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○○○にびっくり! 新時代の傑作クローズドサークルミステリー!

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記事:田中真美子(リーディング倶楽部)
 
 
小さい頃からミステリー、推理小説、探偵小説と呼ばれるジャンルの本が好きで、そのジャンルの本ばっかり読んできた。
初めて読んだのは幼稚園の時、江戸川乱歩の少年探偵シリーズだったと思う。
江戸川乱歩というと大人向けの猟奇的な小説のイメージが強いが、少年探偵シリーズは子供向けの探偵小説で、少年探偵たちの活躍をワクワクしながら読んだものだ。
 
小学校に入って高学年になる頃には大人向けの小説も読み始め、中学生の頃、漫画「金田一少年の事件簿」「名探偵コナン」が大ヒットし、私はこれだ! と思った。
金田一少年も、コナンも、犯罪(主に殺人事件であることが多い)という謎とその謎をとくヒントが解決編までに読者に提示される。そして、解決編ではその謎がロジカルに解き明かされていく。
私は、ミステリーのジャンルの中でも、このような形式の「本格推理小説」、と呼ばれるジャンルを好んでいるということをこの2つの漫画を通して知ることができた。
 
そんな本格推理小説好き、読者歴30年以上の私が毎年楽しみにしていることがある。
年末に発売されるその年の面白いミステリーのランキングが乗った本が発売されることだ。
毎年、年末にそれらのランキング本や雑誌のミステリーランキングを確認し、上位の作品を読むのを楽しみにしている。
 
2017年の年末、ある作家のデビュー作が国内のミステリーランキングを総なめにする。
今村昌弘氏の「屍人荘の殺人」がそうだ。
 
神紅大学ミステリ愛好会の葉村譲と会長の明智恭介が同じ大学で探偵として名を馳せる謎の美少女、剣崎比留子の誘いを受けていわくつきの映画研究会の夏合宿に参加し、そこで事件に遭遇する……、というのがあらすじだ。
 
本作では、葉村譲の視点で物語が描かれ、進行していく。
葉村と明智の関係性は「名探偵コナン」のコナンの名付けの元でもあるコナン・ドイルの推理小説、シャーロック・ホームズシリーズのホームズとワトソンに例えられるだろう。
ホームズ=明智が探偵で、ワトソン=葉村が助手の関係だ。
物語が葉村視点であることも、ホームズシリーズにおいてほとんどの作品がワトソンの一人称であることと重なる。
また探偵が奇抜な発想の持ち主で、助手が常識人であるところも共通している。
その関係性を本作中では、葉村譲が「明智はアクセルで、自分はブレーキ」と表現しているがホームズとワトソンの関係もそうであっただろう。
 
そんな相棒の関係である葉村と明智の間に現れて、物語を加速させるのがもう一人の名探偵、剣崎比留子だ。2人の探偵が登場するところは、ホームズシリーズとは異なる点だ。
剣崎の登場が、葉村と明智の関係にどのような作用を起こすのか。
それが本作のストーリーの重要な要素となっている。
 
さらに、これはここで述べてもネタバレにはならないと思うので説明すると、本作はクローズドサークルと呼ばれる、外界との行き来や連絡が絶たれた環境下で発生する事件を取り扱った作品である。
例えば、吹雪の山荘で起こる殺人事件、嵐の孤島で起こる殺人事件、といったシチュエーションが有名なところだ。なんとなくイメージが湧くだろうか。
 
クローズドサークルを扱った作品は古今東西数多くあり、シチュエーションのパターンは出尽くしたのではないかと思っていたが、本作では奇想天外な条件下で主人公たちがクローズドサークルに閉じ込められてしまう。この突飛な発想に、読んだときに衝撃を受けた。
さて、それがどんな条件で発動したかはここで述べてしまうとネタバレになってしまうので説明は控えておきたい。
大ヒットした作品なので、情報をシャットアウトするのはなかなか難しいとは思うが、本作を未読の方は読んだ時のお楽しみにとっておくことをお勧めする。
 
そして、シチュエーションの斬新さも素晴らしいが、何よりも素晴らしいと思ったのがトリックだ。
終盤、解決編で謎が解き明かされ、殺人事件の犯人が明らかになるのだが、その謎の種明かしが非常にロジカルでめちゃくちゃ気持ちいいのだ。
謎解きにおいて物語の序盤から事件を解き明かすためのヒントが伏線として散りばめられていること、斬新奇抜なシチュエーションさえトリックの装置の一つであることが判明し、「えぇ! まさかあれがこれにつながっているの!?」と驚きっぱなしだった。
とにかく、ぐうの音も出ない素晴らしさ。
ミステリーの種明かしでこんなにスッキリしたのは久しぶりかも。
 
2019年には神木隆之介主演で映画化され大ヒットし、ミステリーファンだけでなく一般層にも広く知られる作品となった。映画の方は原作に比べて、ミステリーのおどろおどろしい雰囲気は控えめで、かなりポップな作品に仕上がっていたが、それはそれで面白く、映画も楽しめると思う。
 
デビュー作でこのような非常に完成度の高い、極上のミステリーを作り出した作者の今村昌弘先生ってどんな方なんだろう……と興味が湧いていたところに今年の5月、天狼院書店の「初心者でも書ける! 小説創作1DAY講座」に今村先生が登壇されると知り、急いで参加申し込みをした。
 
オンラインで対面した今村先生はとても爽やかな好青年(30代! お若い!)で、お話もわかりやすくかつ面白く、すごく楽しんで講義を受けることができた。
作家になるためにどのような努力をされてきたかを伺い、「屍人荘の殺人」という傑作は一朝一夕で出来上がったものでは無いのだなということがよく分かった。
 
さて、本作はシリーズもので続編がある。第2作が「魔眼の匣の殺人」、そして7月29日に第3作の「兇人邸の殺人」が発売予定だ。
一作一作で起きた事件の謎は解明するものの、シリーズ全体を通しての大きな謎はまだ残ったままなのである。
これからその大きな謎がどのように解き明かされていくのか。とても楽しみである。
 
まだまだ続編が出そうな本シリーズ。是非是非ネットなどでネタバレをくらう前に本作を読んで、その素晴らしいトリックを堪能してもらいたい。
 
 
 
 
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2021-06-02 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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