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すいませんが、私は履歴書にはおさまりません! 


記事:いんこ(ライティング・ゼミ)

今まで人に雇われたことがあっても、人を雇う立場になったことはない。

部下がいたことがないわけではないが、先輩という立場で指導していたことはあっても管理職として金銭面での責任はなかった。でも、もし私が会社を作って人を雇う立場になったら、こんな人を雇いたいという勝手な妄想はある。

本来、こんな仕事がしたい! 

が先なのはわかっているつもりだが、履歴書で散々選ばれてきたので、私ならこんな感じで人を選んでみたいという気持ちが先に芽生えたのである。

ひとりで仕事をするのも悪くはない。すべてが自分で決められる。かといって仕事は取引する相手があってなのでお仕事をもらうためには最大限相手にあわせる必要がある。ひとりだと不満や相談事を決まった相手に話をして我慢をわけあうことはできない。病気になっても代わりに仕事をしてくれる人がいない。会社に戻ってきたときの、自分のテリトリーに帰ってきた〜という感覚は味わえない。

それに対して、誰かと仕事をすれば3人寄れば文殊の知恵なので、自分の不足や新しい発見や気づきをもらうことができる。人間とのつきあいには何かと気を使うが、何かあったときに助けてもらえるという安心感や、人に任せてものを頼むことができるという信頼関係を作ることができる。複数の人がそれぞれ専門分野をきわめてくれることで、自分のやりたい仕事に専念できる。社員を雇えば、給料を払うために働かなくてはという責任感でいやでもがんばり、確実にお金をとれる仕事以外のチャレンジもどんどんさせてもらうことができるかもしれない。

なので、私はできれば誰かと一緒にチームを組んで仕事をしたい。ひとりで何かを作り上げる達成感も格別かもしれないが、チームで仕事を仕上げることで仕入れる情報も仕事の規模もお金も満足感も何倍にもなる。

そう、私は起業してみたいのである。
そして雇い主になれば、もう履歴書をかく必要はない。

正直、私はもう履歴書に書ききれないくらい色々な職場で働いてきた。
これは、けして自慢ではなく卑下でもなく真実である。
ただ、この経験が私の血肉になって私をつくりあげてきたのは間違いない。
業種としてはもう4つ目だが、それぞれで積み重ねた技術を生かしてどの業界でも役に立つくらいの仕事はしてきた。どの職場でも仕事がないということはなかった。仕事を与えられていても、いつもそれ以外の何かに気づいてしまい、新しい仕事を勝手に作っていたような気がする。

就職活動のために、私は履歴書や職務経歴書を本当に沢山かいた。話すと忘れがちなことを書いたり、とりあえず説明責任を文字で果たし、書類でわかって欲しいという願いと欲求をここに詰め込まねばならないと感じていた。サッパリとした箇条書きで書くと、ただの項目の羅列になってしまうので自分の思うようなツッコミをもらうことができない。

ただ、普通の会社の人事なら、私を雇うことはかなりのチャレンジだと思う。なぜなら、あまりにもいろいろなことが書かれていて、私の専門性が疑われることが幾度もあったからだ。

この人は、今までの経験を、うちの会社では生かせないのではないか? 
この人は、実は仕事ができないのではないか? 
この人は、周りとうまくやれないのではないか? 
この人は、周りをリスペクトできないのではないか? 
この人は、会社ルールにあわせるのが下手なのではないか? 
この人は、飽きっぽいのではないか? 

と、相手が考える懸念事項はいっぱい想像できる。

正直、就活で履歴書を出せば80パーセントは面接までいける。色んなところをうけてみてダメでも全然めげない。
次行ってみよう! 
という切替の早さはおそろしいと言われたこともある。自分の職歴に会う仕事場を選んで自分から求人もないのに「私、いりませんか?」と履歴書をおくることもあった。

自分を顧みないわけじゃない。
能力が足りないと感じることもある。
自分が過大評価されていることに気づくこともある。
会社ルールにあわないと感じる場合もある。
いろいろなことを別ないいまわしで言うと、上から目線だと誤解される。
しゃべるのが苦手なので、声のトーンや話し方が受け入れられないかもしれない。

などとささいな事を考えることもあった。
あわないものはあわせないかぎり一緒にやれないので、無理してあわせる必要がないと感じたら、潔くスパッとあきらめる。

自分は役に立つ人間のはずだと思っているが、必ずしも誰にでも好かれるわけではない。お世辞が苦手、回りくどい言い方が苦手。あたりまえの言い回しができない。人と同じもの言いができない不器用な人間だと思っている。

しかし、隠れた負けず嫌いで人より余分に知識を脳みそに詰め込みたがり、精一杯それを使って、伝えて、声あげて仕事をしてきた。

そこになんの悔いもない。

ただ、履歴書に今までやってきたことを全部書くことはできない。スペースが足りなすぎるのだ。そして数十分の面接で説明できることは限られている。
それをするには、おしゃべり人間になっていいたいことをまくしたてる他ない。

