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メディアグランプリ

負けず嫌い三姉妹の次女 VS ライティング・ゼミ


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記事:しのさま(ライティング・ゼミ)

「私は本当の負けず嫌いだから勝負はしたくないの!」

学生時代、「負けず嫌い三姉妹」と呼ばれていた。
本当の姉妹ではない。大学の仲良し三人組だ。
同級生だけれども、背の順に、長女、次女、三女。
160cmの私は次女だった。

私たちは、大学のゼミの発表は全力でやり、トランプの大富豪にも同じくらい全力で挑む。
発表が上手くいかなかったり、大貧民になったりしたとき、私たちは叫ぶ。
「「「あー! もう本っ当に悔しい!」」」
悲しいかな、同級生の男子たちに若干引かれていた。
でも気にしなかった。いろんなことに挑戦し、悔しさや遣る瀬無さを共有するのはとても楽しかった。

世の中に、負けず嫌いの人はどれくらいいるのだろう? 
たまに、本当に勝負ごとに興味がない、競っても仕方ないという考えの人に出会う。
そんな言葉を口にする人たちの顔は涼しく、本当に羨ましいと思う。
勝ち負けを気にせず、自分のすべきことをまっすぐ見つめ、淡々と取り組んでいけたら……。そんな生き方に憧れ何度も挑戦したけれども、やっぱり負けず嫌いの血が騒いで、人が気になってしまう。どうにもその境地に辿り着けそうにない。
けれども、負けず嫌いの人も、実は結構多いのでは、とも思う。

飲み会で、どこから火花が出たのか、ちょっとした論争が始まる。
街で見かける、母親に可愛がられる小さい弟にいじわるをしてしまう小さいお姉ちゃん。
AKBの総選挙で、良い順位をもらいながらも悔しいというアイドルたち……。

探すと、負けず嫌いは結構見つかる。
でも、負けず嫌いにも色々あるのかも……? 
そう思ったのは、負けず嫌い三姉妹の三女の言葉だった。

ある日三女は言った。
「私はものすごく負けるのが嫌い!」
彼女の告白を聞いていたのは私だけ。長女は席をはずしていた。
「知っているよ。私も長女のあの子もだよ」
「私と長女は違うの! 私は本当の負けず嫌いだから勝負はしたくないの!」
三女の突然の告白に、私はちょっと意味が分からなかった。
私たちの共通点の負けず嫌いに違いがあるの? 
「長女は、自分の意見に自信があるから、どんどん人前で意見を言って、対立したら戦うでしょ。それで自分の意見が否定されても、悔しがるけれどもそれはそれでいいって言うよね。私にはそれができないの」

はて、思い返してみれば、長女は自分の意見を臆せず言って、がんがん批判されるタイプだった。何でも、「私が一番を取る!」と公言するタイプ。同級生男子が私たちのなかでも一番恐れていたのが長女だった。
対して三女は、可愛らしい顔つきと同様、人前ではわりと大人しかった。三人集まれば、内に秘めた戦志を打ち明けるものの、その場はやりすごすタイプだった。同級生男子にも人気があった。

「まあ、確かに長女は臆しないし、わりと好戦的に見える負けず嫌いだよね……。私もああいう風に堂々とはできないな」
「でしょ!」

私は、内心驚いていた。
引っかかるけれども、妙に納得できる……。
長女のように、堂々と意見を言うことはできない。言いたいことがあっても、上手く言えなかったり、言えてもすぐ却下されたり。結構苦しかった。悩みでもあった。
そうか、戦わなければいいのか! 
ちょっとした違和感を持ちつつ、三女の提案にちょっと納得したまま、私は大学を卒業した。

大学卒業後、長女は大学院に進学、研究に戦志を燃やしていた。
三女は、公務員になり、たくさんの同期のなかで、また勝負に巻き込まれていた。
仕事ができるか勝負、婚活勝負(公務員は割りと結婚が早いらしい)……。
新職員代表挨拶を勤めた彼女は、華やかな見た目も手伝って、勝負をしないと言っていたにもかかわらず、毎日戦っていた。
同期の女子職員に無視されたり、発表を笑われたり、なかなか大変そうだった。
電話で彼女の話を聞くたびに心配していたが、半年も経つとすっかり慣れたもので、社会人として、波風立たないけれども相手に自分の意見をズバッと伝えるのが上手くなっていた。
「言い負かしてやったよ!」
その心に負けず嫌いは健在とはいえ、周りと上手くやっているようだった。また、負けず嫌いゆえ仕事にも精を出しているようだ。

