メディアグランプリ

私は傘もささず、雨の中うずくまっていたんだ


金子さん 私は傘も

 

記事:金子千裕(ライティング・ゼミ)

 

「ちょっと、大丈夫?」
「うぉっっ!」
私はいきなり身体を揺すぶられ、思わず野太い声を発した。弾かれたように飛び上がり、私の『仕事』を邪魔した相手に向き直る。雨合羽と制服を着ている。同い年ぐらいの警察官だった。
「具合悪いの?」
「え?」
「通報があって。傘も放りだしてうずくまっている若い女性が居るって」
若い女性……そのキャッチフレーズに少し心を許してしまうあたりがアラサーの悲しい性。さきほどまでの臨戦態勢はどこにやら、ニコニコっと微笑んで「全然、なんともないです。もう大丈夫です」と応対する。
警察官じろじろとずぶ濡れの私を観察すると、こう尋ねてきた。
「具合悪いんじゃないなら、何をしていたの?」
「あ……写真を撮ってました」
私は防塵防滴の我が相棒を撫でながらそう答える。三大カメラメーカーには劣るものの、あの動物写真家・岩合光昭もその性能を認めた逸品だ。
「カメラマンなの?」
「いえ、アマチュアで……」
「じゃあ、素人さんなんだ」
「まあ、そうですね」
確かに私は素人だ。入賞経験も無ければ、写真の仕事もしていない。
実績と言えるものがあるとしたら、友人の会社のホームページ用に写真を撮り下ろした事と、あとは、これまた別の友人の絵画教室の教材用の写真を撮り下ろした事ぐらいだ。
とてもプロは名乗れない。
素人と言われても反論は出来ない。
しかし、ちょっぴり悔しかった。写真が好きで好きでたまらないのに、素人だと言われたことが不甲斐なかった。

警察官が立ち去ったあと、ブレブレの写真を見て「あたしみたいだなあ」と思った。
小説もやりたい、ライティングもやりたい、写真もやりたい。
ブレブレ、フラフラ。さて、あなたは……私は何になりたい?

ある人が昔、私に言った。
神様って奴は乗り越えられる試練しか与えないそうだ。
しかし、私は神様を信じない。
乗り越えられない試練もある。そうでなければ、あんなに事故や事件や自殺で人が死ぬことはない。
私は乗り越えられるか。この苦悩を。
それは自分の腕に、そしてマーケティングに掛かっている。

ため息をついてちゃんとした写真を撮り直す。
それをSNSや評価サイトに上げて「ありがちな構図だよね」と酷評される。
賞に贈っても、箸にも棒にもかからない。
だが、撮る。撮り続ける。

なぜなら、そんな私の写真を好きだと言ってくれる人がいるからだ。
それを教えてくれたのは、東京天狼院の山中店長だった。
「福岡には金子さんのファンが居るんですよ」
その一言に、どれだけ私が励まされたか。見てくれている人が居た。私の毎日は、警察官に心配され、酔っ払いに舌打ちされ、道行く人に撮らせて下さいと頼み込んでは「え、ちょっと困るんですけれど」と不審者扱いされてきた。そんな日々は無駄じゃなかった。

友人の会社の従業員が六人から十五人に増えたというのも朗報だった。
サイトのデザインに惹かれて応募したという方も居たらしい。
また別の友人の絵画教室では「金子先生の新しい写真が欲しい」と言ってくれる子供たちが居るそうだ。

支えられている。ニーズがある。
ならば、私は写真を辞めない。好きなまま突き進む。見てくれる人の方を向いて。
そして必ず結果を出す。
最強のアマチュア写真家になる。

そのためには何をすべきか。
天狼院には見習うべき先生たちがいる。支えてくれる仲間が居る。それはとても励みになることだ。
賞を取れと店主の三浦さんは言う。それは天狼院の宣伝にもなるが、私の実績にもなる。外に出ろと榊先生は言う。それは外で学んで、また戻ってきて後進の指導にあたれという意味だと私は解釈する。
そう、賞を取り仕事を取り、胸を張って写真したい。
あの悔しい思いはもう勘弁だ。胸を張って写真家だと言えるようになりたい。
何度も何度も繰り返すが、今年は受賞の年だ。もう後はない。やるしかない。

さて、話は変わりますが天狼院のイベントの告知ページで拙作を使って頂きました。
そんな不審者のような日々の結晶でございます。
本当にありがとうございます。
これが、新たな一歩になればいいなあと思います。

【1/30東京天狼院フォト部】本屋さんの写真教室。上野動物園で「ポートレートの基本」を学ぼう!プロカメラマン榊智朗氏による 基本講座&グループ撮影会《初参加/iPhone参加大歓迎》
"【1/30東京天狼院フォト部】本屋さんの写真教室。上野動物園で「ポートレートの基本」を学ぼう!プロカメラマン榊智朗氏による

 

 

ちょっと今、考えたのですがサイトのデザインを変えた途端、写真をメインに据えたとたん従業員六人の会社が十五人の会社になったのって、結構すごい。
写真の力だけではないだろうけれども、でも、すごい。
もしかしたら御利益あるかもしれません。金子の写真。
どうぞこれからもよろしくお願いします。

 

***
この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、店主三浦のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。

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2016-01-29 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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