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私は木になりたい


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:深谷百合子(ライティング・ゼミ超通信コース)
 
 
将来どうなっていたい?
 
私はこの質問に答えるのが苦手だった。ピタッとくる言葉が出てこないのだ。仕事がどうなっていたい、収入がどうなっていたい、体型がどうなっていたいというような、「どんな状態になっていたいか?」は言えるけれど、何かもっと根源的なことが自分の中にありそうな気持ちがするのに、それが言葉となって出てこない。何だかモヤっとした気持ちをいつも感じていた。
 
先日、カラーセラピストとして一歩を踏み出した友人に、セラピーを受けさせてもらう機会があった。十数本のカラーボトルの中から、自分が「ピン!」ときた色を4本選び、その色が持つメッセージの中から、心が動くものを選び出すというものだ。
 
カラーセラピーを受けるのは生まれて初めての経験で、どういうものかも知らなかった私は、ちょっとドキドキしながらパソコンの画面越しにカラーボトルを見つめた。普段好きだと思っている色にひきずられないように、心をニュートラルな状態にしてボトルを眺めていると、何だかちょっと気になるボトルがあった。「私を選んで」とでも語りかけてくるような感じだ。
 
選んだ色のボトルが持つメッセージを見ると、「そのキーワード、ここでも出ましたか!」と苦笑してしまうほど、私にとってはおなじみの「達成」等といったキーワードが出たりしたのも不思議だったのだが、過去、現在、未来の視点で選んだキーワードは、私が言葉にできなかった思いを引き出す呼び水となった。
 
「このメッセージを見て、どんなことを感じる?」
「なんだか、1本揺るぎのない軸みたいなものを感じるんだよね。芯が通っているっていうのかな。そうなりたいって思っているのかも」
「揺るぎのない軸を感じるのね。他に選んだキーワードの中には、生まれ変わるというのがあるけど、それはどう?」
「生まれ変わるって、すごく気になるんだよね。揺るぎない軸は欲しいけど、変わりたくないとは思ってないの。むしろ変化していたいんだよね」
 
そこまで言って、急に私の中で大きな1本の木のイメージが思い浮かんだ。
 
「ちょっと待って。イメージが湧いてきちゃった。多分こういうことなの」
と、私はあわてて手元にあった紙に自分のイメージを書き留めた。
 
真っ直ぐ伸びる1本の木。どっしりと揺るぎのない幹が伸びている。そしてそこから枝が伸び、葉が茂っている。
 
「生まれ変わるってね、葉が出て、花が咲いて、実がなって、そして葉が落ちて、そこからまた新しい葉が出る。そして木自体も生長する。そういうことなの。そしてね、そこに存在するだけで人や鳥が集まってくる、そういう木になりたいの」と興奮気味に友人に伝えた私は、自分が将来なりたいイメージがはっきりと形になって表れたことを感じていた。
 
私の話を聞いて、「わぁ、ちょっと鳥肌が立ってきちゃった」と言った友人は、もう一つのキーワードを指して問いかけてきた。
 
「試練っていうのも、何かに繋がるのかな?」
「木は動けないでしょう? 台風が来ても、そこにそのままいるしかない。じっと耐えるんだけど、しっかり根を張っていたら倒れない。だから栄養を吸収しながら、深く根を張っていくの」
 
そこまで一気に話すと、友人と「繋がったね!」と笑い合った。
 
私は色々なことをやってみたい性分だから、一見するとバラバラなことをやっているように感じてしまう。でも、やっていることの一つ一つを「それってつまり?」と問いながら抽象度をあげていくと、「表現することを通じて伝えていくこと」というキーワードに繋がっていく。つまり、これが私にとっての「幹」なのだ。そこから枝分かれしてきたものならば、迷いなく思い切りやってみたらよいのではないか。
 
そして、今までは「自分が表現することで、誰の何の役に立つのだろう?」という疑問がいつもあった。「誰かの役に立たなければ。価値を提供しなきゃ」と思いながら、思うようにはならない焦りがあった。でも、価値って「提供しなきゃ」と思うものじゃないんだな。誰だって皆、それぞれの価値を持っていて、私には私なりの価値がある。もう既に価値のある存在なのだ。その価値を磨いていけばよいだけだ。
 
私が1本の木だとしたら、「木陰の涼しさ」に価値を見出す人もいれば、「花」や「実」に価値を感じる人もいる。落ち葉は栄養となって自分の成長の糧になる。そして、光や水という他者からのエネルギーを得て、枝葉が広がり、花や実がたくさんつけば、より多くの価値を持つ存在になる。
 
あなただったら、何になりたい? 太陽のような存在? 人の心を和ます花のような存在? みんなそれぞれの価値があり、それぞれの輝きがあり、それぞれが繋がっている。
 
「私は木になりたい」」
 
そうと決まったなら、グラグラしていないでしっかり根を張り、今の自分に必要なものを吸い上げながら、小さくても葉を出し、花を咲かせ、実を結んでいこう。私は今までになくスッキリとした気持ちを感じながら、やりかけの課題にとりかかった。
 
 
 
 
***

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2021-05-22 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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