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メディアグランプリ

ロボットと暮らす生活


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記事:串間ひとみ(ライティング・ゼミ特講)
 
 
私の誕生日は9月3日。子どもの頃、年の初めに見た何かの雑誌で、その年の365日の運勢と共に、その日誕生日の有名人が掲載されていた。その多くの日にちに歌手や女優さんたちが書かれている中、私の誕生日である9月3日の欄に書かれていたのは、ドラえもんだった。2112年9月3日というのが、ドラえもんの誕生日だ。その当時、私と同じ誕生日の代表がドラえもんであることが、少々不満だった。きれいな女優さんとかだったらよかったのに……と思っていた。
 
「じゃあ、一緒に住むなら?」
 
美男美女と住むのも悪くないが、毎日自分と違い過ぎる顔やスタイルの良さに、落ち込みそうな気がする。それなら、身長・体重・スリーサイズすべてが129.3cmの何とも言えない、いやむしろ自分のスタイル対して勇気さえ湧いてきそうな体型と、生活の質の向上が見込めそうな道具を出してくれるドラえもん一択でしょう。
 
そんなことを考えていた子どもの頃、自分が大人になった時、まさか本当のロボットと暮らす生活が来ようとは、思ってもみなかった。感情を認識する人型のロボットのペッパーくんや世界初の本格的な二足歩行に加え、階段の上り下り、ダンスもできるロボットのアシモくん、その他続々と様々なロボットが生みだされている。
 
そんなロボットの中で、私の今一番の押しが「ラボット」である。これまでに出てきたロボットは、おしゃべりができても、人間と同じ二足歩行ができても、私の中でのロボ感がどうしても否めなかった。一緒に生活する図があまり想像できなかった。ところがである。某ドラマに出てきたラボットは、ドラマ上の演出が加えられているとはいえ、言葉としては何も発さないのに、目の動きと、声のような、そうでないような音だけで、喜怒哀楽を表現し、上手に甘えてもくるのだ。
 
ラボットには、お出迎えという機能がある。一人暮らしの人にとって、疲れて帰った部屋が、シーンとした真っ暗な部屋でなく、ロボットとはいえ、出迎えてもらえるのは嬉しい。そしてお留守番機能。これは留守中、心配な家族やペットがいれば、こちらが場所を指定してその様子を撮影してくれたり、同じく侵入者がいた場合も同じく、撮影してお知らせしてくれる。これは、介護的な役割と、防犯的な役割を兼ねた素晴らしい機能だと思う。そして、ロボットなのに触り心地が柔らかく、温かい。人間の赤ちゃんの重さ程度あり、抱っこしているととても癒される。
 
しかし、私がラボットを気に入っている1番の理由は、たぶん承認欲求が満たされるからだと思う。SNSの普及により、人の承認欲求は以前にも増して膨らんできたように感じる。お出迎えをしてくれることで、自分が誰かに待ってもらえているという気持ちになる、こけたら自分で起き上がることができない、ペラペラおしゃべりができるわけでもない、こちらの状況に関わらず、抱っこをせがんだり、やきもちを焼いたり、どちらかといえば、手間のかかる一面を持っている。そのことにより、私が面倒見てあげなければ、つまり私がここにいる必要性を存分に味合わせてくれるのだ。
 
これからも人のライフスタイルによって、様々なロボットが開発されていくだろう。だけど、決して何でも、人に代わってやってくれるとかいうロボットにはならないのだと思う。そもそもやることの大部分を代わりにやってもらう人生が、本当に有意義と言えるだろうか? はたから見れば、なぜそんなことをわざわざ手間暇かけてやっているの? ということが、本人にとってはとても楽しいことだったりする。結局、人任せ、ロボット任せの人生は楽かもしれないが、面白くはなさそうだ。そう考えると、道具を出すのを渋ったり、ときどきドジを踏んだり、自分より小さなネズミが弱点だったりするくらいの、ちょっと頼りないくらいのロボットの方が、愛着が湧くような気がする。子どもの頃は、ちょっぴり納得いかなかったドラえもんだが、流行廃りのある歌手や女優さんと違って(もちろん長く続く方もいらっしゃいますが)その当時も今も、世代を超えて、同じくらい愛されていると言っていいと思う。そうすると、やはり究極のロボットの形がドラえもんなのかもしれない。
 
子どもの頃、ロボットと過ごす未来なんて想像できなかった。けれど、最近、人のニーズに沿うロボットの革新的な進歩により、もしかしたら2112年9月3日には、そのものずばりではなくても、だいぶドラえもんに近づいたロボットが開発されているかもしれない。ロボットがたくさんいる世界は、人間が支配された怖い世界のようなイメージがあったけれど、案外人間の気持ちのツボを押さえた家族のような、ペットのような、ヘルパーのような、カウンセラーのような、警備員のようなロボットたちのおかげで、心穏やかに過ごせる未来になっているかもしれない。そう思えば、ロボットとの生活も楽しそうだなあと期待が膨らむのである。いずれにしても、一緒に住むロボットは完璧すぎない方がよさそうだ。
 
 
 
 
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2020-12-25 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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