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メディアグランプリ

ジムで得たものは筋肉だけではなかった


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:R・H(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
私はひどく疲れていた。
20年近い社会人生活、人一倍努力し全力で駆け抜けてきた。しかし、まだ折り返し地点にも到達していないと思うと、これから先、どう進んでいけばよいかわからず途方に暮れていた。見知らぬ土地でスマートフォンの電源が切れ、地図を見ることもできずにさまよっているような、ふわふわした不安を抱えながら。とにかく疲れていた。
 
そんな私が、ジムに通うことになった。きっかけは健康診断である。結果が芳しくなかったのである。新しい何かに出会えるかもしれない、という漠然とした期待もあった。
 
これまでまともな運動をしてきたことがなかったので、パーソナルジムを選ぶことにした。自宅近くにある個人のジムで、マンツーマンの筋トレを受けることができる。いかにも筋トレとは縁遠い自分を受け入れてもらえるか、かなり心配であった。しかし、そういう人でも、他人に見られることなく安心して筋トレに挑戦できるためにこそパーソナルジムは存在するのではないか、と自分に言い聞かせ、門戸をたたいた。
 
筋トレのメカニズムとは、筋肉に負荷をかけることで筋肉に傷をつけ、その後たんぱく質を摂取することで修復しながら筋肉を増やすということだ、と教えてもらった。だから筋トレに勤しむいわゆる「マッチョ」な人はプロテインを飲んだり、ゆでたまごをたくさん食べたりするのだ。
 
そして、このメカニズムを適切に働かせるために「その人にあった適度な負荷をかけること」と「食事指導」がトレーナーの重要な役割である。
例えばスクワット。スクワットとは、膝を曲げて腰を落とすことで下半身の筋肉を鍛えるトレーニングである。こんな簡単なことからか、と思いながら、バーベルなどの負荷のない状態でフォームから教えてもらう。足の角度や姿勢がちょっとでも違っていたら効果がないので、細かくチェックされる。膝を曲げて腰を落とすだけなのに、10回やっただけで足がガクガクになった。
慣れてくるとバーベルを担がせてくれた。それでも初めのうちは重りなしの20キロの棒だけだ。これまで全く運動をしてこなかった私の肩は、すっかり凝り固まって、棒を担ぐことすらできない。しかもこの状態でスクワットをしろと?! そんなの無理! 始めたころはこんな状態だった。
 
筋トレはどんなメニューでも最後の3回くらいが1番ツラく、ここでトレーナーから熱い励ましが入る。
 
「いける! いける! その調子!」
「あと3回! 2、1!!」
 
不思議なことに、この励ましのおかげで最後の最後まで踏ん張れるのである。
 
そして、1つのメニューが終わるごとに
「いや〜! よかったですよ!」
などとほめてくれながら、拍手までしてくれる。赤ちゃんが初めて自分で立ったのかと思うくらい、喜んでくれるのだ。久しぶりに無条件の称賛を得た私は、うれしさと恥ずかしさが入り交じった、なんともいえない表情で鏡に映っていた。そんな自分を見てなんだかおかしかった。
 
何回か通ううちに「そろそろ負荷を増やしましょうか!」と、トレーナーの笑顔と共に重りが追加された。一気に増やすことはせず、ほんの少しずつである。トレーニング中は、重さで転倒したり落としたりしないように、常にそばについていてくれる。初めてコマ無し自転車の練習をしたときに母親がしてくれたように。何かあればすぐに助けてくれると思うと、安心して挑戦できるものだ。スクワットは、35キロを担いで10回を3セットできるようになったし、「デッドリフト」や「ベンチプレス」など他のメニューもできるようになった。
 
トレーニング前には毎回身体測定をする。体重だけでなく、筋肉量や基礎代謝なども測定する。測定の後は、「初めた頃と比べるとかなり筋力つきましたね!」などと、推移を教えてくれる。トレーニングの成果を数値でも実感でき、ますますやる気も高まる。筋肉痛はきつかったが、きついほど効いているような気がして筋肉痛になるのが楽しみだった。痛いのがうれしいとは、不思議な状態である。
 
ある日、いつものように拍手をしてもらい、なんとも言えない表情をしながら、ふと思った。
 
「最近、上司がこんなにも自分の成長をしっかりと見てくれて、ニコニコしながらほめてくれたことなんてあっただろうか? そして、私も後輩に同じことができているだろうか?」
 
社会人生活が長くなると、仕事はできて当然。成長を見届けてもらったり、ほめてもらうことなんて久しくなかったし、私も後輩にしてこなかった。
 
しかし、筋トレでは常にポジティブなコミュニケーションを浴びまくり、力をつけ続けるのだ。
 
トレーナーはもちろん、ムキムキマッチョなお兄さん。トレーナーから見たら、私がはじめて担いだ20キロのバーベル棒なんて、幼稚園児のおままごとみたいなものだ。しかし、トレーナーは「オレは100キロいけるから、みんなも持てて当然!」なんてことは決して言わない。そんなことをしたら大ケガをさせてしまうから。
 
これを自分の仕事に置き換えたらどうだろうか?
 
後輩が間違いなくできているか、ちゃんと見ているだろうか?
こんなことできて当然! なんていう調子で、後輩に仕事を押し付けてないだろうか?
実力以上の負荷がかかって、後輩はケガしそうになってないだろうか? 体ではなく心が。
あるいは、逆に、負荷が全然足りなくてちっとも成長もしてない、なんていうことはないだろうか?
 
トレーナーの励ましと拍手を聴きくたびに、私が心の底で求めていたのはこれだったのだと噛みしめ、そして、自分の振る舞いを振り返るようになった。
 
はじめは3か月だけのつもりが、楽しくなってさらに3か月通い、半年で約7キロの減量ができた。身が軽くなったからか、心も軽くなった。
 
そして、新しい道標を見つけた私は、また、前を向いて進むことができるようになっていた。
 
 
 
 
***
 
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2020-12-29 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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