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お風呂で何をするのがお好き?


 

記事:H.Tomoko(ライティング・ゼミ)

 

*この文章は、「天狼院ライティング・ゼミ」の受講生が投稿したものです。
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お風呂に入るのは好きですか?

そこで何をするのが好きですか?

本を読む。音楽を聴く。SNSをチェックして、タブレットで映画を見る。目をつぶって静かに瞑想するのもいいし、せっかくだからアロマも楽しみたい。好きな人が隣にいればもっと幸せ。

 

通勤途中に、そんなバスタイムをもてたらどうですか?

そのお風呂に蛇口はついてはないのだけど。

 

 

2016年3月某日。

 

リース車を更新しました。安いリース料金と低い燃費、それが車に求めるものすべてというわたしなので、借りているのは庶民向け大衆車、しかもベースグレード。時代の先端なんかまるで走っちゃいない車のはずなのに、思わぬ収穫物に声を上げました。

 

「うわ、これ、運転する人いらないでしょ!?」

 

フルモデルチェンジをしたその車は、前を走る車の速度にあわせて車間距離を取り、ゆるくブレーキをかけつつクルーズコントロールしてくれます。また車線から逸脱しそうになるとハンドルがくっくっと勝手に動いて車の方向を修正してくれます。つ……つまりこれって、アクセルにもブレーキにも足をのせておかなくていいし、ハンドルに手を置いていなくてもいいってこと……!?

 

もちろん、まだ完全な自動運転車ではないのだから手も足も離すのはすごく不安だし、何よりもすぐに車から「ちゃんとハンドルつかみなさいよ!」と叱られます。でも、確信。自動運転車、絶対来る! 思ってたよりも早くやってくる! そうすれば車は、家でも職場でもない第3のパーソナルな空間に変化します。まるであなた好みのバスタイムのように。

 

アメリカは中西部にある州都郊外の都市部から田舎へ。わたしの毎日の通勤は、時間にして30分強、50kmの距離。新宿都心から高尾山入り口までの距離に相当するのに、その間の信号はたった3箇所。家を出て数分で高速にのると、初めの10分は住宅街や、工場、倉庫が続き、その後は、コーン畑、大豆畑、畑、畑、どきどき原生林、小さい工場、そしてまた畑が道路脇を流れていきます。でもリアルってこんなもん。TVや雑誌で見るNYやLAのファッショナブルな生活とも、シリコンバレーのエキサイティングな仕事とも、程遠い日常を大半のアメリカ人は送っています。渋谷や六本木ライフを送る日本人がごくごく少数であるように。

 

人口密度が高い東西海岸沿いの州を離れれば、そこに横たわるのはただひたすら広大な大地。ぱらぱらと散在する都市部、その間にはスモールシティ、スモールタウン。郊外までレンタカーを走らせて、「わあ、なんてアメリカって広いんだろう」と感激する観光客もいるでしょうが、スモールタウンはいわば陸の孤島。バス? 電車? タクシー? そんなもの、ありゃしない。車社会ってのは、車がメインなんじゃない、車しかないのです。それなしには、職場どころか買い物すらいけないのです。だから公共交通手段がある大都会をのぞき、生活が困窮して家を手放すことになったとしても、車だけは手放さないとアメリカ人は言われます。大海に漂うボートを漕いでも漕いでもまったく進んだ気がしないように、歩いても歩いてもどこにもたどり着くことがないような大地において、車が象徴するのは単なる便利な「移動の足」ではなく、「自由」と「人とのつながり」。それなしには、広大な空と大地の間に閉じ込められ、押しつぶされ、息苦しくなるほどの孤独感と閉塞感がやってくるから。

 

ちょっととなりの町の出口から高速を降りたとしても、あるのはガソリンスタンドとファーストフード。これはデジャヴュなのか、と思うぐらいいつも同じナショナルチェーン店、同じ風景。退屈で眠気をさそうスモールタウンでも、車があれば脱出できます。どこかにいける自由が生まれ、誰かとつながることができます。もちろん、それには畑や林の間を通り抜けるまっすぐな高速を、あくびをかみ殺しながら延々と走り続けるしかないのだけれど。

 

でも、もしも、この退屈な運転がバスタイムのように変わったら? お風呂同様、手足を思い切り伸ばせなくともやりたいことの多くができるようになったら? To doリストは長くなるばかりなのに、1日は24時間以上にはならないと焦っている人たち、つまりわたしたちのほとんどへの思いがけない時間の贈り物。一度経験すればわかってしまう。これ、圧倒的な必然性あるもん、課題の解決なんて時間の問題! 今は小さい流れをいくつも集めているけれど、そのうち大河となって押し寄せてくるはず。この流れは絶対絶対とめられない! 日本のように複雑で狭い道路が少ないから、アメリカは一歩先にこの流れに乗るでしょうね。

 

そして何年先かわからないけど、日本にいるあなたにも間違いなくこの贈り物は届けられます。そうしたら、何をしたいですか? わたしはあなたに電話したい。ハンドルから手を離し、退屈な運転から開放されて、ゆっくりあなたの声を聴いていたい。今あなたがひざの上に開いている、その読みかけの本の感想を聞かせてね。

 

でもひとつだけお願いしておきます。服はちゃんと着ておくこと。スピード違反ではなくって、公序良俗違反であなたが捕まらないように!

 

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*この文章は、「天狼院ライティング・ゼミ」の受講生が投稿したものです。

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*この作品は、天狼院メディア・グランプリ参加作品です。
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2016-04-06 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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