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メディアグランプリ

天狼院の白雪姫たちよ、毒リンゴに注意!


白雪姫

 

記事:菊野由美子さま(ライティング・ゼミ)

「うわ~、うわ~、うわ~」
「分かる~、やばいなぁ、白雪姫に出てくる女王さまの気持ちが分かる~~、いか~ん!」
お風呂上り、いい感じにブローし終わった髪を両手でクシャクシャにグルグルして、スマホを握りしめたまま、
座椅子から体をはみ出し、大きくのけぞらせていた。

私は、若い人たち、いわゆる一回り以上年下の世代と、とても仲良くやっていけるタイプだと思う。
実際、ショッピングやスィーツ巡りに女子会など、利害関係なしに、心置きなく一緒に楽しんでいるのは、一回り以上年下の世代たちだ。男友達にしても、30代前半の仲間たちが多く、お酒がなくても、コーヒーだけでも、結構、お腹を抱えて笑って楽しい時間を過ごしている。
その中で、30代前半で起業し、自分の将来のビジョンを明確にして人生を切り開いている友達も周りに多いのだ。彼らたちの生き生きしたビジョンを聞くのも大好きだ。そして、ただ楽しいという時間を共有するだけでなく、時として私は、彼ら彼女らからアドバイスされることも多々ある。しかも不思議なことに、「なんで一回りも年下にアドバイスされなきゃならないの?」と思わない自分がいるのである。彼らたちからのアドバイスやビジョンに感心し、「私もがんばらなくちゃ!」と思わせてもらっている。
いつからか、私はそんな彼ら彼女らを「恐るべし嵐世代」と呼んでいる。「嵐」とは、あのジャニーズの「嵐」だ。私が「嵐」大好き、ということもあり、そのメンバーが、私の一回り年下の友達と同世代だということから命名した。
そんな「恐るべし嵐世代」からは、嬉しいことに、「一緒にいて年齢感じさせな~い。楽しい! また、会おうね」と言ってもらっている。

そして最近は、「嵐世代」よりさらに年下世代が私の周りに出没し始めたのである。
私は、彼ら彼女らのことを「出産可能世代」と命名した。大体20代前半を指す。これは、彼女たちが「出産可能年齢」に届いている、ということではなく、私自信に、「この年齢の子供がいてもおかしくない」という意味である。さすがに、今の自分の年齢で、30代の子供を持つことは無理だが、20代前半だと、悲しいかな、彼ら彼女らの「お母さん」になりえるからだ。ちなみに、私の3つ年下の妹の子供は、今年成人式を迎える。
そんな「出産可能世代」が最初に出没し始めたのは職場である。とうとう平成生まれと机を並べることになるのだ。この、「年号が違い」はかなり大きい。
私たちが、明治、大正と聞くと、「おぉ~~!」と国宝級の扱いをしてしまうように、いつの日か、自分の生年月日を聞いた人が、嬉しいかな、悲しいかな、「おぉ~~!」と敬ってくれる時が来る。
さすがに彼ら彼女らとはショッピングに行ったり、相談事を話したりはしないが、なぜか私は彼らにいじられるのだ。そして、なぜかわからないけれど、その「いじられ」が快感になっている。
仕事に追われて、少し疲れ気味な顔をしている「出産可能世代」の一人に、
「大丈夫? 今日は残業せずに帰ったら?」と言うと、
「大丈夫です! 菊野さんより若いですから!」と、日本刀で、「ばっさぁ~」と切ってかかってくる。
そして私が間髪入れずに、「こら~! 高橋~!」と突っ込む。そんなやり取りを、周りの同僚は微笑ましく見守ってくれている……と思う。そして、「出産可能世代」との、こんなやり取りが無性に快感なのである。私の中の母性本能がそうさせるのだろうか?
そんなことから、私は「恐るべし嵐世代」から「出産可能世代」まで、ストレスなくとてもいい関係を築いているのだ。

 

そうだったのに……
あぁ、そうだったのに……
最近、職場以外で出会った「出産可能世代」に強烈に嫉妬しているのだ。

 

仕事から帰って、冷蔵庫にあるもので簡単に野菜炒めを作って、バラエティ番組を観ながら、サクッと食事を済ませた。お風呂から上がり、翌朝になるべく髪が跳ねないように念入りにブローした。
そして、座椅子に座って、テレビドラマをBGMにスマホを触ると、天狼院書店のウェブサイトに投稿された新着記事が目に留まった。
その記事を、時が止まっていたのではないかと思うくらい一気に読み上げた。
読み終えたとき、長い間、自分の中で処理しきれずにいたジレンマがクリアになっていく感覚があった。
「なんてこと! 私も“努力”をはき違えていたのか!」
そう、いたって単純なことだったのに、理路整然と、そしてドラマティックに紡ぎだされた彼女の記事によって、自分に足りていなかったことが裸にされたのだ。
そしてその日から、不覚にも私の行動が変わったのである。
天狼院書店のライティング・ゼミで教えられる、書くことの極意、「ABCユニット」にまんまとはまり、まさに「書くことは人を動かす」という体験を、「出産可能世代」によって、体験させられたのである。
私にとって「出産可能世代」である天狼院書店のスタッフは、仕事として「記事を書く」ことを必須とされている。そして、ライティング・ゼミ受講者と同じように、週に1記事投稿している。その閲覧数を競うメディアグランプリでは、彼女たちの記事がつらつらと上位を占めているのだ。ライティング・ゼミの受講者になってから、天狼院スタッフの記事を読んでは感心していた。
というか……、
徐々に嫉妬し始めていたのだ。
素晴らしい表現力に、自分自身への洞察力も優れて、どんなに苦悩してドロドロした感情を「書く」ことにぶつけていても、もぎたてのフルーツのようなすがすがしさを感じさせる。そして、間違いなく「ABCユニット」をお気に入りのアプリのように、サクッと使いこなしている。

