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世の中と足並みがそろわないのは、プリズムのような多様性を持つからだ


*この記事は、「リーディング・ライティング講座」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:河瀬佳代子(リーディング・ライティング講座)
 
 
拝啓 ふかわりょう様
 
TOKYO MXの「5時に夢中!」を、平日に毎日録画してまで見るようになったのは、いつの頃からだったでしょうか。
たまたまチャンネルサーフィンをしていた時にこの番組に出会って、あまりの面白さに釘付けになった日を今でも覚えています。
 
「面白い」といっても、単純に笑い転げる面白さではなく、時に真面目に、時にゲストをいじり、時に下ネタ爆裂と、多種多彩な様相を呈していながらもちゃんとバラエティになっている番組、それが「5時に夢中!」の魅力なのでしょう。他局に山ほどある、通りいっぺんのワイドショーやバラエティにはそんなに心惹かれないのに、なぜだか「5時に夢中!」だけは絶対に見逃したくないと思わせる何かがある。とても不思議な番組なのです。
 
どうしてそう思うのか?
それは司会者である、ふかわさんが絶妙な進行を繰り出すからなのでしょう。
「5時に夢中!」は生放送なので失敗が許されない。でもふかわさんのギャグは決してすべらず、いや、すべったとしてもそのリカバリーがもたらす哀愁ですら、番組にピッタリとハマっている! いやはやすごい才能だと思います。
 
そんなふかわさんが本を出されるということで、これは是非、あなたがどうしてそんなに面白いか秘密が書いてあるに違いない! そう思い読んでみました。
 
まずタイトルからして、「これはやられた!」と思いました。
『世の中と足並みがそろわない』(新潮社、2020)なんて、強烈過ぎ!
ここまできっぱりスッキリご自身を断罪するかのような、言い当てているタイトルは一度聞いたら忘れません。
 
いや、ある意味、人間なんてそんなものなのかもしれませんね。
誰しもが「自分」というものを持っている以上、誰かに自分をピッタリと沿わせるように合わせるなんてことはできないのですから。
 
この本の出版元である新潮社の方が、「5時に夢中!」の番組内でこの本のことを絶賛しておられました。
「彼は文が書ける人です。ちゃんと小説を書いたらどうですか」と。
調べてみたら著書も多くおありだったのですね。コメディアンとしてのふかわさんしか存じ上げなかった私としては勉強不足でした。お笑いだけでなく司会も、DJも、そして文筆もこなすマルチな面もすっかり確立されているではないですか。
 
『世の中と足並みがそろわない』はエッセイ形式で構成されており、それぞれの章の中にもまたいくつかの話題が詰まっている。それはまるで、ふかわさんのトークショーを見ているかのよう。淡々と1人芝居をしているかのような、ギャグを話しているかのような、肩の凝らない、さりげなくクスッと笑えるような話が並びます。
 
多くの人はポジティブなことを求めますが、世の中って楽しくないことや辛いことの方が記憶に残ってしまうでしょう? 嫌なことに出会った時って、なるべくそれを見ないようにするのが普通だと思うんですけど、そこでふかわさんは敢えてその不条理に正面から立ち向かって、敢えて引き受けて、そこで受けた感情の傷も絶対に無駄にしない。それがふかわさんの魅力なんだと思います。街で出会った一般人に「ふかわだー! 興味ねえー!!」っていきなり暴言吐かれたら、芸能人として不愉快になるのに、それを敢えて受け止めてしまうのがふかわさんだから。
 
笑いとは真逆の真面目なこととか、シュールなこととか、時にはご自身に降りかかった不条理すらも飲み込んで、一旦自分の中で消化して再生産してから、再び笑いとして世に送り出す。ふかわさんの、この本の語録を思い出すと、そんな気がして仕方がないのです。「初婚ではフェアレディZのような男を選ぶのに、離婚すると、次はカローラのような男性と再婚する女性」なんて文中の表現は、上手い例えすぎて面白いんだけど全く笑えなくもある。だけどそれが真実なだけに、絶妙に言い表したふかわさんに人は喝采を送るんだと思います。笑えないことこそ笑えるように持っていくというふかわさんのポリシーを感じます。
 
実はこの本には、お笑いの話だけではなく、ハッとさせられるような言葉の章もある。「溺れる羊」はその例で、この章だけがなぜか文学調になっています。どうしてか? と思ったらあとがきで「いつか世に送り出したいと思っています。『溺れる羊』という本を」とお書きじゃないですか。やはり文学への野望があるのだなあと感じますし、是非ともその夢を実現して欲しいかも。
 
いつでもどこでも絶妙な言葉のパスを出せるのは、日頃から鍛錬を積み重ねているから。笑いができるまでの道のりに、自分流の解釈を常に持つことで「世間とはズレてる」と思うかもしれないけど、そこを逆手に取って笑いに変えてしまったらどうなるだろう。ふかわさんは、その実験を繰り返しながら生きてきたのかもしれない。『世の中と足並みがそろわない』を読むと、表面的に見えてしまうお笑いも実はとても複雑な感情からできていることがよくわかる。ふかわさんの、どこにどんなプリズムがあるのか、この本から探ってみるのも面白いのではないでしょうか。
 
 
 
 
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2020-12-27 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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