メディアグランプリ

そうだ、三社参りに行こう!


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記事:小笠原 雫(ライティング・ゼミ)

 

“あけましておめでとうございます”
“今年もよろしくお願いいたします”

こんな新年の挨拶を交わした後、家族と初詣に行ってきました。
境内で並んでいるときに、母から「はい、あんたのお賽銭」と十円玉を渡されましたが、私は「五円玉がいい」と我侭を言いました。すると優しい(?)母は自分の小銭入れを探してくれましたが、五円玉はありませんでした。

「えー! 今年もあたしは『ごえん』なし!?」

ドケチな私は境内中に響き渡るほどの大きな声で叫んでしまいました。だいたいその前に、「自分の小銭入れを見てみろ」って話です。仕方なく自分の小銭入れを見る私。すると五円玉が入ってました。受け取った十円玉を自分の小銭入れに戻そうとしている私を見て、母がひとこと。

「いま渡した十円玉、返してよね(小怒)」

私は、「10円くらい、くれたっていいやん、ケチ」と思いながら母に十円玉を返したのですが、そもそもケチはどっちなのか、それに「5円がいい」とか「10円返せ」とか、壮大なる神様の前で交わされるべき会話ではないのです。
そりゃぁ、年の初めのお願い事ですからね。ドケチ・欲張り・貧乏根性を抱える私としては、あれもこれもとお願いしちゃう訳であります。仕方なく自分の財布から出した五円玉を握り締めて。

「家内安全とか、交通安全とか、厄も払いたいし……あぁ、そうそうご縁も! とにかくその辺もろもろヨロシク!」

たったの5円であれもこれもとお願いをして、聞いてもらえる訳がないよなぁ……初詣からの帰り道、そんなことを考えていると、高校時代のことを思い出しました。
高校生の私が友人と3人で歩いていたとき、骨董品店の前を通りました。店の外にも商品が所狭しと並べられていたのですが、その中に「お願い事が叶う石」と書かれた非売品の石が置いてありました。

「この石を触りながらお願い事を唱えると叶うって書いてあるよ! ねぇ、何かお願い事しようよ!」

20センチくらいの、どう見ても普通の石だったのですが、夢見る女子高生だった私達は、半信半疑ながら、お願い事をしてみることに。
まず友人A

「幸せになれますように」

(いやぁ、それじゃぁ、ありきたりすぎるよ。それに、お願い事が漠然すぎやしないか?幸せになったかどうかって、どうやって分かるんだよ?)
Aのお願いを聞いて、私がそんなことを考えていると、友人Bがお願い事を始めました。

「○○(アメリカのヘビメタロックバンド)へのファンレターの返事が来ますように」

(えー!そんだけでいいの? 本当に願いが叶うかもしれないのに、これじゃぁファンレターの返事が来たら終わるよね!? 勿体無くない? もっとさぁ、具体的でずっと永く効力が続くお願いをしないとさぁ、勿体無いよねぇ。ならば私は何にしようかなぁ)
短い時間で、それはそれは考えた。そして、具体的で効力が永いお願い事を閃いた。

「万事うまくいきますように」

私のこのお願いに対して、AとBから激しく非難されたのは言うまでもありません。

B「このお願いだと、お願い事が聞かれたかどうか、どうやって分かるの?」
私「何となく分かるの!」

A「せっかくお願い事を聞いてもらえるかもしれないのに勿体無い!」
私「人生の全てを集約した、いいお願いだと思ったんだけどなぁ」

A&B「じゃあ、雫のお願いは、人生が終わらないと、聞いてもらえたかどうか分からないわけ!? だいたい『人生の全て』って欲張りすぎ!!」

友人たちに指摘されて気付いたのです。欲張って具体的かつ永続的なお願いをした結果、叶ったかどうか分からないようなお願い事になっていたことに。私は友人たちに返す言葉がありませんでした。

最初にお願い事が叶ったのはBでした。本当にファンレターの返事が来ました。
次にお願いが叶ったのは、Aでした。高校卒業後、彼氏が出来ました。
そして、私は……いまだに分かりません。多分、二人が叶ったので、私も叶っていると思いたい!!

あの頃と全く変わってなかった今年の自分。どんどんキャリアも磨いて、素敵な伴侶を見つけて……と、全てを手に入れようと背伸びして、本来の目的を見失い、結局何も手に入ってないどころか、気がつくと人生の残り時間を失っていた。
あぁ、どうしよう。今年の初詣が終わっちゃった。来年はお願い事を1本に絞ろう……いや、ちょっと待てよ。我々博多っ子には、いい手があったじゃないか!!

「そうだ、三社参りに行こう!」

忘れてたよ。博多には三社参りという素ん晴らしい風習があることを。贅沢なことに初詣で三社も参っていいのだ。博多の神様は優しいのだ。よし、あとの二社でお願い事のやり直しをさせてもらおう。ついでに人生のやり直しもさせてもらおう。

私はすぐに近くの神社に向かった。しかし、二社目は暗い参道に焚き火が置かれており、勢いよく火の子が舞っていた。買ったばかりのダウンジャケットに火の粉で穴が空くのは忍びない。境内にたどり着く前に引き返してきてしまった。

どこまでもドケチ・欲張り・貧乏根性が治らない私。
人生、万事うまくいくには前途多難な道のりであった。

 

***
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2016-01-06 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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