレゼンテーションの大会)で作家のジョシュ・カウフマン氏は新しいスキルを身につけるには4つのポイントさえ押さえれば20時間あれば可能であるという自説のプレゼンを行い、そのプレゼンの最後に『20時間で習得した技』を披露してプレゼンを締めくくった。氏はこの自説を本にまとめており『たいていのことは20時間で習得できる 忙しい人のための超速スキル獲得術』というという邦題で和訳もされている。

是非、天狼院で買ってみたい本だ。

なぜなら効率的に時間を使おうという『時ラボ』にも通じるところがあるからだ。
そう、一年で報道用のスチール写真の技術を身につけるには時ラボへの参加が不可欠だろう。時ラボで時間を作る技術を習得し、20時間で新しい技術の基礎を身につけ、それを繰り返してブラッシュアップしてゆく。
そして、天狼院で得た技術を外で使ってゆき……ああ、夢が広がる。

よし、やろう。
来年に向けて動きだそう。
まずは、時ラボへの参加から。

 

***
この記事は、ライティングラボにご参加いただいたお客様に書いていただいております。
ライティング・ラボのメンバーになり直近のイベントに参加していただくか、年間パスポートをお持ちであれば、記事を寄稿していただき、店主三浦のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。

 

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2015-11-21 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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