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ライティングという欲望と夢、そして葛藤

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:山﨑 堅斗 (ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
書きたい。
とにかく書きたい。
書きたい衝動が抑えられない。
 
2021年4月より受講している天狼院書店のライティングゼミは、僕の人生を変える劇薬になりつつある。
 
何もかも空振り三振。上手く行かない閉塞感に押し潰されていた僕は、腐った現実を打破できる突破口を探していた。
そんな時、立ち寄った天狼院書店で渡されたのが「人生を変えるライティングゼミ」というキャッチフレーズの申込用紙だった。
正直「本当かな〜」という猜疑心こそ生じたものの、失われた自己肯定感を取り戻せるかもしれないと、藁にもすがる思いで受講を決意した。
 
そこから、ライティング漬けの生活が始まった。
2週間に1回のゼミ受講。週1回の2,000字課題の提出。
ライティングは、睡眠、食事、排泄と同じぐらい重要なルーティンとなった。
それは退屈な日常生活に刺激を与えてくれる香辛料である。
どっぷりと「ライティング沼」にハマってしまった。
 
沼底に吸い込まれながら思う。
何故、早く気付かなかったのか。
一度しかない人生で、熱狂するほど、本当にやりたかったのは、これではないのかと。
 
ライティングをしている時ほど、エキサイティングで脳汁がドバドバ放出される瞬間は無い。
毎週ウンウン唸りながら、締切時間までのタイムリミットが迫る中、2,000文字の記事を書き切るのは辛い。
好き勝手に自分自身の思いを吐露し、文章を書き連ねていくが、不特定多数の読者に読んでもらうことを意識しなければいけないので結論がまとまらなくなっていく。
推敲しているうちに、時間が無くなり、もがき苦しむ。
しかし、血生臭い格闘の末には達成感がある。
膿を出し切った様な感覚で、締切時間ギリギリに課題提出をするのは気持ち良い。
講師陣よりフィードバックを頂いた末、ボツを貰うことも多いが、何よりもめでたく合格を頂き、苦肉の力作がweb掲載を迎えることは至極この上ない快感である。
大衆酒場で、仕事終わりの生ジョッキを飲んだ後の「この為に生きてきたのだ」ばりの爽快感と共に、ガタ落ちしていた自己肯定感が少しずつ回復していく。
 
ライティングゼミの受講を初めて、およそ3か月。
6回の講座受講、8回の課題提出(合計16,000字)を経て、僕の心境に変化が起きてきている。
「もっとライティングスキルを極めていきたい」
 
いや、そんな生半可なものでは無い。
むしろ、こうだ。
「ライティングを生業にしたい」
 
専業ライターになりたい衝動に駆られている。
紙媒体かwebか。どういうジャンルの記事で勝負していきたいのか。なりたい自分のライター像は何だ。諸々のコンセプトはグラついている。
しかし僕のモチベーションはかなり前向きで、ライタースキルを積んでいけるのなら、手段は問わないので、どんな媒体でもジャンルでも縦横無尽に寄稿し続けていきたいと思っている。
もはや一縷の望みがあるのなら、ライティング道を突き進むこと一択の状態なのである。
 
暴走している欲求に対して、理性が肩をバシバシ叩く。
オイオイ待て待て、現実をよく見ろ。
今までのような安定収入は確約出来んぞと。成功なんて一握りだぞと。
 
確かにそう考えると、毎月給料を頂戴できる、現職の会社員という身分は非常に恵まれている。
ネット求人を眺めてみても、正社員ライター職の募集は極めて少ない。
企業としての募集が完全無い訳では無いが、条件として「実務経験有」の応募が多い。僕のようなスキル皆無な、未経験者にとっては狭き門と言える。
こうなったらフリーランスでの活動も視野に入れねばならない。
だが、経済的安定や成功は保証できない。
フリーランスになれば企業が負っていた責任を一手に引き受けることとなるので、全部、自分の力でやりくりしなければならない。
Webライターであれば、クラウドソーシングサイトで、文字単価が低い案件をどんどん受注していき、雀の涙とも言える収入の中、信頼や経験を獲得していく苦行期間からのスタートとなるだろう。
年商ウン百万稼げるようになるまで、道のりは遠いのだ。
 
現在の安定を捨ててまで、そちらににフォーカスしていくのは、それ相応の覚悟がいる。
今後の人生設計が崩壊するリスクだってある。
出世やスキルアップは勿論のこと。結婚、子育て、マイホーム購入、自家用車購入、海外旅行、などなど。会社員を続けなければ得られない対価を投げ打ってまで、本気でライティングを生業としたいのか。
悶々と葛藤は続いていく。
 
新卒カードが使える学生の瞬間から何かしらアクションを起こしていれば。
出版メディア業界にエントリーしていれば。編集プロダクションのインターンに参加しスキルを磨いていれば。ブログやっていれば。
学生時代をもっと大切に過ごしていればと、後悔が頭をよぎっていく。
いや、もはや手遅れ。気付くのが遅すぎるのである。
 
さらに、理性が畳み掛けてくる。
現実的を見ても、今のお前は、プロのライターとしてやっていくスキルは皆無だ。
武器を持たずにスッポンポンの全裸状態で、弾丸が飛び交う戦場に繰り出していくようなものである。
そもそも論として、ライターなんて、趣味の範囲で出来るでは無いか。
現にライティングゼミに入り、週1回2,000文字課題提出をこなしている訳だし、望み通り、充実したライティング活動は出来ているじゃないか。
 
しかし僕の欲望は頑固で貪欲である。
いや、このままじゃダメなんだ。もっと高みを目指していきたい。
ハッキリ言って現状このままでは「ライティングごっこ」であり、完全な「お遊び」である。
自分の血を一滴も残さず、ライティングに捧げていく様な真剣さが足りない。
 
気づけば、岐路に立たされていた。
安定した会社員生活か、無名フリーライターの端くれ生活か。
しかし、今の僕にとっては、どちらの道も過酷さはそんなに変わらない。
確かに会社に留まれば、現職のスキルを磨き、業界内の成長は出来る。苦難に耐え、自社利益の向上に貢献していくことも出来るし、対価として安定収入を頂戴することが出来る。
だが一方で、自分の「こうなりたい」という気持ちや感情、何よりも「やりたいこと」をしたい欲望を圧し殺してまで、現実の生活に妥協し、組織に尽くしていくのも違うのでは無いかと思えてくる。
そう思うと、つくづく社会人不適合者とも思えてくる。
だが、後ろめたさによって、仕事を惰性で続けていくのも、組織は勿論のこと、周りの人々や自分自身の為にもならないのも事実。
結局は、自分のやりたいフィールドで、己の才能を開花させるべきだという考えに落ち着く。
 
結論として、このフリーライターという厳しい茨の道に、足を踏み入れてみたい衝動に駆られている。
私叔している芸術家、岡本太郎は生前、次の言葉を遺している。
「自分の行きたい道は危険な道である」
成功や安定といった保証は無いが、結局やりたいことにチャレンジできる。魅力溢れる方向はこっちなのである。
 
もう答えは出ている。
結果はどうあれ、とにかく自分が満足することが重要だ。
散々、やることやって、痛め付けられようじゃないか。
とは言え自分の生活もあるし、世間体もあることだから、やっぱりライティングを生業にすることについては、すごく慎重に考えていこうと思う。まだまだ悶々としていきたい。
 
 
 
 
***

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2021-06-25 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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