メディアグランプリ

ライティングがもたらした奇跡。


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記事:岸★正龍さま(ライティング・ゼミ)

1.0からライティングゼミに参加している。
そして16週すべて記事を出した。掲載されなかった記事もいくつかあるが、とにかく毎週出すことを目標に書き続け、どうにかこうにか完走した。

出し続けるなかで、僕が感じたこと。

文章には人の心を動かす力がある。
いや、違うな。人の心を動かす文章がある。

僕もそんな文が書きたい。
人の心を動かす文章を書きたい。
そのためにはどうすればいいか……毎週たくさんの方がアップしてくる記事を読み、そのいくつかに僕自身の心が揺り動かされ、なぜこんなに心が動いたのかと分析し、その分析を元に文章を書き、三浦さんの目を通り掲載になった文章は多く方に読んでいただき、激励があり批判もあり、それをすべて踏まえて他の方の記事を読み、分析し、また新しく文章を書いた。

最初の10回は、テクニック的な部分をこねくりまわした。
ライティングゼミで習ったことはもちろん、アメリカから渡ってきたフォーマットに頼ってみたり、旬のネタに絡めてみたり、小賢しいタイトルを使ってみたり、本当に色々試してみた。けれど、そんな僕の文章は、僕の心さえ動かすことはなかった。

どうしたらいいのか?
どうしたら人の心を動かす文章が書けるのか?

講義を聞き、考え続け、読み続け、書き続け、そうしているうちにテクニックは殺がれていき(あるいは僕の中に溶け落ち)、そしたら多くの方から「面白かった」「引き込まれた」と感想をいただけるようになり、けれどなにがそうさせるのか自分では腹落ちしないまま最終講義の週になり、その週に僕の地元で事件が起こり、僕はこんな↓文章を自分のブログに載せた(ここのルールに従い固有名詞は消してある)。

昨日の夜、僕の地元の商店街にある飲食店で大きな火事がありました。

消防によりますと、8日午後6時40分ごろ、商店街にある飲食店から火が出て、周辺の建物に燃え移ったとのこと。当時その店にいたお客さんはテレビの取材に対して、「大きな火が出て『バン』と音がした。火が換気扇まで回った」と話しています。

僕の地元は昭和の戦争のあとから続く商店街です。古い木造の建物が肩を寄せ合うように密集しているため、火が出ると次々に隣に移り、甚大な被害を引き起こします。

昨夜の火事も5時間あまり燃え続け、僕の友人が経営するヘアサロンものみ込み、焼き尽くしました。

先ほどその友人のサロンに顔を出してきました。

あの柔らかな店内に焼けた煤の匂いが強く匂いました。
穴が空いた壁から、完全に焼け落ちた隣家が見えました。
プラスチックの機器は溶け曲がり異様な有り様になっていました。

火事は恐ろしいほどの猛威で彼のサロンを食い尽くしたのだ、つまりこの場所での彼のサロンは完全に終わってしまったのだ、と、黙々と片づけを進めるスタッフさんたちのかたわらで、僕は想いました。

その中
「とにかく一日でも早く営業再開できるよう、いま物件を探しています」
と僕の友人は気丈に話してくれました。

その心中いかばかりか、と……

僕は、彼がこのお店を出したときのことを知っています。

なぜその場所を選び、
どんな想いをそのお店に込め、
どこまで細部にこだわってお店を開けたか、
その経緯を知っています。

そして、
お店を開店した日の
彼の最高の笑顔を知っています。

それだけに……言葉がありません。

真っ黒に沈んだ彼のサロンのために。
そんななか前に進もうとしているスタッフさんのために。
僕ができることは多くありません。

けれど
なにかできないかと考え、
彼の了解を得た上でカンパを募ることにいたしました。

ご存知のことと思いますが、
もらい火は、火元に損害賠償請求ができません。
言葉は悪いですが「もらい損」なのです。

火災保険に入っているとはいえ、
これからの移転にはたくさんのお金がかかります。

このサロンを、
そしてサロンのスタッフを愛する皆さま、
サロンの一日でも早い営業再開のため
どうぞカンパにご協力ください!

よろしくお願いいたします。

この文章は、SNSの中で奇跡のように拡散した。
そして火事で燃えたサロンには、あり得ない額の良心が集まった。

「こんなにたくさんの方に支えていただき感謝しかないです。次の店は、僕だけの店じゃない、支えてもらったみんなの店なんだって感じてます。それが嬉しくて……昨日まで一睡もできなかったけど、いまはたのしみの方が強いです。みんなから届いたこの奇跡のような力に感謝しています」

と、彼は僕に伝えてくれた。
そう伝えてくれる彼の笑顔を見て、僕は不覚にも泣いてしまった。

もちろんこの奇跡は僕の文章が起こしたわけじゃない。
けれど、誰かが書かなければ、この奇跡は起きなかった。

書くことはサービスである。そして書くことは人と人を繋ぎ、そこから奇跡だって起きる。ここにいて良かった。ここで学んでいて良かった。書いていて良かった。書くことを続けてきて良かった。けれど、まだ全然だ。

だから。
僕はこれからも書き続ける。

 

***
この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、店主三浦のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。

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2016-04-19 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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