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私が最初の転職を決めた理由


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:すずりす(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
社会人として最初に就職した会社。
リーマンショックの影響、その他諸々の諸事情も含めて、なかなか苦戦した就職活動の末に入社した会社だった。
 
そこに在籍して4、5年くらい経った頃だろうか、私は言葉に表せない漠然とした不安を抱えて日々過ごしていたような記憶がある。
 
自転車に乗る方なら、子供の頃、こんな経験をしたことはないだろうか。
安定感のある三輪車から、自転車デビュー。
タイヤが縦に並ぶ自転車は、三輪車と違って自ら安定してくれない。
二輪の自転車ではバランスが取れないため、すぐに自転車と一緒にバタンと倒れてしまう。
倒れると痛いから乗りたくない。練習したくない。
でも練習しないといつまで経っても乗れるようにならないよ、と親から怒られる。
どうしてもバランスがとれないから、最初は補助輪をつけて練習。
そのうち、補助輪は外して、親に後ろを支えてもらいながらこぐ。
危なっかしいけどなんとか前に進めている、と思ったら次の瞬間バタン。
いつの間にか支えていた手を離された。泣きながら「もう止める」。
そんなことを繰り返しているうちに、いつの間にか自転車に乗れるようになっていく。
そして、つらい練習の日々を過ぎ、危なっかしさが残るもののスイスイこげるようになると、今まで見る余裕のなかった周りの景色を見ながらこぎ進められる。
 
学生から社会人になって働き始めるというのは、自ら身をもって経験してみるまでどういう世界なのかわからなかった。
ある程度の年齢になって学校を卒業したら、とりあえず働くものだとは思っていたが、仕事とはどういうものなのか、どういうことをするのか、始めてみるまでよくわからなかった。
そして、働き始めたら働き始めたで、日々いろんな困難が待ち迎えていた。
もちろん、何でもかんでも最初からできる人はいない。電話一つ出るにしても、メールの書き方や返信の仕方にしても、周りの人の様子を見よう見まね。
与えられた仕事の進め方についても、どういう風にしたらいいのか先輩や上司に教えてもらう。
何か失敗した時は、周りの人がフォローに入って支えてくれる。
仕事が終わって家路につく帰宅途中は、ああすれば良かった、こうすれば良かったと、いつも頭の中で反省会ばかり開いていたときもあった。
そんなことを毎日毎日積み重ね、年単位で積み重なっていくうちに、できることも増えていき、達成感や自信がついていくのも感じられた。
 
しかし、同時にいつの頃からか、「私はこのままでいいのだろうか?」と悶々とし始めた。
 
自転車に乗れなかった時は、バランスを取ることやペダルをこぐことばかりに精一杯だったが、乗れるようになると、周りの景色を見ながらこぎ進められるような余裕がでてくる。
しょせん子供の行動範囲なので、いつも自転車に乗っても同じところにしか行かないのだが、今度は自転車ではまだ行ったことのないあの大きい横断歩道を渡ったあっち側のエリアにもいってみたいなぁという気持ちが出てくる。
 
悶々としていた頃、職場は比較的平和で安定的で、何かが目まぐるしく起こるような環境ではなかった。
入社したての1~2年は、まだ社会人として慣れていないところから緊張感が多かったものの、その後は徐々に環境への慣れ度合いが高まり、できるようになったことが増えてから、毎日同じ日はないにしても、仕事に関してみれば日々がなんとなくルーティーン化していた。
当時は気づけなかったが、振り返ってみると、仕事に対する漠然とした不安は、以前に比べると自分自身の成長を感じられなくなったことによる焦燥感だったのではないかと思う。
 
右も左もわからない状況の新社会人の状況から、少しずつステップを踏んでできることが増えていくプロセスは、三輪車から自転車に乗り換え、傷だらけになりながら乗れるようになっていくプロセスのように、自分が前進している変化がわかりやすい。
自転車にスムーズに乗れるようになった後、同じ場所をぐるぐると行ったり来たりしているだけでは、周りの景色がある日突然大変化を起こすことはない。
環境が安定的で、同じようなルーティーンが続くこと自体は悪いことではない。
むしろ平穏に暮らせる。そんな環境も、人それぞれの好みがある。
また、同じ一人の人でも、その時に置かれている環境や求めているものによって変わってくる。だから、乗れるようになった自転車で家の近所をぐるぐる回っていることだって、それはそれでいいのだ。
 
だが、当時の私にとっては、そのルーティーンが続くことで、自分自身これ以上目に見える形で成長できないのではないかと心のどこかで感じていたのかもしれない。
それが、私が一番最初の転職をした理由なんだと思う。
 
もしあなたが、仕事に対してなんだかわからないけれど焦燥感を感じていたり、毎日同じようなルーティーンに成長を感じられないような気がしていたら、違う場所で自転車こいでみるのもいいんじゃない? と後ろから声をかけてあげたい。
 
 
 
 
***
 
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2020-12-28 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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