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メディアグランプリ

自己都合をやめて与えられる人になる


Yamazakiさん

 

記事:やまさき まさと(ライティング・ゼミ)

 

仕事柄、取材を受けることがある。著名人ではないので、たまにではある。それでも、カイゼンとか、システムとかを年中やっていると、年に数回ではあるが、声がかかる。
起業などであれば、これでもかというくらい喋る社長はいくらでもいるけれど、カイゼンという、わりと地味なタイトルは、話す人が不足しているのか定期的に依頼がくる。

先日のこと、半年ぶりに取材の依頼がきた。僕は、取材の際には、事前に質問をもらい要点を返しておくことにしている。その方が、当日の進行がスムーズだからだ。今回も、お願いしたのだが返信はなく、当日を迎えた。

名刺交換の後、軽く雑談をして、さて本番。ライターさんが切りだした。
「私、この分野についてよく知らないのですが……」
またか。だから、せめて事前に質問をくれと言っているのに。
結構な割合で、この切り出しにあう。社外だけではない、社内でも、知らないのですが、詳しくないのですが、と前置きされることがある。
僕はこの言葉を聞くと、がっかりしてしまう。それでは、おもしろい会話はできないだろうし、そもそも、失礼だろう。先に言い訳して、何を期待しているのだろうか。と思ってしまう。

こうなると、テンションは急降下し、惰性と苦痛の1時間となってしまう。それでも仕事であり、会社の評判を落とすことはできない。能面に毛が生えたくらいの笑顔で、つつがなくこなし、差し障りなく帰っていただく。
この辺りは、年の功。顔の筋肉の鍛え方が違う。最低限のホスピタリティーは忘れない。とはいえ、こんな能力、自己嫌悪の元にはなるが、自慢にはならない。そんなことは分かってはいるが、何をどう間違えたのか、かなりの腕前、いや顔前となってしまった。まったく困ったものである。

さて、後日、記事掲載の連絡がきた。先日のこともあるので期待せずに読みはじめた。
いい! 期待に反していいのだ。わかりやすくまとめられているし、アピールもしてくれている。詳しくないと自分から告白するだけあって、もどかしい説明はあるが、伝える意思を感じる文章であった。だれにでも読みやすく、理解のスタートラインにたてる内容だと感じた。

まいった。
正直にそう思った。

確かに下調べは必要だと思うし、詳しいに越したことはない。自分ならそうするだろう。
しかし、すべてを相手に求めるのは違うのかもしれない。そう思いはじめていた。自分は、相手を対等と思っていなかったのかもしれない。若くて知識も少ない、ゆえに自分の方が優位である。そう思っていたのではないだろうか。

つくり笑顔のレッスンばかりしている場合ではない!
僕のミッションは、もともと、伝えることであり、分かってもらうことのはずだ。長い会社員生活で、その意識が希薄になっていた。商品ではなくサービスを売る時代に、バカなのは自分だ。気づくの遅いよ自分。差別化が重要だとか言っておいて、効率化と標準化ばかり推進してどうするのだ。なんでも効率よくこなせばいいってもんじゃない。

TPOを考えろ!
猛反省しろ!

自分の都合ではなく、相手の都合に合わせよう。
自分の言いたいことではなく、相手の聞きたいことを引きだそう。
人との向き合いは効率より状況判断。瞬発力を鍛えよう。

僕は、そうコミットし、某トレーニングジムではなく、自分でレッスンを開始した。

まず、5分で理解してもらう資料を作成した。上級、中級、初級の3種類。やってみて分かったのは、初級が一番むずかしいということ。自分の頭を空にするのは、思った以上に難しい。簡単にはうまくいかない。しかし、その価値はあった。

相手の気持ちになって考える力が鍛えられる。これが一番の価値だ。
仕事でも恋愛でも、人間関係の基本は相手の気持ちになって考えることである。仕事だと思うと、レッスンは面倒くさい作業でしかないが、恋愛に効くとなると、やる気もでるってもんだ。そう言い聞かせて日々、資料を磨き続けた。

結果、確かに以前より女性受けはよくなったし、やさしくなれた気がする。イライラも減った。

副産物もあった。
初級用を極めると、上級用、中級用はゴミだということが分かった。
自分の型を作ることで、自信を持って話せるようになった。
こちらから7つの情報を提供し、相手の興味を探る技法を習得した。
時間配分がコントロールできるようになった。
など、多くのものを得られたと思う。

それより大きかったのは、たくさん話してもらえるようになったことであり、笑顔の時間が増えたことだ。
与えられるものが増えたこと。これが一番うれしい。

心穏やかに過ごすには、『こちらの都合』は禁句である。
受けるより、与える。そのことは十分に分かっているつもりだった。しかし、与える相手を選んでいる自分に、あらためて気がついた。

極めることは難しいけれど、トライし続ける価値はある。五郎丸さんのルーティーンのように継続していきたいと思う。
という文章を書きながら、子どもの、おバカな言動にイライラする自分がいる。

まいったな……。

 

***
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2016-01-29 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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