メディアグランプリ

ラジオがくれる贈り物


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記事:杉山佳那恵(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
今日は5月5日、子どもの日。
子どもの頃の楽しい記憶を思い返してみる。
心が一番わくわくした日、それは子どもの日ではなく、12月24日のクリスマスイブだった。
 
私がラジオと出会った(好んで聴こうと思い立った)のは、3年前、12月のクリスマスシーズン。
クリスマスが近づくと、お店やテレビのコマーシャルではお決まりのクリスマスソングが流れる。
私はそれを耳にすると、童心に帰り、子どもの頃の何とも言えない幸せな気持ちを思い出す。
 
ラジオを聴くようになったきっかけ。
それは、お店やテレビCMでふと耳にするように、予期せぬタイミングでクリスマスソングを聴きたかったからだ。
パソコンやスマートフォンで検索すればすぐにお気に入りの曲を聴くこともできるのだが、あえてラジオをつけ、クリスマスソングの出番を期待してみる。
ラジオの司会をするパーソナリティ、またはそれを聴くリスナーによって選ばれた曲は、クリスマスの贈り物のように思えるのだ。
 
ラジオを聴き始めて3年。
年度の切り替わりとともに終了してしまった番組も、いつの間にか聴かなくなってしまった番組もあるが、それでもお気に入りのものを見つけては毎週欠かさずラジオを聴いている。
通勤中、近所のお散歩中、料理中にも。
ラジオは、「何かをやりながら」でも、それぞれが持つ世界へ運んでくれたり、テレビでは知れないような情報を教えてくれたりする。
また、昔大好きだった曲、今ハマっていてよく聴いている曲であっても、ラジオでかかると不思議と特別感が増してしまう。
ラジオの魅力は、手軽さと何とも言えないプレミアム感だ。
 
私がラジオを選ぶ理由、それは単に好きだからという理由だけにとどまらない。
「ラジオを聴くと脳にいい」という情報を以前どこかで知ったのも理由のひとつ。
せっかくなので、これを機会にその真相を調べてみた。
 
ラジオを聴くために私が利用しているのは「ラジコ」という名のアプリだ。
これは、スマートフォンやパソコンでラジオを聴くのにもってこいのサービスなのだが、これを提供している株式会社radikoは、ラジオの聴取と脳の成長の関係を解明するためのある実験を行った。
 
調査の内容は、大学生8名。
1日合計で2時間以上、それぞれの生活スタイルに合わせて一ヶ月間にわたり継続して聴き続けるというもの。
また、この実験にはラジオを聴き始める前と後のMRI脳画像(これにより、脳の断面がわかる)を撮影し行われた。
その結果、「イメージを記憶する力」と「聴く力」が強化されたことが「脳番地」の変化によって明らかになった。
「脳番地」について補足すると、脳の中にある、似たような働きをする細胞の集まりのことをいう。
この脳番地は、「思考系(思考や判断に関係)」「感情系(感性や社会性に関係)」「運動系(体を動かすことに関係)」など大きく8つに分けられるが、そのうち、「記憶系」「聴覚系」「理解系」の3つがラジオを聴くことにより成長したことがわかったのだ。
 
まず、「イメージを記憶する力」について。
これはラジオを聴く際、語り手の言葉を想像力で補おうとする脳の働きが強化され、記憶に関わる脳の部位が活性化することが明らかになった。
「イメージ記憶」を駆使できるようになれば、あらゆるものを正確に、しかも短時間で記憶できるようになる。
また、この力の強化は、実験参加者8名全員の脳にみられたという。
 
次に「聴く力」について。
この「聴く力」を高めることは、学ぶことにおいて重要な役割を果たす。
言葉を耳で聴いて理解できなければ、学習に支障がでてしまうためだ。
実験では、大学生8名のうち4名に「聴覚系脳番地」という耳で聴くことに関わる脳の部分が最大で2倍に拡大したという。
 
ちなみに、「脳番地」は自分で成長させることができる。
しかも、年齢は関係ない。
高齢者に関しては、聴覚の衰えが脳の「聴く力」の衰えを引き起こし、やがて認知症の進行につながると言われている。
ラジオを聴き続けることは、老後を元気に暮らすことにも、クリスマスソングを聴いてわくわくする心を忘れないためにも役立つ可能性を秘めているのだ。
 
そして、私が何よりラジオをいいと思う理由。
それは、そのラジオを聴いている人全員に優しいということ。
多くのラジオ番組が、視聴者からのお便りを受け付けているが、お便りを送る人、送らない人、つまりその場に参加する人もしない人もいる中で、決して参加している人だけが得をするような世界を作らない。
パーソナリティの全員が全員とは言えないかもしれないが、彼らはリスナーからのお便りを、その他の人にもわかるように説明を加えながら伝えてくれる。
そのためか、顔も知らない誰かのメッセージに共感したり、自分とは異なる意見の人にもそっと耳と心を傾けたりすることができる。
聴いている人を誰もひとりぼっちにしない、そんな温かさがラジオにはあるように思う。
 
ラジオのどこに魅力を感じるか、それは聴く番組によっても、聴く人によっても異なる。
しかし、脳にいいことと、心にいいこと、それを誰かに実感してもらえたら、何よりも嬉しいプレゼントかもしれない。
 
 
 
 
***

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2021-05-14 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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