果たして、私は。
私は同期がおらず、唯一の新入社員だったので、競う相手がいなかった。
社会人になることも、とても怖かったので、慎重にことを進めていた。
負けず嫌いはどこに言ったのだろうか? というほど穏やかな日を過ごしていた。
けれども、なにか刺激が足りないな、と思っていた。

そんな私が、天狼院のライティング・ゼミ受講を始めた。
今の仕事に行き詰ったときにスマホで眺める面白い記事。
ライターってかっこいいな……。あんな文章が書けるようになってみたい。そんな憧れから受講を決意した。

ライティング・ゼミには、メディア・グランプリというものがある。
天狼院書店のスタッフ、受講者を問わず、記事のPV数を競う。
……戦いじゃん……。
負けず嫌いの血が騒ぐけれども、私には無理との恐怖もある。
ゼミ受講者は毎週記事を投稿し、店主・三浦さんのOKが出て初めて記事が掲載される。

最初の投稿、OKが出ず。悔しい。
悔しい気持ちをバネに、2度目の投稿。OK出た! 嬉しい。

講座の内容も大変勉強になるし、この毎週のドキドキが癖になり投稿を続けていた。
しかし、ライターさんへの憧れはどこへやら、ある日、記事が書けなくなった。

私はずっと他の受講生の皆さんの記事を読んでいた。その記事に対する三浦さんのコメントも読んでいた。
最近、皆さんの記事が、面白すぎる。それに対する三浦さんのコメントも、最初より面白い! という気持ちが率直に伝わるコメントになっているように感じた。
反面、私は上手くなっているという自信が持てずにいた。
いつも似たような投稿で、進歩できていない気がする。果たして、この中で、自分の記事は戦っていけるのだろうか……? 
自信がなくなって、キーボードを叩く私の手は止まった。

投稿を休んでしまったとき、三女の言葉を思い出した。
「私は本当の負けず嫌いだから勝負はしたくないの!」
今の私だな、と思った。
変な記事を書いて、浮いてしまったらどうしよう。
皆さんOKがたくさん出ているのに、私だけ出なかったらどうしよう。
……戦うのは怖い、と思った。

本当は、三女からこの言葉を聞いたとき、直感的に「勝負をしない負けず嫌いは負けず嫌いじゃない!」と思った。
今も、そう思う。
三女が勝負をしなかったのは、負けず嫌いだからでなくて、怖かったからだ。負けるのが怖かったから。でも、これでは負けず嫌いとして失格だと思う。全然、本当の負けず嫌いではない。だって、敵と戦う前に自分に負けているから。
負けず嫌いにも色々あって、人と戦って負けるのが悔しくて負けたくないというタイプと、自分が負けて自分はダメだと落ち込むのが怖いというタイプがあると思う。
でも、後者の負けず嫌いは勝負もしてないのに! と思ってしまう。負けず嫌いは勝負してこその負けず嫌い! と思う。

私が戦うのが怖いと感じているのは、ゼミの皆さんはおろか、自分に負けているのだ。
でも、それでは負けず嫌い失格だ! なにが負けず嫌い三姉妹だ。
三女だって、あんなこと言いながらも今、戦っている。本当の負けず嫌いになっている。
長女は変わらず、堂々と叩かれながらも戦っている。
次女の私が、自分に負けてどうする! みんなに顔向けできない。

やっと自分にパンチを食らわせて、負けず嫌いをちょっとだけ取り戻した気がする。
こうなったからには、コツコツ書いて、本当の負けず嫌いになれるまで、書いて書いて挑戦して、皆さんと切磋琢磨、戦っていきたいと思う。

 

***
この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、店主三浦のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。

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