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メディアグランプリ

私を翻弄し続けるオトコ



記事:ゆうこ (ライティング・ゼミ)

私は一人のオトコの虜になっている。
目上の男性に対してオトコという言い方では失礼なので、Mr.Iとさせていただこう。

Mr. Iとその周りの愉快な仲間たちが発信する情報に、気づかぬうちに私は大切な時間を奪われ、さらには右手の人差し指がポチッと動き、わずかな財産が入った通帳の数字が小さくなっていく。

ずいぶん昔からMr. Iの存在は知っていたけれど、興味の対象になるような人物ではなかった。
いつ頃だったのだろうか、ある子犬の話がきっかけだったような覚えがある。
可愛い三匹の子犬の話に夢中になり、その後Mr. Iの家族となった一匹の日常写真、また毎日更新される文章をほぼ毎日楽しんでいる。

これまでどれだけ散財させられているのだろうか。
我が家にはその軌跡となるものがあふれている。
海苔、お茶、チョコレートケーキ、カレー
手帳や良いといわれれば腹巻も買い、はたまた我が家のベランダには、お米までが育てられている。全てMr. Iからの誘惑によるものだ。どれだけ右手の人差し指がポチっとしたかは、もはや検討もつかない。

金銭の問題だけではない。
Mr. Iは私の時間をも奪っていく。いや、奪われているのではなく、私は自ら大切な時間をささげている。

ネットで生中継される、有名和菓子屋のあんこや人気洋菓子店のシフォンケーキ。貴重な週末の一日、PCから流れる数時間にも渡る中継にトイレにも行けずにメモを取り続けた。

毎週Twitterで紹介される140文字限りのお菓子のレシピ。
何のレシピなのかは、翌週まで教えてもらえない。
140文字しかない作り方を見ながら、想像力を働かせ作るお菓子。
毎週のように材料を買い込み作り、出来上がったものをHP上にアップした。

最近では、自分の愛犬愛猫を見せたがる、親バカならぬ飼い主バカが集うSNSを仕掛けてきた。
スタート初日にアプリをダウンロードし、さっそく我が愛犬の写真をUPし、ほくそ笑む。
絶え間なく飼い主バカ達により新しい写真が更新され続ける広場。まんまと中毒症状となり、私の大切な時間があっという間に過ぎ去っていく。
他人の犬猫の写真を見続け、気に入った写真へハートマークを送り続ける。隣に座る愛犬はスマホを眺めてはニヤつく飼い主に対し、ふてくされ気味。
私がどんなに可愛く愛犬の写真を撮り、たくさんの人からハートマークをもらっても、決して愛犬は喜ばない。写真を撮られることすら、迷惑顔だ。それでも、私を止めることはできない。

Mr. Iだけではない。彼を取り囲む愉快な仲間たちが仕掛ける渦にも、自ら喜んで飛び込んでみる。

東北で起きた大地震の後、入ることを規制された地域に取り残されたペット達を救う団体を紹介する内容に感銘を受けた。昨日まで家族の一員ととして過ごしてきた人間に裏切られ置き去りにされたペット達。家族はすぐに戻れると思ってのやむを得ない避難だったのだろうが、残されたペット達はそんなことは理解できない。毎日、美味しいご飯やキレイなお水をくれていた家族が、突然去ってしまったのだ。
放射能の危険もある中、残されたペット達への給餌、捕獲しシェルターで保護する現状がTwitterで紹介されていく。その悲惨な状況にショックを受け、わずかな募金だけではなく何か出来ることはないかと考えた。そして家族の同意を得ないまま、犬の預かりボランティアに申し込でしまった。私の勤務中は、年老いた両親に面倒を見てもらう都合上、小型犬のメスを希望していた。
しかしながら、団体を束ねる女親分の口車にのせられてしまい、ほぼ強引に渡されたのは立派な中型のオス犬だった。彼女いわく、「この子は小さめでおとなしいから」と。果たしておとなしかったのは、連れ帰った一晩だけであった。短期間とはいえ、マンション暮らしの我が家に、当時我が家の柴犬と元気な若いビーグルとの同居に大変な苦労があったことは、今では良い思い出になってはいるのだが……。
そう、その女性の発する言葉も、絶妙に面白く、そして強引で巧みなのだ。

ある時、Mr. Iはとある本を紹介していた。
紹介というものの、本の姿形も見せてはくれない。題名も作者も秘密だという。
「秘本」と称された本に、なぜだろう、私はいやらしさを感じた。エッチな本ではないのよね?
もともと本というものは、気に入った作者の新作を楽しみにしたり、色々な紹介文から興味を持ったり、はたまた表紙を見て、いわゆるジャケ買いをするものと考えていた。
何も知らされずに購入するということに迷っている私に、今度はその本屋の店主の発する紹介と「今何冊売れた」という情報が追い打ちをかける。これは買わなくてはならないという気持ちにさせる。その魅力に抗えず購入したその「秘本」は、とても面白く夢中になった。このような罠にはまらなければ、自ら手に取る本でも作者でもなかった。

この本がきっかけとなり、新しいスタイルの本屋の存在を知った。Mr. Iが仕掛けた罠の伏線に仕掛けられた別の誘惑に、またもや自らはまり込んでいるのだ。
そして今、その本屋が開講しているライティング・ゼミという講習に参加している。
これまでライティングの勉強をしようなんて思ったことすらなかったのに……。
これもMr. Iの広げる世界から迷い込まなければ、なかなか出会わなかったであろう、私にとっての別世界だったような気がする。

ほぼと銘打ちながらも、毎日何かしら更新されるコンテンツを、私はこの先もほぼ毎日見守り続けるだろう。
自ら片足を突っ込み続けた状態で、Mr. Iとその愉快な仲間達が仕掛ける新しい罠を楽しみに待ちながら……。

 

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この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
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2016-07-02 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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