メディアグランプリ

マーケティングへの興味は優等生N君への妬みから始まった……


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:瀬崎英仁(ライティング・ゼミ冬休み集中コース)
 
 
言っちゃなんだが、ボロボロの店構え。
到底、品揃えが豊富とは思えない小さな店舗面積。
スポーツ用品店「市松スポーツ」(仮名)は、今日も営業している。
 
実はこの店の店主はレクサスLSに乗っている。
1000万円する高級車だ。なかなか簡単に買える車じゃない。
「なぜ、あの店主が?」そう誰もが疑問に思うはずだ。
 
もちろん私も例外でない。
もっとも、私の場合は、疑問だけでは終わらない。とにかくその謎を解明するまでは、他の事が手につかなくなってしまうのだ。あなたが読書好きなら、東野圭吾のミステリーを読み始めてしまった状況を想像してもらえるとわかるかもしれない。
 
さて、市松スポーツだ。
1時間くらい店の前で待機している私は自分で言うのもなんだが、相当変なヤツだ。
まあ、それはいい。とにもかくにも、店に訪れる客が一人もいないのだ。
そんな気はしていた。商品はネットでいくらでも探せるし、実際に手に取りたいなら、近くのイオンにいけば大型店舗が入っている。わざわざ、このへんぴな店に来る理由がない。
 
まさかとは思うが、ネットショップでバカ売れしている?
期待せずに、ハンドルから手を離しスマホを掴んで「市松スポーツ」と検索してみたところ、
想像以上にひどい有様だった。なんとホームページさえ存在しないのだ。
 
遺産があるのか、何か全く別の副業での儲けがあるのか、それとも何か悪いことを……
これ以上、店の前で張り込んでいても何も起こりそうにないので、エンジンをかけ、その場を離れた。
 
しかし、数日後に、この謎は、あっけなく解決することになる。
 
「同じスポーツ店を運営する人から話を聞けばいいんじゃない?」
妻の言葉に納得し、人を訪ねてみると、偶然にも知人にスポーツ店の娘がいた。
小説なら、いくつものトラブルが発生して、なかなか人探しが進まず読者をイライラさせる場面だ。しかし、現実とはこんなもので、あっけなくゴールにたどり着いてしまう。
聞けば、市松スポーツの事はよく知っているという。
なんでも、市松スポーツは指定業者に選ばれているらしく、毎年、各地の小学校から体操服や運動靴などが、とんでもない数量で発注されるらしい。
 
わかってしまえば、なんとも物足りない……
東野圭吾なら、こんな落ちには絶対にしないだろうな。
 
なぜ、市松スポーツが指定業者に? という謎はまだ残るが、モヤモヤの大半は解消された。
まあ、ようするにコネなんだろう。再現性の低そうな儲けのカラクリに興味はない。
でも、ここにたどり着くまでの過程は楽しめた。
 
すでにお気づきかもしれないが、私はマーケティング分析が大好きなのだ。
・どうやって集客しているのか?
・利益はどこから出ているのか?
・リピーターはなぜ起こるのか?
その会社の秘密を解き明かしていく作業が実に楽しい。
近い将来、マーケティングを教えることを仕事にしたいと思っている。
自分が見てきたマーケティング手法を使って、人助けがしたいのだ。
「謎解きが人助けになるって最高の仕事やん!」
なので、繰り返すが、人に教えても再現できない手法に興味がない。
 
せっかくの機会なので、いつからマーケティング分析が好きになったのかと考えてみたのだが、どうやら、小学校の同級生N君が原因ではないかという結論に至った。
 
「遊びに行く前に、先に宿題終わらせなさい!」
当時の私は勉強が嫌いで、いつも母に怒られていた。
勉強量がもろに結果に出る暗記ものが特に苦手で、テストの点も散々だった。
 
当時、一緒にいたのがN君。
毎日、学校から帰るとすぐに公園に行き、お互いの顔が見えなくなるまで遊んだ。
流行っていたキン肉マン消しゴム(通称キン消し)を、交換しあった仲だ。
私と同じ趣味を持ち、同じように遊んでいたN君だが、成績は全然違った。
N君はいわゆる優等生だったのだ。
でも、ガリ勉というわけではなく、毎日、私と一緒に遊んでいるのに、なぜ、そこまでテストの点数が違うのかが不思議だった。
 
そこで、N君の勉強方法を研究することにした。
気づいたのは、彼が黒板に書いた文字をなかなか板書しないこと。
授業中は前を向いて先生の話に集中しているのだ。
それと、彼の使っていた参考書に注目した。
特徴はとにかく薄い。要点だけをまとめてあるのだろう。
これなら覚えてみようという気にさせる、そんな厚みだ。
彼は、テスト前に、それを全部完璧に暗記するそうだ。
 
素直に真似してみた。
授業中は板書よりも先生の話に集中し、テスト前は例の参考書を丸暗記。
すると、点数が取れた。
それも今までのテストで一番の高得点だ。
 
私はうれしくなって、この方法を他の友達にも教えた。
すると、友達の成績も上がった。
もっと嬉しくなった!
 
ここが原点に違いない。
 
自分はゼロから何かを生み出すことは得意じゃないけれど、誰かが生み出してくれた何かをわかりやすく人に伝えることに最高の喜びを感じることができる。
 
40年かかってしまったけど、小学生の時から感じていた喜びに今向き合えたことに感謝したい。最高に楽しい人生はこれからだ。
 
 
 
 
***
 
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2020-12-31 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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