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「写真」とはなにか?


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:村人F(スピードライティング特講)
 
 
「これが『写真』だと思うものを3つ上げてください」
 
ある美術系の講座で、この課題を提示された私は悩んでいた。
「写真」とはなにかを、わざわざ問うているのである。
そこで求められるものは、カメラで撮った風景とか娘の成長日記みたいなベタな回答ではない。もっと本質的な、写真という表現技法が詰まったものはなにかというレベルの回答である。
普段写真なんて全然撮らない私が、なんとなく受講した講座でそんなことを問われている。
なかなか難題だったが、考え続けることで自分の中で写真がなにかを定義できた。
以下にその定義を導くに至った3点の「写真」だと言えるものを提示していく。
 
1点目は、 冷蔵庫を埋め尽くしたみかんの「写真」である。
私の冷蔵庫は今、みかんで埋め尽くされている。みかんが食べたくなり10kgほど購入したが、保存するための温度が5〜10度だったからだ。
そんなことも知らずになぜ10kgも購入してしまったのかというと、秋田の実家で冬場みかんを廊下にて保存していたからである。
その映像が頭に浮かんでいたため、てっきり常温保存できるもんだと勘違いしていたのである。
しかし、極寒の東北ではない名古屋の冬場は、常温が15度を超えてしまう。故にそのままではすぐにカビてしまうのが目に見えていたため、仕方なく冷蔵庫いっぱいに詰め込むことにしたのである。
そんな絵を切り取ったものが「写真」だと思った。
 
なぜこれを「写真」だと思ったか。それは「写真」が日常の中にある「非日常」を収めたものだという感覚を持ったことが理由だ。
誰もがスマホというカメラを持つ時代、私達が写真を撮りたくなるときは、普段と違う光景を見つけたときだと思う。だから自分の無知が招いたことによる、冷蔵庫を埋め尽くしたみかんを写した「写真」が、非日常の象徴としてふさわしいものだと感じたのである。
 
2点目は、喫茶店で食べたトーストの写真である。
これを選択した理由は、「写真」が持つ記録媒体としての側面が全面に出たものだからである。
例えば文字でそのトーストのことを述べようとする。そうすると、そのパンは高級食パン専門店のトーストで、めちゃくちゃ分厚い上にジャムが4つお選べる素敵なパンだとか、課題提出のために写真を撮ろうと思ったけど我慢できずに先に1口食べてしまったとか、パンに対してジャムの量が多すぎて、1口ごとに大量のジャムをつける羽目になり結果的にお互いの主張が強すぎて幸せが処理できなかった、などと結構な文を書く羽目になる。
しかし写真はどうか。表題の写真が今述べたトーストである。これ1枚で今述べたストーリーをありありと思い出すことができる。この記憶媒体としての経済効率の良さが「写真」の特徴をよく表していると考えたのである。
 
3点目は、私が精神を病んだ時期に見えていた景色である。
1年前、私は精神を壊していた。仕事で怒られることが重なりパンクした時期があった。そういうときは大体うつ病で、世の中全体がくすんで見えるというのが一般的な話だろう。
私が違ったのは掛かった精神病が躁状態、すなわちハイテンションな状態がずっと続くものだったということである。
精神を病んでいた時、脳の処理能力が自分でわかるほど落ちていた。
精神科医からも休むべき状態だとお墨付きをもらっていた。
しかし、実際はめちゃくちゃ楽しかったのである。そんな状態だから精神科医の診断書を会社に付きつけた後、休暇の間どんくらい遊び倒してやろうかということを考えていたのである。
 
なぜその時に見た風景を「写真」だと思ったか。
明らかに鮮やかだったからである。そしてその風景の見えた期間が短かったからである。
 
「写真」というメディアの特徴は、日常の一瞬を鮮やかに切り取ることだろう。連続し常に流れ続ける今を1枚の写真に留める。それによっていつも見ていた風景が輝いて見える。それが「写真」が持つ力だと思う。
 
私が病んでいた時の風景も鮮やかだった。ストレスとか嫌なことを考える脳の部分が完全に麻痺し、まるで幼稚園児に戻ったかのように見るもの全てが素敵に感じた。
そしてその期間はわずか3週間で終わった。最新の治療法を実行したため、すぐに脳が正常に戻ってしまったからである。
長い人生を考えると、3週間などほんの一瞬といって差し支えないだろう。だからあの時の風景は、一瞬を鮮やかに切り取る「写真」の定義を表していると言っていいと思う。
 
ここまで3点、「写真」だと思うものを示してきた。
まとめると、日常の中の非日常を収めたもの、超効率的な記録媒体、一瞬を鮮やかに切り取ったものと言うことができる。
これらを組み合わせ「写真」がなにか改めて考えてみる。
 
私が出した答えは、「写真」は人生を超圧縮したものだということである。数十年続く人生の中でハイライトとしてふさわしい瞬間、それを記録したのが「写真」だと定義したのである。
 
その上でこれからの写真のとり方について考えてみる。そういった写真を捉えるためには、その瞬間を逃さないようにする嗅覚が必要である。また見つけた瞬間を最高の形で閉じ込める技術も必要である。
そう考えると私のスキルはあまりにも不足している。
もっと真剣に写真について勉強しなければいけない。
 
だから、今受講している写真講座だけでなく、色々なゼミに手を出してみよう。そんなふうに心が変わったから冒頭の課題はたいへん素晴らしいものだったと言える。
 
皆さまもこれは「写真」だと思うものについて、考えてみてはどうだろうか。
 
 
 
 
***

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2020-12-11 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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