 

羨ましい……。

 

「出産可能世代」ともストレスなく付き合えていた私なのに、その彼女達に「記事」で心を動かされたのが、とても……、なぜだか……、羨ましかった……、そして、悔しかったのだ。
私も20代の若いころに天狼院に出会っていたら、彼女たちのような記事が書けていたのかな……。
そんなフツフツとした、分かっていたのに見て見ぬふりしていた感情が、彼女の記事で解き放たれてしまった。
そう、私の中で、天狼院のスタッフは、「どうしてもかなわない美しい白雪姫」そして私は、「嫉妬する女王さま」という構図が出来上がり、その瞬間、私は髪をかきむしり、座椅子をはみ出すようにのけ反っていた。

「くそぉ! 天狼院の白雪姫たちに対抗できる毒リンゴはないか! もうどうしてもかなわないのだろうか……」
そんな気持ちで自分と向き合いはじめた。そして、あのころ、同じように若い世代に嫉妬していた自分を思い出した。
私は30代半ばのころ、それまで勤めていた会社を辞めて、カナダ・バンクーバーへ留学した。そして、州立カレッジに併設されている留学生専用の語学養成コースに入った。ここでは、英語を母国語にしない生徒を本科の授業についていけるように、読む、聞く、書く、話すを徹底的に鍛えるのだ。
クラスメイトの9割は10代後半から20代前半。
留学2年目に突入したころ、私より後に留学してきたクラスメイトで、始めは片言の英語だった彼らに対して優越感を感じていたが、あっという間に彼らは流暢に話せるようになっていき、置いてきぼりを感じるようになっていた。
「なんで?」「どうして?」心がだんだん小さくなっていく。
語学習得は、早ければ早い方がいいとされ、ゼロ歳児からの高額ディズニー教材が飛ぶように売れるのも納得せざる負えない。

 

私も彼らのように20代そこそこで留学していれば、もっと早くスマートに上達していたはず!
と、できないことを年齢のせいにしていた。
そんなある日、カレッジ内のカフェで談笑していると、一人の韓国人留学生がポツリと言った。

 

「本当は留学なんかしたくなかった」

日本人留学生は、ほとんどが自分の意思で留学を決めてやって来ているのに対して、韓国や中国からの留学生は、全員ではないが、親の希望や期待を一身に受けて母国を離れてきたケースが多かった。
そのとき、自分の人生経験からのアドバイスを話すと、彼の顔色がパッと明るくなった瞬間を今でも覚えている。それから、「バンクーバーの母」ではないが、クラスメイトから相談を受けることが増えたのだった。
恋愛、将来の不安、親との確執、クラスメイト間の悩み、などなど……。
カフェや敷地内のベンチ、時には芝生に寝っ転がりながら、または、帰りのバスの中などでよく話したものだった。彼らのまわりには、社会人を経験した大人は、親か先生ぐらいである。そのどちらとも、なかなか相談しにくいのは、これまた世界共通なのだろう。かなり年上だが苦楽を共にするクラスメイトでもある私は、格好の相談相手となったのである。
それまで、彼らに対して嫉妬心を抱いていたが、相談を受けるようになって、彼らと打ち解け、同時に、自分の英語力が伸びていることに気づき始めたのだった。
「この微妙な言い回しは、英語ではどのように伝えたらいいのか?」
「どの単語やフレーズが一番しっくりくるのだろう?」
と日々模索するようになったのだ。
テレビでドラマを見ているときに、相談事と同じような状況でのセリフに出くわすと、「あ! これ使えるかも!」とメモし、試してみる。または、カナディアンの友達に、相談事の状況を説明し、それに対する答えの言い回しを教えてもらっていた。そして、次にクラスメイトと会ったときに話してみると、ちゃんと伝わり、その子が元気になる様子を見て嬉しかった。その瞬間、嫉妬は消えていた。
そんな風にして、年齢を重ねていることが、自分に対しても周りに対しても役に立っていたことを思い出した。

 

まてよ……。

 

嫉妬とはネガティブな感情であって、確かに毒リンゴだ。取り扱いを間違えると、取り返しのつかないダメージをずっと引きずって生きていくことにもなりえる毒だ。
嫉妬ほど人を強い行動に移してしまう感情があるだろうか? 抱いた嫉妬をどうコントロールすればいいのか分からずに、もがいた経験が誰にでもあるだろう。あの女王さまは、嫉妬に駆られて毒リンゴを白雪姫に食べさせるという行動に出てしまった。
だけど、嫉妬をポジティブに変化させたとき、胸いっぱいに空気が入ってくるような、想像以上のエネルギーが溢れてくるのだ。そんな感覚を天狼院のスタッフは描き切っていた。
実は、嫉妬は、自分自身を磨き、向上させてくれる一番強烈なきっかけなのではないか?
今の私なら、もし、私が女王さまから信頼されている付き人だったら、女王さまが毒リンゴに手を伸ばそうとしたその瞬間、女王さまの手首を掴み、

 

「女王さま、その嫉妬、いいですね。美しいじゃないですか! 毒リンゴを渡すより、白雪姫に嫉妬される私たちになりましょう! なれますから!」

 

と言っていると思う。

 

さぁ! 私は嫉妬を乗り越えてポジティブになった女王さまと強烈タッグを組んだ。
天狼院の「出産可能世代」の白雪姫たちが、嫉妬心に駆られて、思わず毒リンゴに手を伸ばしたくなるような記事を書きまくりますから、待っててくださいね!
《終わり》
***
この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、店主三浦のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。

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2016-04-27 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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