メディアグランプリ

ハト撃退、解決の糸口 【実体験】


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:小池香苗(ライティング・ゼミ集中コース)
 
 
一家の中で「ベランダ」というと、どのような位置づけだろうか。
癒しの場所。天気を確認する場所。気分転換する場所。反省する(させられる)場所。
私は嬉しくないが、喫煙場所という人もいるかもしれない。
 
一戸建てではないうちの家にとって、ベランダは外の世界に触れられ、遠くを眺め一息つける貴重なスポットだ。
 
そのオアシスが、ある日を境に危機に直面した。
 
ハトたちが、やってくるようになったのである。
この問題に悩まされたことのある人は、一定数いると思う。
世帯数が多いマンションの中で、同じ条件の環境がたくさんあるにもかかわらず、うちのベランダが標的になってしまった。一旦、目をつけられると、アイツらは頻繁に現れる。ごく周囲には、まだ飛来している様子はない。
 
確かに、マンションの掲示板には以前より「エサをやらないで!鳥が飛来します」と注意書きがされていた。危機に瀕するまで、すっかり見過ごしていた。こうなると、その貼り紙に、そうそうほんとにそうしなきゃダメだと、にわかに当事者意識が湧く。勝手なものだ。
 
でも、エサなんてやってない。うちのベランダには、エサとなりうるものも、花や植物もその時は全く置いてもいなかった。
それなのに、なぜかそれ以来、あのくぐもった声に毎朝、見舞われた。
爽やかな鳥の声で目覚めたかった。カーテンをサッと開けて追い払うのが日課になりつつあった。
 
さらに、1日に何度も現れるようになり、フンの被害も増えてきた。
私たちのオアシスが目に見えて汚される。これが何よりいやなことだった。
 
汚染は絶対反対!
快適なオアシスを取り戻せ!
毎日の掃除からも解放されたかったので、徹底排除に乗り出した。
 
まずは【アイテム作戦】に挑戦する。
「CDとか、光って動くものをぶら下げるといいらしいよ」
早速、3つのアイテムをキラキラ光らせてみた。
ディスク、銀色のテープ、くるくる回る風車。
まったく、効かない。
 
撃退法を、ネットで徹底的に調べた。
「アイツはカラスが苦手らしい。ヘビも」
アマゾンを検索して「鳩よけ カラス」「ヘビ おもちゃ」を取り寄せた。
それでもアイツはのうのうとやってきた。
自分たち人間が、置いていることを忘れて時々、ぎょっとした。
 
「ハトの5感に作用する薬剤を貼れ」
ハトが嫌う臭い+不味い+脚にくっつくゲル状シールを等間隔でたくさん貼った。
数日後にまた、来た。
小バエもくっついた。
点在する見た目への嫌悪感に、はがすことに決めた。
 
「ミントの香りが嫌い」
ミントの精油を小瓶に入れて設置した。ミントの鉢植えもベランダに増えた。
相当近づかなければ、香らなかった。
室外でアロマは余計な出費だった。
 
Yahoo!では、「鳩 駆除」ワードでショッピングが賑わっていた。売れ筋TOP 100ランキングがあるほどだった。
まとめサイトでは多くても10選ほどだと思うが、100もあるとは。
ということは、まだ決定打が出ていないのかもしれない。
 
ひと月ほど格闘したが、ハトは、けっこう回避能力に優れているのかもしれない。
苦手はあるかもしれないが、それを「避けて」平然とやってくる。
 
ではどうすればいいのか。
【足場潰し作戦】に切り替えた。
 
今度は、ハトがよく止まる場所という場所に、トゲトゲが生えたシートを張り付けた。
限られた場所には効果があった。排気口の小さなでっぱり、エアコンの丸い排出部分。
街中でも、よく駅の外灯の上や著名人の銅像の肩など、狭い部分に乗っかっているのを見かける。そんな狭いスポットにだけ、トゲトゲは効いた。
 
しかし、少し奥行きがあるうちのベランダは、トゲトゲを所々に置いても効き目はなかった。床全面に敷き詰めるしかなかったが、我々人間にとってもトゲトゲは不便でしかないので断念した。
 
標的となって、3ヶ月が経っていた。万策尽きそうだった。
とりあえず、ハトは夜には来ない。夜のうちに忘れて寝よう。
 
ん?そういえば。
ハトも、夜は寝るのだろうか。どこで寝るのか。
調べると、ハトには帰巣本能があるようだ。外敵に襲われにくい場所を選んで巣をつくり、夜は群れで朝を待つとあった。
 
私はこれまで、ハトが来たら撃退する策ばかり考えていた。ハト視点を忘れていた。
 
なにも、大事な我らのベランダに、ハトが来た時のためのアイテムなど取り揃えなくても。私は、迎え入れる姿勢を示してきたのではないか?
 
私は翌朝、早起きして【透明なバリア】を張った。
 
それは透明のナイロン糸で、
ハトがよく止まっていたベランダの桟の10cmほど上に1本、糸を横断させ両壁に貼り付けてみたのだ。
それまでの連続飛来記録が途絶えた。
 
だが、それから数日後、また現れた。
 
張った糸の50cmほど上にもう1本、糸を張った。
それから10日ほどして、アイツは来た。
 
上と下の糸の間に、もう1本糸を張りつめた。
3本の糸の間は、ちょうど25cmほど。ハト1羽ほどの幅があった。
 
それから半年が経つ。
今まで、ベランダで見かけてはいない。
 
目に見えない何かに阻まれるところは、近寄りがたくなる。
迎える姿勢ではなく、スキを見せないシャットアウト姿勢。
「あそこは、よくわからないけど入りづらいから他いこうぜ」
そう思ってくれているといいのだが。
 
見えない安心に、今のところ我が家は守られている。
 
 
 
 
***

この記事は、天狼院書店の大人気講座・人生を変えるライティング教室「ライティング・ゼミ」を受講した方が書いたものです。ライティング・ゼミにご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

お問い合わせ


■メールでのお問い合わせ:お問い合せフォーム

■各店舗へのお問い合わせ
*天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。


■天狼院書店「東京天狼院」

〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F
TEL:03-6914-3618/FAX:03-6914-0168
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00
*定休日:木曜日(イベント時臨時営業)


■天狼院書店「福岡天狼院」

〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階
TEL:092-518-7435/FAX:092-518-4149
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00


■天狼院書店「京都天狼院」

〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5
TEL:075-708-3930/FAX:075-708-3931
営業時間:10:00〜22:00


■天狼院書店「Esola池袋店 STYLE for Biz」

〒171-0021 東京都豊島区西池袋1-12-1 Esola池袋2F
営業時間:10:30〜21:30
TEL:03-6914-0167/FAX:03-6914-0168


■天狼院書店「プレイアトレ土浦店」

〒300-0035 茨城県土浦市有明町1-30 プレイアトレ土浦2F
営業時間:9:00~22:00
TEL:029-897-3325



2021-05-07 | Posted in メディアグランプリ, 記事

関連記事