ただ、しゃべりすぎは嫌われるのがわかっている。ということはピンポイントでツッコンで欲しいところを履歴書にかかなければというジレンマがあるのだ。

ある会社の面接で、市販の履歴書に職歴を端折って書いて提出したことがある。
その役員面接では、「履歴書に書いていないことは本当にないか?」と聞かれる。「ここに記入してある会社にはよく知っているお得意さまがいるので、今から電話するから君のことを聞いてみよう」と言われて目の前で電話されたことがある。
途中書ききれないので履歴を短くしたが、悪気はなかった。決まった項目を埋めるためのスペースが足りなかっただけである。
ただ、はじめの一歩の会社ルールを破ることになる。
「この履歴書は10年間は保管されるんだからね。だから嘘は困る。嘘は」

結局、端折った部分をすべて書き足して履歴書をだしなおし就職できたのだが、何のことはないつまらない会社ですぐにサヨナラをした。
相手だって、すぐにやめる社員などいらないだろう。お互いに不幸である。

今の標準とされている体裁の履歴書や文書では納得がいくような自分を表現できないのである。

では、逆に私だったらどんな人を雇いたいかとよくよく考えてみた。
選考方法は、下記の通り。

①書類
自分アピールの書類をA4サイズ1枚にかいてもらう。

文字だけでもよい。
絵が入っていてもよい。
表になっていてもよい。
切貼りしていてもよい。
時系列で学歴や職歴を、職歴毎はあたりまえだから、就職先の分野で役立ちそうな情報を並べてもよい
表に今までの仕事情報、裏に現在の自分の仕事以外の情報を書いてもらう。
見やすく、わかりやすく、あなたが見て欲しい情報で私の心を動かしてくれれば、私はあなたをもっと知りたくなるではずである。

②面接
書類内容について話をしていて、相手の質問に的確に答えることができればいい。相手の話を遮らずに相互の言葉をすくいあうことで、会話をつなげることも重要だ。ただし、しゃべりすぎは良くない。元々就職活動であなたすべてを理解することはできないのだから、想像させるところを残しておいてほしい。

【課題1】
自分の大事なもの、得意分野、感動したこと、関心があることについて何でもいいからひとつ話をしてもらう。話すのが苦手な人でも、好きなことや得意分野についてなら沢山の知識や言葉は持ち合わせているはず。
【課題2】
借金を背負ったり、病気になったり、上司にいじめられたり、家族に災難がふりかかったり、ある難曲があなたに降りかかったときに、その身の振り方をどうやって解決したかを回答してもらう。逃げるタイプか逃げないタイプかはどちらでもよい。一貫性がある態度や、自分の意志で動けているかを判断する。

その他、突飛な質問に対応できる柔軟性があったら臨機応変な対応は問題ないだろう。

③難しい文字検索
会社の技術の言葉や聞き慣れない言葉を、何を意味するか想像して検索して答えてもらう。

その時に重要なのはWEBなら検索文字。電話なら誰に聞くか。どのように解決するかを柔軟に探せるかがポイント。

そこでは仕事のスピード感と想像力と柔軟性を見ることができる。

④今までの目的の設定の仕方
お金を貯める。
いい会社にはいる。
家を買う。
営業成績をあげる。

など、なんでも良いが、今まで自分がどんな目標をたてて、実現するために行動して達成したかを述べてもらう。自発的に何かを追い求める姿勢があるかどうかは大切。

⑤ありがとうございます。ごめんなさい。申し訳ありません。
を自然に言えるかどうかは大切だ。
上司に対して、同僚に対して、仲間に対して、見知らぬ人に対して、この言葉が素直に出てくる人の方が、仕事をしやすい。
そして、その表情と言葉が一致している人がいい。

こんな感じで求人したら、どんな人が選ばれるのだろう? 

私が社長になったら、きっと思いつきでものを言う。
たまに喧嘩をふっかける。
いいものはいい、だめなものはだめとはっきり言う。
男女間の不正よりお金の不正にはうるさい。
おそらく自分のスピード感で仕事をすすめてもらう。
社長は事をあらだてるためにいるから、新しいこともやれば、うまくいかない事業をぶち壊すこともあれば、すでにあるものをお祭り騒ぎでもり立てなければならないと考える。
人の話は善し悪しは別としてとりあえず聞く。
自分が自由にやらせてもらっている分、周りにも自由を味わってもらう。
自分の事や失敗談をはなして、ダメな社長を助けなくちゃと思ってもらう
自分たちがどんなことをやってきたかを、たまにみんなで確認する。
たまにみんなでご褒美を楽しむ。

どんな事業でって? 

言わないで欲しい。

これは、これ以上履歴書をかきたくない言い訳なのですから……

 

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2016-06-07 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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