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メディアグランプリ

あなたの顔、誰に似ているといわれますか?


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記事:高野萌美さま(ライティング・ゼミ)

「芸能人で言うと誰に似ているって言われる?」

新学期が始まって最初に行う自己紹介のとき。
新入社員の歓迎会で盛り上がっているとき。
色んな「初めまして」が集まる場面で、高確率で出てくる話題のひとつにこれがあると思う。
私はこの質問をされると、少しだけドキッとする。
過去に言われた人物を正直に言えばいいんだろうけど、私がこれまで似ていると言われた3名はそれぞれ言ってしまった後のリスクが高くて、誰を答えたらいいのか迷ってしまうからだ。

先日、他部署の方々が集まるパーティーに参加したときのことだ。
せっかくだし色んな方と交流しよう! と、気持ちを奮い立たせて知らない人たちの輪の中に入ったが、何の話をしたらいいのか分からない。

(初対面の人からいきなりツッコんだ話をされると困るだろうし、少しづつ、少しづつ……。)

自分の身から出たトゲで相手を刺すことがないよう慎重に距離を保つヤマアラシのような気持ちで、まずは目に見えるようなところから話題を振ってみた。
相手が身に付けているセンスのいい洋服について。会場に飾られているおしゃれなインテリアについて。今飲んでいるお酒について。
それなりに話が続いてよかったと思っていたとき、一緒に話していた男性から「あの質問」が来た。
「森野さんは、誰に似ているといわれますか?」
さぁ、どう答えよう。

私がこれまで似ているといわれた人物は3名いる。
まず1人目。「南海キャンディーズの山ちゃんとしずちゃんを合わせた感じ」
南海キャンディーズとは、個性的な髪形と赤メガネが特徴的な陽気な男性と、背が高く体つきがしっかりしている女性のお笑いコンビだ。
これは学生のころ、友人たちからかなりの頻度で言われていた。女性にしては身長166cmと大柄でがっしりとした体形、かつ当時は赤メガネをかけていたので、みんなから見たら真っ先にその2人が思い浮かぶのだろう。
これまでいろんな人から似ていると言われ続けたし、お笑い芸人ということで笑いのネタになる。だが、話し相手が男性だと逆に「そんなことないよー」とフォローさせてしまい、かえって気を遣わせてしまう可能性が高い。学生の仲の良い者同士なら冗談を冗談で返すやり取りができるから問題ないのだが、社会人でかつ初対面の大人には今の関係でどこまで冗談を返してくれるか、空気が読めない。

2人目の「似ていると言われた人」は、私から言うのは恥ずかしいのだが……。
「堀北真希」
私の人生で3人にしか言われたことのない、本当に言われてうれしかった人物だ。
何しろドラマで何度も主演を務めた超有名女優だ。清楚系美人で、男性からも人気も高い。
人から彼女に似ていると言われるのはとてもうれしい。死ぬほどうれしい。むしろもっと言ってもらって私に自信を与えてほしいくらいだ。
だが、これを自分の口から言ってしまうのはどうだろう。
「私、堀北真希に似てるって言われるんだー♪」
会場にいる男性陣全員からラリアットを喰らわれそうだ。これは私の人生でうれしかった出来事の1つとして心の中にひっそりと収めておこう。

ならば3人目。これしかないかもしれない。
正直芸能人でもなんでもないんだけど、誰でも知っている人物だし、なんとなく自分でも「分からないでもない」と思える。
目鼻立ちがはっきりしていて、日本の南側、宮崎県で生まれ育った私だからかもしれないけど、これを言えばたいていの人は気を遣わせることなく、かつラリアットをお見舞いしようとも思わず、ちょっとだけ会話の中に軽い笑いを入れることができるかもしれない。
ようし……。

「私、縄文人って言われたことがあります」

「えっ……」

2人の間に沈黙が流れた。
まずい。これは南キャンよりもツッコみしづらかったかもしれない。今話している男性ちょっとかっこいいなーくらいに思っていたのに、出会ってわずか1日で軽く引かせてしまっている私ってどうよ。「変わった人だね」なんて思われないで、話していて楽しいなくらいに感じてもらいたくて発言したつもりだったのに。というか、奇をてらったつもりはなく、これ事実だから!冗談じゃなくガチで言われたから!!

「(やばい)あ、以前50代くらいの男性に初対面でいきなり『お前は縄文顔だ! 俺にはわかる!』と断言されたことがあって。多分私が宮崎出身だから、南の人っぽい顔立ちってことを言いたかったんだと思うんですけど(やばいやばい)」

「……森野さん」
「え、あ、はい!?(完全に変な人認定されたー!)」
「森野さん、面白いね。服装がきっちりしているから、ちょっとお堅い人かと思っていた」
「ええ!?そんなことないですよ!」

その時の私の服装は、白いワイシャツにくるぶし丈の紺のパンツ。首元にはゴールドの小ぶりなネックレスをつけた、いかにもキャリアウーマン風の恰好だった。

(仕事帰りだったからというのもあるけど、さすがにこの服装の女にくだけた話はしづらいよね。縄文ネタで話して逆によかった……かな?)

人との距離の取り方って未だによく分からないけど、あれこれ考えずポーンと言ってしまっても意外と受け入れてもらえる可能性だってある。変にきちんとした姿、まともな姿を見せようと意識するよりは、自然体でいたほうが相手も受け入れやすくなるのかもしれない。そんなことを思ったら、以前より少しだけ「あの質問」に答えやすくなった。

次、同じ質問が来たらこう答えてみようと思う。

「森野さんは誰に似ているって言われますか?」
「私は、南海キャンディーズと堀北真希と、あと縄文人に似ているっていわれます!」

 

***
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2016-05-03 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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